Tech Talk with Vince Clarke

ソフトウェア・シンセの深層に
 


 




 

Depeche Modeの創設メンバーであり、初期のヒットのソングライターであるVince Clarkeは、エレクトロミュージック界のポップスターの先駆けの1人です。1970年代後半にClarkeはアナログ・シンセサイザーのコレクションを始めました。これが拡張を続け、彼が自身のプロジェクトであるYazooやErasureのヒットを制作するのに使用した、大きくて複雑なスタジオセットアップになりました。

長年に渡って非常に初期のシーケンス・ソフトウェアを使い、クラークは過去4年間、ソフトウェアシンセの深部を探求しました。インタビューでは、シンセサイザーを使った作曲に関する彼の考えや、彼がどのようにしてAbsynth、FM 8、Reaktorを使用するかを明かしてくれました。



 

インタビュー

聞き手 Florian Grote


 
 

あなたはアナログ・シンセサイザーのユーザー、そしてコレクターとして有名ですが、コンピュータもあなたのセットアップではかなり早くから使用されています。コンピューターがあなたの創作において果す役割について教えてください。

1984年ごろからコンピューターを使い始めた。それ以前は、基本的には4チャンネルのトリガリング・デバイスとでも言える、ローランドのMC-4などのアナログ・シーケンサーを使っていたんだ。UMIっていうソフトを使ってコンピューターを使い始めたんだけど、これはBBC のマイクロコンピュータ用に作られたもので、英国での基礎教育用に利用されていた。

UMI は16チャンネルのMIDI シーケンサーで、同じコンピューター上で何年か使ってたよ。テクノロジーは私の先を行っていたけど、私は同じ装備にこだわっていた。何でかと言うと、あれには制約があるんだけども、音楽を作る段階になって正しい判断を迫られた時に、こうした制限がとても役に立ったんだ。選択が多すぎて途方にくれるということもなかったし、曲の中で何が大切かを見極める時にも役に立った。

アメリカに引っ越した時、私の機材が英国から届くまでの間、LogicとMax/MSPを使い始めた。シンセサイザー・ソフトウェアに本気で入り込んだのはあれが最初だったよ。マニュアルを読んだのもあれが生まれて初めてだった。難しかったけどね。

 
 

そうしてアナログ・シンセサイザーとデジタル・シーケンサーでの制作から、ソフトウェアの世界に入ったというわけですね。

そうだね。私にとってはとても新しい試みだったよ。他のプロデューサー達が使っているのは見ていたけど、本気でそれを使って作業するまでは、ソフトウェア・インストゥルメントに入り込むのにかなり時間がかかった。ソフトウェアを手際よく使って、それを役立てるのにはホント時間がかかったね。

ヤズー (Alison Moyet & Vince Clarke)

 
 

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あなたの音楽に一番強いインパクトを与えたのは、どういったテクノロジーですか?

Logic を最初に使った時、それはただ単にそれが便利であり、必要に迫られたからなんだ。私の機材を英国から運ぶのに時間がかかったからね。一目惚れというわけではなかったよ。色々なアナログ機材をベースにしたソフトウェア・シンセが出てきてから、本当に興味を持つようになった。

 

NI製品を使うようになった経緯は?

Heaven 17のMartin Wareの推薦だった。一緒に制作していた彼が、Absynth とFM7 を私に勧めてくれたんだ。Absynth は他のどれとも全然違っていたから、とても気に入ったよ。プロデューサーのGareth Jonesとも一緒に作業をしていたんだけど、彼がReaktor のことを教えてくれた。どうやって使うかもね。最初は、自分自身のシンセサイザーを創るって考えには少しうんざりしていた。やることが多くて大変そうだったから、最初のうちはわざわざそんなことはしたくなかったんだ。けど、やってみると、それがすごく楽しいってすぐに分かったよ。

 
 

シンセサイザーを使用した制作に関して言うと、何から音楽的な影響を一番受けましたか?

私はいつもシンセサイザーをベースにした音楽のファンだったからね。80年代には私にとって2つのバンドがキーだった。1つは、女の子たちが加入する前のHuman League。そしてOMD、特にファーストアルバムだけど。ポップのコンテクストの中で、シンセサイザーを使ったっていう事実はすごいと思う。

 

あなたのステージ・セットアップは、どのようになっていますか?

年を経てかなり変わったてきたね。現在はLogic を使っている。けど、同期化の問題があって、それぞれの曲の全てのトラックを切り取らなくてはいけなかった。私たちはスタジオでテープに録音しているからね。大変な仕事だったけど、サウンドがずっとよくなったし、ライブもタイトになる。もっとやってみたいのは、ハードウェア・インターフェイスとソフトウェア・シンセサイザーの併用だね。マウスじゃなくて、2つの手を使って特別なサウンドを創るっていう考え方はとても気に入っている。いいことに違いないよ。

 
 

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「手で触れてコントロールできる」という方向に、音楽テクノロジーが発展してほしいですか?

最初のデジタル・シンセサイザーが出たとき、1つのボタンで幾つものことができてしまうことに対して、誰もが文句を言っていた。シンセサイザー・メーカーはそれに対応して、ノブ付きのデジタル・シンセを作り始めた。こうした方向にソフトウェア・シンセサイザーが向かうと、私にとってはとても便利になるね。

 

Erasure (Andy Bell & Vince Clark)

 
 

要は、使い勝手の良さなんだ。Andyと私が絶対にシンセサイザーを使って曲を書かないのは、それだと曲を書き終えないからなんだ。バーを1つか2つ使ってサウンドを微調整し始めるけど、そこから全然先に進まないんだよ。

コードとMIDI シーケンスを使わず、アナログサウンドしか使わないというルールで作ったアルバム一つがあるんだ。こうしてアルバムにとても独特なサウンドが生まれた。こういう風にして、自分に制限を加えるというのは私にとってはとてもいいことなんだ。

アメリカのミュージシャンと一度面白い話ができた。彼は、長年Logicを使ってきたけど、スクリーンばかり見て音楽に耳を傾けられないのがつくづく嫌になったって言うんだ。だから彼は何年かプログラミングをやめて、誰かにそれをやってもらっていたよ。

 

次のプロジェクトは?

来年の頭にAndyともう少し曲を書く。私の新しいスタジオをセットアップするからこれから数ヶ月は、とても忙しくなりそうだよ。

 
 

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