「Hourglass」をリリースされたばかりですね。制作期間はどのくらいかかったのでしょうか? また、「Hourglass」の制作への原動力は何だったのでしょう?
DG:アルバムを作ろうなんて計画は、実際は全くなかったんだ。3月に僕自身とChristian、AndrewでNYCにある僕のスタジオで集まって、何か一緒に曲を書いてみようかってことになったんだ。すごくリラックスした感じでね。すごく楽しくて、とてもクリエイティブな流れで続けられた。2週間くらい別行動して、その後また集まった。それから、3回目のセッションではDaniel Millerが聞きに来て、「アルバム制作をしているようだね」って言うものだから、じゃあこのまま続けて、ホントに作ってしまおうってことに決まったんだ。その原動力はただ、自由にやりたいことが何でもできたってことかな。その結果自然に簡単にできたって感じだ。
Dave Gahan & Andrew Phillpott

Depeche Modeのリーダーとしてあまりにも有名なDave Gahanに説明の必要はないでしょう。個性の強い彼の声は、「Just Can't Get Enough」、「Personal Jesus」といった80~90年代を特徴付けるエレクトロニック/ポップ/ロックを彩っています。Andrew PhillpottはDepeche Modeとはプログラマー、音楽ディレクター、共同ソングライターとして長年の協力関係にあります。2人は2007年にアルバム「Hourglass」を制作しました。Tech Talkは、二人の制作スタイルについて質問する機会を得ました。強力なNIシンセ、MASSIVEが彼らのレコーディング・サウンドにおいて如何に大きな役割を果たしているかがここでわかります。
スタジオでのそれぞれの役割について、詳しく教えていただけますか?
AP:そうだね、Daveのスタジオのレイアウトはシンプルなんだ。大きくていい感じのコントロール・ルームに、ドラム・ルーム、それに「たまり」スペースの3間取り。僕はコントロール・ルームでセッティングして、DaveとChristianがもう一方の部屋でセッティングをする。たいてい、取っ掛かりのアイデアはすべてコンピュータ上にあるか、そうでなければChristianがドラム・ルームでやったもののどちらかなんだ。僕がベースを選んで、みんなで自由に演奏して、全部レコーディングして、その後いいなと思う部分を切り取ってそれで演奏を始めるというようなやり方だよ。
曲の構成の段階はChristianとDaveが関わっていて、歌詞やアレンジ、キーなんかをつけて演奏したりする。それから僕のところに回ってきてインストゥルメントやサウンドを乗せてみるんだ。正直に言うと、「ここなんかABSYNTHがかなりいい味出しているね」とか「REAKTORをめちゃめちゃ使ったでしょ!」とかいうことをよく言われるよ。だけど、本当はこのアルバムのほぼすべてのサウンドは、MASSIVEで作ったものなんだよね。すべてはスクラッチから始まって、もちろん山のようなプラグインの数々も使ったさ! それで僕たちはいろいろなアイデアをああでもないこうでもないと、2つの部屋の間を行ったり来たりして練り上げ、8週間のうちにほとんど全体を書き上げてミキシングの準備ができた。Tony Hoffer(BeckやAirなどを手掛けた)がNYCにやってきて僕たちのためにミックスしてくれて、その間に僕たちはレコーディングの最後の仕上げをしたんだ。

Andrew Phillpott
新曲制作のときは、通常どういった方向性で取り組まれましたか? 制作に先駆けて大まかな構想はまとめられたのですか?
形式はその時その時でばらばらだね。レコーディングをしながら、曲を書いていくからね。僕とChristianがキーボードに向かって、一緒に合わせて弾いてみたりすることがある。あるいは、Andrewが部屋に入って来て「ちょっとこっち来てこれを聴いてくれよ」って言ってくるんだ。それで、彼が作っている部分を聴かせてくれたり。または、みんなで自由に演奏して出来上がっていくこともある。ベースとドラム、キーとドラム、ボコーダーとベースなんかでやってみるんだ。こうして「奇跡」が起こるんだよ。僕たちはただ全部レコーディングして、切り取ったりしながら曲ができていく。
ご自身の経験の中で、アルバム制作のプロセスは長年の間に変化しましたか?
