|Dean Salant

音楽におけるトーンとは?音楽のトーンを徹底解説

シェア リンクをコピーしました
What is tone in music? Musical tone explained

音楽理論や音楽制作で使われる言葉の中で、特に混乱を招きやすいのが「トーン(tone)」という言葉です。音楽におけるこの極めて重要な要素は、多面的な意味を持つため理解しづらいことがあります。

それでも、音楽におけるトーンを正しく理解することは、優れたプロデューサー、ビートメイカー、作曲家を目指す上で欠かせません。私たちがどのようなトーンを選ぶかによって、楽曲全体の雰囲気が大きく左右されるからです。

トーンとは単一の特性ではなく、複数の要素が組み合わさって固有のサウンドを生み出すものです。この記事では、音楽におけるトーンを探求し、ピッチ、音色(ティンバー)、ダイナミクス、アーティキュレーションといった様々な要素をコントロールして楽曲のトーンを変化させる方法について解説します。

目次:

    1. ピッチ
    2. 音色(ティンバー)
    3. ダイナミクス
    4. アーティキュレーション

Komplete Startを使って、このチュートリアルを一緒に進めてみましょう。

ダウンロード

音楽におけるトーンとは?

音楽における「トーン」という言葉は、いくつかの関連する概念を指します。

まず第一に、スケール(音階)やモード(旋法)の構造を形成する音程(インターバル)を指す場合があります。

西洋音楽理論では、DとEのように隣り合う2音間の距離をトーン、あるいは全音(whole tone)と呼びます:

ピアノロール上のトーン(全音)
この2音間の距離はトーン(全音)と呼ばれます。

2音間の最も狭い距離は「半音(semitone)」と呼ばれ、全音の半分を意味します。例えばDとE♭(Eフラット)の距離がこれに当たります:

ピアノロール上の半音
この2音間の距離は半音(セミトーン)と呼ばれます。

また、トーンは先ほど挙げたEやDのような特定の音符やピッチそのものを指すこともあります。これらはいずれもトーン(楽音)です。楽曲で用いられるトーンの集まり、通常は特定の順序で並んだ7つの音(スケール)によって、調性(tonality)やキーが定まります。

そして最後に、「トーン」という言葉は音質や音色(音の質感やキャラクター)を包括し、音色(ティンバー)、ダイナミクス、アーティキュレーションといった要素も含みます。この多面的な概念は、音楽の個性や感情的な訴求力に欠かせないものであり、メロディやハーモニーから各種楽器やボーカル固有の響きに至るまで、作曲や楽曲制作のあらゆる面に影響を与えます。

トーンが楽曲にどれほど強い影響を与えるかを実感するために、同じメロディラインを3種類の異なるトーン(キャラクター)で聴き比べてみましょう:

トーンを極めて巧みに操るプロデューサーのひとりがFour Tetです。以下の動画では、自身のトラック「Skater」でメロディラインを引き立たせるために、どのように異なるトーンを使い分けているかを解説しています。6:18までスキップして彼の解説を聴いてみましょう。

トーンを構成する要素とは?

楽曲のトーンを構成する主な要素に注目してみましょう。詳しく掘り下げる前に覚えておきたいのは、これらの要素は互いに密接に関わり合い、協力して楽曲全体のトーンを形作っているということです。つまり、どの要素も単独で存在しているわけではありません。それを念頭に置きつつ、詳しく見ていきましょう:

1. ピッチ

ピッチとは音の周波数のことで、音の高さ(高低)を決定づけます。他のトーンの要素を構築する上での基盤となるものです。

楽曲で用いられるピッチは、和声構造(ハーモニー)、メロディの輪郭、楽器のキャラクター、周波数同士の相互作用に影響を与えます。

Jamie xxの楽曲「Gosh」でその効果を聴いてみましょう。トラックの後半で、メロディを奏でるリードラインが登場します。曲が進むにつれてこのメロディラインが1オクターブ跳ね上がり、ピッチによって楽器のトーンがどのように変化し、形作られるかがよく分かります。

 2. 音色(ティンバー)

ティンバー(音色)は、音のカラーや質感とも呼ばれ、同じピッチを演奏していても異なる楽器や歌声を区別できる要素です。例えば、ピアノとシンセベースが全く同じ音符を演奏しても、発音原理が異なるため、その音色は明らかに違って聴こえます。

こちらはピアノで演奏されたB1の音です:

こちらはシンセベースで演奏された全く同じ音です:

まったく違って聴こえるのではないでしょうか?これは、使われている楽器それぞれに固有の音色があるためです。

音色は、楽器の構造や演奏者のテクニック、音響空間の特性など、様々な要因によって左右されます。

3. ダイナミクス

ダイナミクスとは音の強弱や音量を指し、小さな音から大きな音まで幅広く変化します。ダイナミクスは楽曲のトーンに感情的な起伏や抑揚をもたらし、音量レベルを通してムードやフィーリングを表現することを可能にします。

例えば、徐々に音量を大きくしていくことで期待感を高めることができ、徐々に音量を小さくしていくことで落ち着きや解決感を生み出せます。ダイナミクスを効果的に活用すれば、シンプルなメロディでも力強く感動的なパフォーマンスへと変貌させることができます。

EDMでは、ドロップ前のビルドアップを作る際によくこのダイナミクスが用いられます。静かな音量からスタートし、ドロップ直前のピークに達するまで徐々に音量を大きくしていく手法です。

