映像作品の劇伴制作でも、トラックにアクセントを加えたい場合でも、オーケストラVSTは制作ツールキットの強力な武器になります。生楽器のサウンドをサンプリングし、演奏可能なソフトウェア音源としてパッケージ化したオーケストラVSTがあれば、アンサンブルを指先ひとつで自在に操ることができます。最高峰の音源なら本物のオーケストラと聞き分けがつかないほどリアルであり、生のアコースティック・アンサンブルでは決して生み出せない斬新で大胆なサウンドを生み出すことも可能です。
世の中には、Native InstrumentsのKontaktをはじめとするサンプリング・プラットフォームに対応した無数のオーケストラVSTが存在します。では、オーケストラに最適なVSTとは何でしょうか? そして、あなたのプロジェクトに最も適したツールはどれでしょうか? この記事では、フルアンサンブルから名手によるソロ音源、クラシックな響きから斬新なテクスチャー、豪華なプロ仕様の音源から手軽な無料音源まで、おすすめの12選をご紹介します。
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あらゆる制作に対応するインストゥルメント・プラットフォームKontaktを使って、このチュートリアルを読み進めましょう。
オーケストラに最適なVSTとは?
素晴らしいオーケストラVSTは数多く存在します。どれがベストかは、構想しているプロジェクトによって異なります。劇伴制作に豪華なオーケストラが必要なら、Symphony Essentials Collectionを試してみましょう。個性的なサウンドを生み出すインスピレーション溢れるクリエイティブなツールをお探しなら、Arkhisが最適です。また、初心者向けの無料ツールをお探しなら、ProjectSAMのThe Free Orchestraをチェックしてみてください。
これらはほんの一例に過ぎません。音楽プロジェクトはそれぞれ異なり、オーケストラVSTにもそれぞれ独自の強みがあります。この記事では、おすすめのオーケストラVST 12選をご紹介し、その主な機能と最適な活用法を解説します。また、各VSTの実際のサウンドを聴けるオーディオサンプルもご用意しました。
ここでご紹介するオーケストラVSTはすべて、20年にわたり音楽制作を支え続けてきたNative Instrumentsのサンプリング・プラットフォームKontaktに対応しています。
楽曲制作におすすめのオーケストラVST 12選
1. Symphony Essentials collection

1つのパッケージで極上のオーケストラサウンドを手に入れたいなら、Symphony Essentials以上の選択肢はほとんどありません。このコンパクトなコレクションは、Native Instrumentsのフラッグシップ音源Symphony Seriesからサンプリングされた6つのライブラリを収録しており、60人編成のストリングスセクション、ブラス、ウッドウィンド、そして多彩な18種類のパーカッション楽器を網羅しています。
各セクションは個別のインストゥルメント(トランペット専用のKontaktインストゥルメント、トロンボーン専用など)としても、フルアンサンブルとしても使用できます。世界トップクラスのサウンドクオリティを誇り、数百種類ものアーティキュレーションやドラムの共鳴シミュレーションといった高度な編集機能など、表現力の高いコントロールが可能です。汎用性の高いオーケストラVSTをお探しの方にとって、Symphony Essentialsはまず第一の選択肢となるでしょう。
2. Palette Primary Colors(無料)

トラックにオーケストラのニュアンスを加えるのに、大金を投じる必要はありません。予算を抑えながらオーケストラサウンドを試してみたいなら、Palette Primary Colorsが最適です。
Red Room AudioのPalette Orchestral Seriesの無料お試し版である本作は、扱いやすい1つのインターフェイスにストリングス、ウッドウィンド、ブラスのアンサンブルを収録しています。各アンサンブルにはスタッカート(ショート)とサステインの各モードに加え、ビブラートやフラッターも用意されています。フルオーケストラ音源のような奥深さや汎用性はありませんが、素早くアイデアを形にしたい場合や、本格的な音源を導入する前にオーケストラVSTの基本を掴みたい場合に最適です。
3. Session Strings Pro 2

