Daz、先週はずっとリミックスをしていたと聞きましたが、進み具合はどうですか?
実はちょうど2つリミックスを終えて、週末にクラブでテストしてみたところなんだ。試しに使ったのはFania Recordsの曲で、ここはV2が経営しているサルサ・レーベルなんだ。これはRubén Bladesが「Plastico」と呼んでいる曲で、すごくいいサウンドだった。彼らがこの曲を作った時のオリジナル・パートをすべて手に入れた。これを全部細かく切って、ある一定のビートに合って流れるようにしたんだ。ライブ・レコーディングだったからテンポは数bpmのばらつきがある。大変な作業だったよ。これが終わってどの小節も完璧になってから、この曲を離れたんだ。次にリミックスしたのはSK Radicalsの曲で、これもすっごくいいものに仕上がった。両方の曲でNative Instrumentsのプログラムをたくさん使ったけれど、ものすごく役に立ってくれたよ。
Daz-I-Kue (Bugz In The Attic)

Bugz In The Attic は10年以上にわたり、イギリスの音楽シーンに欠かせない存在として君臨してきました。このユニットは(数々のソロ作品や特別プロジェクト作品も含め)ウエスト・ロンドンのブロークン・ビート・サウンドを牽引する集団として語られることがよくあります。彼らが繰り出すこの特徴的なサブ・ジャンルは、ソウルやファンク、ハウスやドラムンベースの影響を受けて混ざり合い、新しい音楽を作り上げています。Bugz In The Atticはプロデュースやリミックスを手がける傍ら、ライブ・ミュージシャンやパーティー・プロモーターとしても精力的に活動しています。また、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリア、アジアの各地でショーを展開してきました。Daz-I-Kueはユニット創設時からのメンバーでOrin "Afronaught" Waltersや Kaidi Tathamとともにこのユニットの音楽的立役者の一人となっています。このインタビューでDazは、音楽への愛好がレコード収集から始まったこと、さらにはリミックスの合間を縫って彼独自のサウンド・システムを構築し、コンピュータ・ベースの音楽制作へとのめり込んでいった過程について深く語っています。

Daz-I-Kue
リミックスではどのように作りあげていくのですか? 通常は、オリジナルの作品についてよく知っているのですか?
いや、たいていは知らない。オリジナルの曲を聞かなきゃいけないのは好きじゃないんだ。それに引きずられてリミックスしてしまうから。「Plastico」のリミックスの時は違っていたよ。オリジナルを長年プレイし続けてきたからね。実は、ライブがあるたびにプレイしていた時期があるくらいだ。それをリミックスできて本当にわくわくした。Faniaの曲の中でも一番のお気に入りだったからね。この曲のハーモニーが変わっていくのにはぞくぞくしたよ。
Bugz In The Atticでリミックスを作るときは、オリジナルのパートをみんなバラバラにして分けて行うんだ。そのとき、誰が一番、そのパートごとのエッセンスをうまく取り出すことができたかを投票して決めて、それを土台にして進めるんだ。僕は「Plastico」のプロジェクト以外は、最後の数曲のビートを担当した。「Plastico」に関してはOrinが担当した。通常はKaidiがキーボードのパートをプレイして、それをもとに僕達みんながプログラミングをしたり、キーをまたプレイしたりするんだ。それから全部のアレンジを始める。Orinのアレンジはめちゃくちゃすごいんだ。
僕らが心掛けているのは、リミックスを踊りやすいようにするということだ。そうすれば、みんながはまってくれるからね。踊れる曲という点で、オリジナルの作品よりもいいものにしようとしている。それから、できれば、オリジナルの曲よりもリミックスされたものが注目されるようにと願っている。誰からも、これがBugz In The Atticの曲だ、と思われるくらいにね。こうしたことを僕らはやっている。すべてが僕達のクオリティの水準に合うようにして、一つ一つのパートを完璧にするんだ。
Bugz In The Atticとして1つのスタジオがあって、そこでいろいろなことを組み立てるのですか?
