市場には膨大な数の「シネマティック」なサンプルライブラリが存在するため、アンビエント制作をどこから始めればよいか迷ってしまうのも無理はありません。幸いなことに、制作にすぐに使えるドローンやサウンドスケープを無料で提供している寛大なデベロッパーも存在します。こうしたサウンドは、映画の劇伴音楽のアンダースコアから、ドラムンベーストラックを彩るアクセントまで、幅広い用途で活躍します。トランスゲートやLFOフィルターなどのエフェクトを組み合わせて音を加工し、より強烈な動きを生み出す試みもぜひお試しください。
以下にご紹介するライブラリはすべてフルバージョンのKONTAKTで動作しますが、このフラッグシップサンプラーをお持ちでない場合でも、ダウンロードファイルにはお気に入りのオーディオソフトウェアに直接ドラッグ&ドロップできるオープンソースのサンプルが多く含まれています。
Dronar Free Edition

Time & Spaceから無料ダウンロードできるこの製品は、4種類の異なるDronarライブラリ(Hybrid、Guitarscapes、Live Strings、Dark Synthesis)のハイライトを凝縮した豪華なコレクションです。この軽量版では「Expert」ページやリズミックなエディット機能の一部が省略されていますが、それ以外は本格的なDronarの機能をフルに体験できます。これには、LFOシェイピング、FXラック、アルペジエーター、そして各種レイヤーやエフェクトを操作するためのメインページの6つのダイヤルが含まれます。「Sci-Fi Twin Moons」や「Night City Ambient」といったプリセット名が付いているため、最適な出発点を見つけるのも簡単ですが、レイヤーダイヤルを少し回すだけで、初期収録されている20種類のパッチの印象をはるかに超える多様なサウンドスケープが生み出されます。本当の醍醐味は、メインコントロールノブをフィジカルなMIDI入力にアサインして、パッチをリアルタイムで演奏することにあります。High、Mid、Low、FX、Intensity、Movementの各ノブのパラメーターを調整して、サンプルに命を吹き込みましょう。気に入ったら、オーケストラブラスから世界の民族フルートまで、原形をとどめないほど見事に変調・加工された多彩なテーマのDronarライブラリへのステップアップもご検討ください。
Project Exodus

サウンドデザイナーBryan Lakeの才能を結集した、アトモスフィア系フリー音源の膨大なコレクションの一部であるProject Exodusは、フルバージョンのKONTAKT向けに127種類のパッチを提供しています。このコレクションは大きくアトモスフィア、演奏可能なインストゥルメント、シーケンスに分類されていますが、収録素材の多くは一筋縄では分類できない豊かな個性を持っています。シンプルながら便利なインターフェイスコントロールには、リバーブ、ディレイ、ADSRシェイピング、フィルタリング、真空管ディストーションが搭載されています。リバーブやディレイの量とサイズダイヤルを上げると、歪ませたフィールドレコーディングのサウンドが、広がりのあるシネマティックなドローンへと変貌します。オーガニックなサウンドスケープや幽玄なパッドを収録した、素晴らしい情緒あふれる姉妹ライブラリProject Pegasusもぜひチェックしてみてください。オリジナルの.nkiファイルにはチューニングがわずかに不安定な素材も一部含まれていますが、現在ダウンロードに含まれているアップデートにより、これらのピッチ問題のほとんどが修正されています。
Dark Drones

ダークなドローンサウンド。この言葉こそが、MIDIコントローラーのキーに約40種類のドローンサンプルをマッピングしたこのKONTAKTライブラリを端的に表しています。無駄のないインターフェイスには、周波数シェイピング、チューニング、リバーブ、そしていくつかのディストーションエフェクトといった最小限のオプションが備わっています。ここで特筆すべきは、不吉な威圧感を伴って重々しく響くサンプルそのものです。サブベース帯域には不気味な重みがあり、ホラーやサスペンスの劇伴音楽に最適です。サンプルはループしませんが、多くは1分以上の長さがあるため、異なるサウンドを組み合わせてキューを構築する自由度が十分にあります。サンプルをレイヤーして複雑なドローンスケープの土台を築き、その上に楽器の音を散りばめて恐怖と戦慄を演出しましょう。
Relict

間違いなく楽しめ、2通りの使い方ができるライブラリです。1つ目は、KONTAKT用の3つのパッチでアトモスフィア、グリッチ、ライザー、インパクトがMIDIキーボード全体にマッピングされ、緊張感のある強烈なキューを組み立てるためのバーチャルサウンドボードとして機能します。2つ目は、オープンソースのWAVファイルが個別に提供されているため、DAWに直接ドラッグ&ドロップして使用できます。実際、Kontaktインストゥルメントには採用されなかった生のオーディオファイルとして収録されているサンプルもあるので、ボーナスコンテンツとしてぜひ探してみてください。シネマティックなKontaktパッチには、リバーブとディレイのダイヤルに加え、ライザーやグリッチサンプルを映画『トランスフォーマー』のようなスタッター感あるスワイプサウンドに変化させる気の利いたスタッター&ピッチエフェクトが搭載されています。ミュージシャンのGiuseppe Caiazzoは飛び上がるほどスリリングなサウンドデザインを得意としており、Silence+Other Soundsで公開されている他のライブラリの多くも、苦悶の金属音や軋むストリングスで背筋の凍る恐怖感を最大限に引き出してくれます。
Chillerscapes

ドラマ『ドクター・フー』のオーディオブックにおける楽曲や音響効果の制作で知られるSteve Foxonは、サウンドデザインへの情熱をサンプルライブラリの開発へと注ぎ込みました。ResomonicsではシンセのプリセットやKONTAKTライブラリを公開しており、無料のChillerscapesもその1つです。このライブラリには、4オクターブの音域で演奏可能な、徐々に変化する13種類のアビエンスと5種類のドローンが収録されています。血痕が飛び散ったインターフェイスには、モジュレーションホイールにアサインされた大きなIntensityダイヤルや、サウンドに動きを加えるパルス・コントロールが備わっており、積極的な音作りを促します。ディストーションを少し加えるだけで、恐怖感を一気に煽るのにうってつけのサウンドに仕上がります。ただし1点だけご注意を…サウンドが本格的に不気味になると、インターフェイス上に幽霊のような少女が現れるので心の準備をしておいてください。筆者のおすすめの使い方は、オートメーションを波形として書き出し、ボリュームを一気に跳ね上げてから急激にオーディオをカットする手法です。