Session Strings Pro 2は、ポップスやエレクトロニック系のプロジェクトに華やかなバッキングを加えるのにうってつけです。ボーカル主体のバラードから、壮大なディスコチューン、高揚感あふれるクラブトラックのブレイクダウンまで、この22人編成のストリングス・アンサンブルが求める輝きをもたらします。
楽器自体のサウンドは極めてリアルで、多彩なコントロールが可能です。1つのプラグインでアンサンブル全体を扱うことも、ベース、チェロ、ヴィオラ、バイオリンを個別に操作することもでき、多彩なアーティキュレーションにより表現の幅が広がります。綿密に設計されたミックス・インターフェイスにより、Motownから現代のサウンドまで、有名なストリングスサウンドを再現できます。
4. Action Strings 2

Action Strings 2は明確な目的のために設計されています。それは、ハリウッドスタイルのアクションを演出する疾走感あふれる劇伴制作です。ストリングスオーケストラによる31 GB以上もの録音済みリズムフレーズ(「Live Modules」)を収録。これらのフレーズは様々なピッチや強弱でサンプリングされており、無限の組み合わせで微調整や連結を行うことで、求めるシーケンスを構築できます。
その結果、単音サンプリングのライブラリよりも遥かに生き生きとしたサウンドが得られ、カスタマイズの余地も十分に確保されています。プリセットされた「テーマ」は幅広いムードやリズムをカバーしており、直感的なインターフェイスにより緊張感あふれるキューを素早く構築・調整できます。もちろん、映画音楽制作だけに留まりません。緊張感や迫力を高めたいあらゆる場面で、Action Strings 2が活躍します。
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5. Cremona Quartet

多くのオーケストラVSTは大規模で迫力あるアンサンブルを特徴としています。しかし、ときにはより小規模な編成が必要になることもあります。Cremona Quartetは、4つのソロ楽器を驚くほど緻密に収録しています。原器となるのは、2台のバイオリン、ヴィオラ、チェロという伝統的な弦楽四重奏の構成で、1600年代のイタリアで製作された歴史上最も美しい音色を奏でる弦楽器と称される銘器たちです。
各楽器は独立したVST音源として提供され、クレモナのアウディトリウム・ジョヴァンニ・アルヴェーディで録音された、20種類のアーティキュレーションに及ぶ綿密なクロマチック・サンプリングによる豊かで深みのあるサウンドが特徴です。バラードを彩るフル弦楽四重奏が必要な場合でも、スポットライトを浴びるソリストが必要な場合でも、Cremona Quartetにお任せください。
6. The Free Orchestra(無料)

高品位なアコースティックサウンドを手に入れるために、高額な費用をかける必要はありません。ProjectSAMのSymphobiaシリーズに収録されている音源を採用したThe Free Orchestraは、多彩なオーケストラ・エフェクトと魅力的なテクスチャーを完全無料で提供します。
シンプルなインターフェイスで楽器を素早く選択でき、いくつかのエディット機能により驚くほどの表現力を発揮します。1つのパッチ内で複数の楽器をレイヤーできるため、思い通りのアンサンブルを素早く構築可能です。特に魅力的なのは、木管楽器の特殊奏法、不穏なドローン、幻想的なソルディーノ(弱音器)・ストリングスなど、この不気味なキューでも使われているThe Free Orchestraならではの先鋭的なサウンドです。
7. Valves

Valvesは、見事なまでにリアルな響きを持つブラスアンサンブル音源です。5つのメロウな楽器(フレンチホルン、フリューゲルホルン、ユーフォニアム、トロンボーン、チューバ)を緻密にサンプリングし、1つのVSTインストゥルメントにまとめ上げています。100種類以上のプリセットフレーズにより、クレッシェンド、スウェル、徐々に変化するサステインなどを無限に近いバリエーションから選択でき、Moments Sliderを使えば演奏中にフレーズのバリエーションをリアルタイムで切り替えられます。
しかし、Valvesの魅力は単なるリアルな再現にとどまりません。極めて奥深いエディターにより、楽器ごとに各ノートの挙動を微調整できるほか、高機能なエフェクトセクションは幻想的なディレイやリバーブを生み出すのに最適です。これらの設定を使いこなせば、Valvesはお気に入りの新たなパッド生成ツールとなるはずです。
ボーナス:新登場のValves Proも、見逃せないパワフルな現代的ブラスライブラリです。
8. Arkhis