DG:そうだね、一番はっきりと言えるのは、ここ最近はいろんなことがすばやくできてしまうっていうことかな。もうSyclavierに何日もつきっきりでサンプリングにかかりっきりになることもないしね。
テクノロジーがユーザーにものすごく使いやすいように進歩したおかげで、何年か前まではできなかった方法で取り組むこともできる。だから、勢いや創造力が次々に湧いてくるんだ。
スタジオ内にはコンピュータを何台お持ちですか? また、何の目的でお使いになるのですか?
AP:コントロール・ルームにはメインで使用するG5が2台ある。一台はProtools起動用で、テープ・マシンとしてのみに使っているよ。そしてもう一台は僕のLogicコンピュータで、サウンド・デザイン、シンセ、MIDIはすべてこのマシンで作業するんだ。ChristianとDaveは別の部屋でベーシックなG5を一台、Logic用に使っている。それから、小さめのProtoolsをライブ・ルームに設置してある。これはボーカル編集用だ。友人のKap10Kurtに来てもらって、最後にかけてのボーカル編集をやってもらったんだ。僕たちの時間を作るためにね。いろんな曲のボーカル・メロディーが大量にあったから、外部の助けを借りられてよかったよ。
Native Instrumentsとはどのようにして出会ったのですか?
AP:REAKTORの初期の方のバージョンだった。誰かがMartin(Gore)にそれを教えてくれて、それでちょっと試してみようかってことになった。僕は、即効で虜になったよ。それ以来、もう前には戻れなくなったね。NIがいつも変わらないクオリティのツールを出しているから、こんなふうな巨大なシンセを引きずり回さなくて済むようになったんだ!
NI のどの製品を「Hourglass」の制作で使いましたか?
AP:さっきも言ったけど、ほとんどの部分でMASSIVEを使った。昔からの習慣ってやつを壊したいがためだけにね。NIの製品はみんな大好きだよ。だけど1種類のシンセに絞って、あんまりいじったことのないシンセで何ができるかやってみたかったんだ。MASSIVEはほんの少ししか、かじったことがなかったからね。
ライブ・バージョンの曲は、スタジオで制作したものとどのように違うのですか?
DG:僕たちはこのアルバムを引っさげてのツアーはやるつもりはないんだ。いろんな理由でね。でも2、3週間前に、NYCでラジオ番組やテレビ番組、ギグなんかをいくつかやってみた。うまくいったよ。ベースはMartyn Lenoble、ドラムはChristian、キーとシーケンスはAndrewが担当し、Kap10Kurtはやつのクレイジーなストラップ式のSH101を使った。それと、Graham Finnをギターに迎えた。みんなそれぞれがすごく生き生きしていたけれど、それでいてアルバム本来のエレクトロニックな感覚は失わず、いい感じだったよ。
AP:僕たちはAbleton Liveを搭載したラップトップでベーシック・シーケンスを起動し、Logicを読み込んでおいた別のラップトップでは、アルバムで使ったすべてのキー・サウンドをプラグインで開くことができて、Ableton Live と同期させることができた。これにはサウンドにとって重要なサイド・チェーン・コンプレッションやゲーティングなんかをかなり使ったね。K10Kは改造したSH101を持っていて、それで猛烈なリード・サウンドを演奏したね。すべて本当にうまくいったよ。
スタジオとステージの両方で、パーフェクトなセットアップはもう見つかっていますか?それと、ご自身の理想の音楽環境にとって欠けているものはありますか?
DG:ああ、それは僕のマイクだね!
AP:単純であることが一番僕にとっては大事なんだ。悲惨な状態になることが少なくなるからね。だけど、その絶えず変わり続けるところも僕は気に入っているよ。繰り返しの創作活動サイクルにはまってしまうことはたやすい、だから変化することはいいことなんだ。僕の音楽環境の中で欠けているものは、そう、時間だけだね!
