適切なドラムのノリやフィールを出すことは、現代の音楽制作において重要な要素です。初心者プロデューサーがよく直面する問題として、ドラムが不自然に硬く機械的に聴こえてしまうという点が挙げられます。シンセウェーブやテクノなど一部のジャンルでは「ドラムマシン」スタイルのサウンドが好まれることもありますが、すべての音楽にとって理想的とは言えません。
この問題の解決策は、ドラムプログラミング、特にタイミングとベロシティのモジュレーションをより深く理解することです。こうしたドラムプログラミングの要素について詳しくは、すべてのプロデューサーが知っておくべき7つのドラムパターンをご覧ください。
スウィングやベロシティのモジュレーション技術への深い理解に加え、リアルなMIDIドラムをプログラミングする際に重宝するのが、Session Percussionistのようなパーカッション専用プラグインです。このインストゥルメントには、経験豊富なセッションパーカッショニストによって演奏・録音されたパターンが収録されており、楽曲にリアルな空気感を出すために必要な豊かなリズムをもたらします。
Session Percussionistでリアルなドラムを作るための本ガイドでは、このインストゥルメントを活用して5つのジャンルの基本的なドラムパターンを素早くグレードアップし、より魅力的なサウンドと人間味あふれるグルーヴを与える方法を見ていきましょう。
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Session Percussionistを使って、このチュートリアルを一緒に進めましょう。このインストゥルメントは、Kontakt 7または無料のKontakt 7 Playerで使用できます。
MIDIドラムとは?
MIDIドラム(Musical Instrument Digital Interface drumsの略)は、デジタル通信を用いてドラムサウンドをトリガーおよびコントロールする電子ドラムシステムの一種です。MIDIドラムは直接音を鳴らすのではなく、シンセサイザーやドラム音源モジュールにMIDIデータを送信する電子ドラムパッドまたはトリガーで構成されています。これらのMIDIメッセージには、どのドラムが叩かれたか、どのくらいの強さで叩かれたか、いつ叩かれたかといった情報が含まれます。シンセサイザーや音源モジュールがこのデータを対応するドラムサウンドに変換することで、多彩なドラムサウンドのカスタマイズや電子音楽の制作が可能になります。
MIDIドラムをリアルに聴かせる方法
各ジャンルでMIDIドラムをリアルに聴かせる方法に入る前に、これから各ジャンルで取り入れていく、MIDIドラムをリアルなサウンドに仕上げるための簡単なステップをご紹介します。
- タイミングとベロシティのヒューマナイズ:MIDIドラムをよりリアルに聴かせるには、ドラムヒットのタイミングとベロシティ(各ノートを叩く強さ)に変化をつけます。本物のドラマーは機械のように寸分狂わず演奏することはないため、わずかなタイミングのズレやベロシティの変化を加えて、生演奏のニュアンスを再現しましょう。
- リアルなアーティキュレーションの追加:ゴーストノート、アクセント、フラムなどのドラムアーティキュレーションをMIDIパターンに取り入れます。これらのアーティキュレーションは、生身のドラマーならではの繊細さや表現力を再現するのに役立ちます。ノートのベロシティやアーティキュレーションの指定を使い分けることで、これを実現できます。
- ドラムキットライブラリの活用:MIDIドラム用に設計された高品質なバーチャルインストゥルメントライブラリを活用しましょう。これらのライブラリには、マルチサンプル、ラウンドロビン、多彩なベロシティレイヤーなど、豊富なドラムサンプルが収録されており、MIDIドラムトラックのリアリズムを大幅に向上させることができます。様々なキットやサンプルを試して、プロジェクトに最適なものを見つけてください。
1. ポップスドラム
ここでは、キックとレイヤードスネア、クラップの組み合わせだけで構成された、基本的な100 BPMのポップビートを用意しました。お好みのドラムキットで再現できますが、ここではCali Nights KitというBattery 4キット(Neon Drive Expansion収録)を使用しています。

これはポップビートの基礎として申し分ありませんが、より人間味のあるグルーヴ感を加える余地が十分にあります。
新規MIDIトラックにKontakt 7をインサートし、Session Percussionistインストゥルメントを選択して、「Clap Clap Clap」プリセットをダブルクリックして読み込みます。

このプリセットにはシェイカー、フィンガースナップ、ウッドブロック、ハンドクラップの要素が含まれており、バーチャルキーボード上の緑色のキーで示されたC0オクターブを使ってトリガーできます。