そうだね。僕達自前のスタジオがあるけれど、最近は各自の環境で作業を進めていて、インターネットで連絡を取り合っているんだ。昔は、一部屋の中ですべてを行い、みんなが同じ1曲の作業を行っていた。当時はそれでよかったけれど、僕はちょっと閉所恐怖症気味になることがあった。でもいちばんいい時期だったな。今では、みんなロンドンのいろんなエリアに住んでいて、それぞれの生活を送っている。だから各自がちょっとしたセットアップを持っていて、iChatで連絡し合っている。例えば、Kaidiと何か作業をしているとすると、iChatをオンにしておき、ファイルを送り合って、どうすればよいか話し合うんだ。特に僕はAtlantaに住んでいる時があるから、この方法でないとBugz In The Atticとして仕事を進められないんだ。この方法は本当にうまくいっているよ。どこへも行く必要がないし、移動にお金を使うこともない。環境にもやさしい方法だね。
どのようなきっかけで、音楽の技術に関わるようになったのですか?
幼い頃から僕は音楽に夢中だったな。生まれる前、まだ母親のおなかの中にいる時に、母は米軍の軍人達といろんなパーティーに出かけていて、軍人達はすごくいいアメリカ音楽のDJをしていた。僕が5歳くらいの頃、母にパーティーに連れて行かれ、DJの横に座らせられた。座って見物できるのがとっても楽しかったな! この時から音楽が好きになったんだ。
やはり5歳くらいの頃に、初めてレコードを手に入れた。Jackson Fiveの「The Love You Save」だったな。この時からだんだんレコードを集めるようになっていった。規模は小さいけどなかなかいいコレクションになった。世界最大とまではいかなかったけれどね。16歳の時、学校の友人達とサウンド・システムを始めたんだ。授業をさぼって、ロンドン中心部の女子校で初めてのギグをしたんだ。自分たちのパーティーのプロモーションも始めて、KissFMの大物DJ達がまだ有名になる前は彼らともプレイするようになって、大きなパーティーに招かれるようになった。
サウンド・システムの僕のパートナーの一人がオーディオ・エンジニアリングの学校へ通っていた。だから僕もサウンド・システムについてもっと知りたくなったんだ。そうしたら彼からオーディオ・エンジニアリングのコースを取るように勧められて、そうしたんだ。1990/91年のことだったよ。それで、初めてAkai S950サンプラーを見た時から、取り付かれてしまったんだ。その当時、仕事を首になって、かなりいい額の補償金がもらえて、これで最初のデバイス一式を買い揃えたんだ。学校で出会った人物とチームを組んで音楽制作を始めてスタジオも作った。最終的に、二人で第一作目をリリースしたよ。「Sinclair Project Daz Jaz」というタイトルにした。自分達のヴァイナルができあがって、右も左も分からないプロセスを進んで行くということにとても興奮したな。いろいろと苦労したけれど、最後には何もかもうまくいって、楽しかったな。それ以来、音楽に背を向けたことはないね。ある日、Noodlesという人物がKickin' Recordsに連れて行ってくれて、そこでOrinや他のみんなと出会ったんだ。僕はエンジニアとして彼らと一緒に制作をするようになった。こんなふうにしてみんなと出会ったんだ。
最初のデバイス一式を購入した時にコンピュータの使用を始めたのですか?
そうだね。AtariのCubaseにAkai S950、Technics SL1200ターンテーブルにサンプリング用のミキサーがついたもの、それにMackieの安いミキサーを買った。とりあえず全部をHiFiシステムにつなげて、スピーカーをモニターとして使ったんだ。これが最初のデバイス一式だったね。
コンピュータは今でも僕の制作のメインだね。デジタルの領域で制作を進めるのは気が楽だよ。アナログ・デバイスで制作したこともあるから、アナログでも大丈夫だけれど、コンピュータで作業している方が何がどうなっているかもっとよく分かっているんだ。だから欲しいサウンドを手に入れられるんだ。こうしたフィールドでNative Instrumentsの果たしている役割は大きいと思うよ。僕自身は長いことBATTERYを使っている。SK Radicalsの最新のリミックスでは、BANDSTANDを使ったんだ。信じられないサウンドだよ。初期のプロジェクトでは、Native Instrumentsのほとんど全部のソフトウェアを使ってきたな。それ以外では、Wavesプラグインを使っている。リミックスという点では、この2つが中心的だな。オーディオ・インターフェイスとしては、AUDIO KONTROL 1を使っている。これはボーカルには本当にいいよ! シンガーのみんなを僕のところに招待して、その場で録音を行うことができるんだ! それにMIDIインターフェイスが付いているから、ビートを弾くためのMIDIキーボードでことが足りるんだ。とても便利なボックスだよ!