劇伴音楽は過剰に自己主張すべきではありません。特に重要なシーンやセリフがある場面では、画面のアクションから観客の注意を逸らしたくないものです。その一方で、アンダースコアが無難で退屈なものになってしまっては困ります。映像の魅力をさらに引き立てるものでなければなりません。
そこで活躍するのがArkhisです。クリエイティブなアンダースコア制作のために設計されたこの革新的なVSTは、耳を惹きつける90種類のサウンドソースを搭載し、それらをレイヤーして魅力的な雰囲気を作り出すことができます。その幅広いライブラリは、夢幻的なアンビエンスから不気味で不安を煽る響きまで自在に表現可能。一風変わったサンプルは、実験的な楽曲制作にアクセントを加えるのにも最適です。
9. Lores

Arkhisと同様に、Loresは劇伴ツールのイノベーターであるOrchestral ToolsとNative Instrumentsのコラボレーションにより誕生しました。またArkhisと同じく、機能性とインスピレーションのバランスに優れ、シンプルでスタイリッシュなインターフェイスに珍しいサウンドの宝庫を備えています。
今回は、ユニークな生楽器の音源に焦点を当てています。ストリングスや管楽器といった定番の楽器に加え、ニッケルハルパ、ハーディ・ガーディ、尺八などが、楽曲に一風変わった素朴な魅力を添えてくれます。その独特な音色は探求するだけでも楽しく、実験音楽やアンビエント制作にも自然に馴染みます。
10. Minima(無料)

Minimaは、予算を抑えながらオーケストラサウンドを探求したい方にとって、もうひとつの優れた選択肢です。Xperimentaによるこの無料VSTは、厳選されたサンプル音源のコレクションと、クリーンで使いやすいインターフェイスを提供します。ピアノ、ギター、カスタムメイドのパッドなど約20種類の楽器を収録しており、毎月新しい楽器が追加されます。
エディット機能は限られているものの、多くの楽器が最初から強いムードを演出してくれます。特にカリヨン、ヴィブラフォン、そして哀愁漂うこのデモ曲でフィーチャーされているE-Bowやプラック奏法のピアノは魅力的です。
11. Sequis

この記事で紹介しているツールの多くは、ドローン、パッド、場面を演出するテクスチャーなど、静的なアンダースコア(劇伴音楽)に最適です。しかし、ときにはもっと動きのあるサウンドが必要になることもあります。そんなときに活躍するのがSequisです。Native InstrumentsとOrchestral Toolsによるこの「アコースティック・シーケンサー」は、パーカッションやベースからボイス、木管楽器などに至るまで、アコースティック楽器で録音されたリズミカルな反復パターンのライブラリを特徴としています。
スマートなインターフェイスと高品質なサウンドにより、ループを選択してレイヤー化し、緻密な楽曲を驚くほど簡単に構築できます。Sequisは、ドキュメンタリーやダイナミックな映画シーンに大きな効果をもたらします。また、ポップスやダンスミュージックの制作において、繊細に脈打つリズムの骨格としても活用できます。
12. Diamond Jazz Trio(無料)

最後は、少し毛色の違うプラグインをご紹介します。Diamond Jazz Trioは、このリストの他の本格的なクラシックサウンドとは一味違った魅力を放ちます。Strezov Samplingのスウィングバンド・ジャズ音源「Diamond Jazz Orchestra」のコンパクトなお試し版であり、完全に無料で提供されています。
ピアノ、ウッドベース、そして2種類のアルトサックスのインストゥルメントを収録しており、汎用性は限られるものの個性は抜群です。このデモ曲では、Native InstrumentsのAbbey Road Drummerコレクションのパーカッションを少し加えてアンサンブルを強化しました。まるで近くのカクテルバーにいるかのような雰囲気を醸し出します。
オーケストラVSTを活用して楽曲に生命感を吹き込む
この記事では、おすすめのオーケストラVST 12選をご紹介しました。手軽に使える無料ツールからプロ向けの作曲ツールまで、幅広い音源を取り上げました。映画や劇伴の作曲でも、ご自身の楽曲制作でも、これらの強力なサンプル音源がいかに楽曲へ生命感と個性を与えられるかをお伝えできたかと思います。
次は、ぜひご自身の音楽にオーケストラVSTを取り入れてみてください。サンプル音源に関して言えば、まずはKontaktから始めるのが最適です。20年間にわたり、この万能な音源プラットフォームは現代の音楽制作の最前線に立ち続けています。
さらに多くの無料音源をお探しの場合は、無料VSTプラグインのリストもぜひご覧ください。