既存のビートの長さと同じ長さのE0ノートを打ち込み、追加のパーカッションでビートを補強します。

ここでSwingノブを38%まで上げて、リズムに少しファンキーさを加えましょう。これにより、パーカッションパターンに元々備わっているタイミングの揺らぎが強調され、よりファンキーなノリが生まれます。

2. ロックドラム
今回は145 BPMの2小節のロックドラムパターンです。これを作成するためにAbbey Road 70s Drummer(具体的にはAR70s Tight Kit Fullプリセット)を使用しましたが、こちらも好みのインストゥルメントを使用して構いません。

今回は、Session Percussionistの「Organic Clock」プリセットを読み込みます。

このプリセットでは緑色のキーのパターンにトライアングルが含まれていますが、今回の目指すロックの雰囲気にはあまりマッチしません。そこで、他のサウンドを個別に打ち込んでいきましょう。
まず、2小節のシーケンス全体で鳴るC3のウッドブロックパートを追加します。

次に、D2でシェイカーパターンを追加しましょう。スネアが鳴る2拍目と4拍目の強調を抑えることで、ロックのパターンをうまく引き立ててくれます。

このアクセントの抜き方を実際に確認したい場合は、Session Percussionistのインターフェイス下部にあるShakerセクションのD2ボタンをクリックしてください。これによりEditorページが開き、Articulationステップシーケンサーで小節の2拍目と4拍目が使用されていないことが確認できます。

シェイカーの音が少し大きいため、Session Percussionistのインターフェイス下部にあるMixerボタンをクリックし、Shakerチャンネルを-3 dBまで下げます。

3. ファンクドラム
今回はAbbey Road 70s Drummerの「Tight Funk」プリセットを使用した、105 BPMの2小節のビートです。

今回はSession Percussionistの「Bells and Claps」プリセットを使用しましょう。

D0パターンを2小節分打ち込みます。

このままでも十分良いサウンドですが、Swingノブを上げることでさらにファンキーに仕上げることができます。76%に設定してみましょう。

クラップが2小節目の一番最後にだけ入ることで、クールな2小節のグルーヴが生まれている点にご注目ください。
4. R&Bドラム
テンポを落として、70 BPMの2小節のR&Bビートを見ていきましょう。定番の80年代R&Bサウンドを再現するため、KontaktのLinndrum Kitを使用しました。

ここには追加要素を入れる余地が十分にあるので、Session Percussionistの「Fat Combo」プリセットを使ってみましょう。

D0を2小節分演奏するようにシーケンスを組みます。

サウンドは素晴らしいですが、ここで表現したい官能的なエネルギーにクラップがあまりマッチしていません。MixerボタンをクリックしてMixerページを開き、Hand ClapsチャンネルのMボタンをクリックしてミュートしましょう。

5. EDMドラム
ハウスミュージックは、豊かでレイヤーされたパーカッションが特によく似合うEDMスタイルです。ここでは、Higher Place ExpansionのBassment KitをBattery 4で使用して作成した120 BPMのハウスビートを紹介します。このビートの前にあるスウィングした少し控えめなC#2のシェイカーに注目してください。これだけでも、パートにファンキーでオーガニックなニュアンスが加わります。

ここにはエネルギーや個性を加える余地がまだまだあるので、Session PercussionistのVoodoプリセットを読み込んでみましょう。

1小節全体にわたってC#0のノートを打ち込みましょう。

プログラミングされたハウスビートに対して、このパーカッションは少しストレートに演奏されているため、Swingを75%まで上げてリズムの一体感を高めましょう。

Humanizeノブを下げることで、ハウスミュージックのグルーヴ重視の性質に合った、よりタイトで安定したサウンドが得られます。0%に設定してみましょう。

これにより、安定感がありながらも、本格的でファンキーな人間らしいスウィング感を兼ね備えたサウンドに仕上がります。
Session PercussionistでリアルなMIDIドラムを実現
ここまで、ポップス、ロック、ファンク、R&B、EDMのドラムパートに、より人間味あふれるフィーリングや多彩なリズム、音色を加えるためのSession Percussionistの活用法を見てきました。これらのテクニックと少しの創意工夫をMIDIドラムのプログラミングに取り入れることで、デジタルビートに生命感と本物の質感をもたらし、楽曲制作をさらにレベルアップさせることができます。
このテーマについてさらに詳しく知りたい方は、グルーヴ感のあるMIDIベースラインの作成方法、ジャズラップビートの作り方、ドラムプログラミングの基礎もあわせてチェックしてみてください。