AUDIO KONTROL 1のコントローラ機能も使いますか?
まだきちんとは使ったことがないけれど、もっと使っていこうと思っている。時間の関係で、AUDIO KONTROL 1ではベーシックな設定を使ってきた。でもこれからはコントローラ機能にも注目しようと思う。オートメーションをするにはすごそうだからね。これから数週間でチェックしてみていろいろ試して、どんなふうになっているのか確かめるつもりだ。
ライブのセットアップは自宅の制作環境とはかなり違いますか?
自宅のセットアップはとても限られたものになっている。できるだけ小さいままにしておきたいからね。とっても大きくてパワフルなMacがあって、その他にAUDIO KONTROL 1とキーボードがある。それだけだね。全部コンピュータで進めているんだ。ライブとなると、何台もキーボードを置いて、ラップトップも2台から3台はセットする。それに、ハードウェア・サンプラーが1台と、Matt Lordのドラムのトリガーを用意する。ライブ・ドラムの他にもサンプルされたドラムを用意して、両方とも同時にトリガーするんだ。Bugz In The Atticのレコードのサウンドを再現する、ということにすべてはかかっていて、今までとてもうまくいったよ。今あるソフトウェアでものすごいスタジオ・サウンドを作り出し、それをライブでも演奏できるなんて、革命的なことだね
Bugz In The Atticの典型的なシンセサイザー・サウンドは、ほとんどの場合、ハードウェア・シンセサイザーを使って作り上げられるものですか? それとも、ソフトウェアもその役割を担うのですか?
昔ながらのアナログ・デバイスとソフトウェア・インストゥルメントを組み合わせて作っているよ。ソフトウェア・シンセサイザーであっても、本物のサウンドが出せなければならないと思っている。というのも、ソフトウェア・シンセサイザーを使って昔ながらのシンセサイザーの響きを再現しているわけだからね。最新アルバムを作った時も、Rhodesや似たようなビンテージ・キーボードのようなものを使わないように意識して努力したんだ。こうすると、自然にエレクトロニックなサウンドができあがるんだ。とは言うものの、ソウルフルであるようにも努力したけれどね。この時は、Rhodesを使わないでどんなふうにできるかの実験だった。大抵はどの曲でもRhodesを使っていたからね。こうして出来た音楽は、その当時のシーンで流れていたような音楽とは全く違っていた。それでも、ソウルフルではあったんだ。
より高度なシンセシス方式を使ってREKATORアンサンブルを試したことはありますか?
試そうとしているところなんだ。次に制作予定の何曲かで、REAKTORやMASSIVEを使ってみる予定なんだ。こんなふうなもっとモダンなサウンドを是非使いたいと思っていてね。今までは、PRO-53をたくさん使ってきた。本当にすごいね! 驚異的だよ。昔ながらのサウンドを作ることができるんだから。全部入っているから、他の物に手を出す必要がないんだ。でも今では、他のサウンドも使いたいと思っている。
FM8やMASSIVEにはまだ触ったことがないな。僕にとっては新しいインストゥルメントだからちょっと怖い気がするんだ。使い方もよく分かっていないし。でも使い始めればこうしたことももちろん変わるよ。まずはこれを使いながら曲を作ってみることだね。今後数ヶ月はそうする予定だ。ある曲は全部MASSIVEで作って、別のある曲は全部FM8を使って作る、というような感じになる。だからMASSIVEとFM8を目一杯使うことになるよ。こうしたものを使っていろいろ試行錯誤するのは楽しいね。これを使って何ができるのか分かるし。Native Instrumentsのおかげでもう僕のサウンドは変わったよ。サウンドに新しい要素を吹き込んで、事実、僕のサウンドの幅を大きく広げてくれたんだ。
Daz、インタビューに答えてもらって本当にありがとう。新しい曲を本当に楽しみにしています!
こちらこそありがとう。できあがったら君が真っ先に聞くことになるよ!