AviciiのEDMクラシック「Levels」でその効果を聴いてみましょう。2:10でのダイナミクスが落ちる静かなセクションから、2:40の最終ドロップに向かってダイナミクスが劇的に上昇していく展開にぜひご注目ください:

楽器によって演奏可能なピッチの音域(レンジ)が異なる点にも注意が必要です。これは生楽器やサンプリング音源のパートを作成する際に極めて重要になります。音域の制約によって、最高音域や最低音域では出せるダイナミクスが制限されることがあります。例えば、クラリネットで高い音を極めて小さな音で演奏するのは困難です。その音を鳴らすために必要な息の強さによって、必然的に大きな音になってしまうからです。

楽曲制作や実験を重ねていくうちに、様々な楽器が持つ自然な音域やダイナミクスの特性をより深く理解できるようになります。

4. アーティキュレーション

アーティキュレーションとは、音符がどのように演奏されるかを表す言葉です。シンセやサンプラーで見られるアーティキュレーションの要素には、アタック、サステイン、ディケイなどがあります。

音符を短く歯切れよく演奏する「スタッカート」は軽快で遊び心のある雰囲気を生み出し、音と音を滑らかにつなぐ「レガート」は流れるような一体感を演出できます。

Charli xcxは、「365」の後半で見事にアーティキュレーションを使い分けています。シンセの各種パラメーターを時間経過とともにコントロールすることで、スタッカートとレガートのフレーズを行き来しながらシンセベースのアーティキュレーションが変化していく様子を聴いてみてください。

これらトーンを構成する要素(ピッチ、音色、ダイナミクス、アーティキュレーション)が互いに影響し合うことで、その楽曲ならではのサウンドが生み出されます。これらの要素を理解しコントロールすることで、独自性にあふれた表情豊かな楽曲を作ることができます。トーンは単なる音楽の技術的要素にとどまらず、感情を伝え、音を通して物語を紡ぎ出す強力なツールなのです。

音楽制作におけるトーンの活用方法

音楽制作においては、様々なテクニックや選択によって特定の音楽的トーンを生み出すことができます:

楽器・音源の選定

適切な楽器や音源を選ぶことは、楽曲のトーンを決定づける第一歩です。楽器ごとにそれぞれ異なるトーンの特性を持っています。

オーガニックなトーンを求める場合は、生楽器を使用するか、Kontaktのような高品位サンプラーで演奏されるサンプルを活用しましょう。

Ethereal Earth
Kontaktに収録されている無料のEthereal Earthライブラリは、緻密にサンプリングされたオーガニックな楽器のトーンを提供します。

よりエレクトロニックなトーンを求めるなら、Massive Xのようなシンセサイザーの導入を検討してみましょう。

Massive X
Massive Xのようなシンセサイザーを使えば、想像力豊かなトーンのサウンドスケープを構築できます。

エフェクト処理

エフェクトの適用は、トーンを変化させ引き立たせるための効果的な手法です。

リバーブは空間の広がりや奥行きを与え、コンサートホール、大聖堂、小さな部屋などで録音されたかのような響きを作り出します。

ディレイはエコー効果を生み出し、特定の間隔で音を反復させます。

ディストーションやサチュレーションは倍音成分(ハーモニクス)を付加し、温かみや歪みの荒々しさを加えます。

コーラスやフランジャーは、音のピッチをわずかにズラして遅延させることで、揺らぎや音の厚みを生み出すモジュレーションエフェクトです。

これらの手法をさらに深く知りたい方は、エフェクト処理によって様々なギタートーンを生み出す方法を解説したこちらの記事もぜひご覧ください。

イコライザー

イコライザー(EQ)は、サウンド内の様々な周波数成分のバランスを調整するためのツールであり、トーンのピンポイントな部分を思い通りに成形できます。

低音域の周波数をブーストまたはカットすることで、トーンの温かみや力強さをコントロールできます。中音域の周波数を調整すると、特定の楽器やボーカルのキャラクターに影響を与え、ミックスの中で前面に出したり控えめにしたりできます。高音域を強調または減衰させることはトーンの明瞭度や明るさに影響し、サウンド全体の最終的な追い込みが可能になります。

Nectar EQ
iZotopeのNectar 4 Equalizerのこのプリセットは、低域をカットしつつ中高域をブーストすることで、ボーカルのトーンを変化させています。

Maag Audio EQ4 MSのように、ミックスのトーンに予期せぬ心地よい変化をもたらすEQもあります。すべてのゲインノブ、中心周波数スイッチ、帯域幅設定がデフォルトの状態では、このEQはほぼリニアな特性を示します。しかし、ゲインノブが0 dBのままであっても、中心周波数や帯域幅のスイッチを切り替えるだけでノンリニアな特性へと変化します。このユニークな挙動により、非常に音楽的な結果を得ることができます。

トーンを活用して独自のサウンドスケープを描く

トーンとは単なる個々の音符や楽器の話にとどまらず、楽曲全体のサウンドスケープそのものに関わるものです。トーンに意識を向け、それをコントロールする方法を学ぶことで、自身の音楽とより深く結びつき、独自の魅力的なアプローチで楽曲を形作ることができるようになります。

Komplete Startは、多彩なトーンの選択肢を完全無償で提供します。以下をチェックして、あなたならではの個性的なトーン作りを今すぐ始めましょう。

Komplete Startをダウンロード

音楽制作についてさらに詳しく:

  1. シネマティックなギターVST「Kithara」で作る映画音楽の劇伴制作
  2. モジュラーシンセシス:究極ガイド
  3. Komplete 15へアップグレードすべき理由と新機能

関連製品