お気に入りのホラー映画を音を消して観てみてください。あの恐ろしいシーンが急に味気なく、説得力に欠けるように感じられませんか?それは、サウンドこそが映画に没入感をもたらすからです。観客の強い感情を揺さぶることを目指すホラー映画においては、サウンドが特に重要な役割を果たします。
ホラー作品では、不気味な声や環境音から耳をつんざくような不協和音、突然の衝撃音まで、心拍数を跳ね上げる独特なサウンドエフェクトが駆使されます。この記事では、そうした恐怖を煽る5つのサウンドエフェクトの作り方をご紹介します。不気味な音のトリックを活用して、サスペンスを高め、不穏な雰囲気を演出し、衝撃的な瞬間をさらに際立たせましょう。
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Kontakt 8に収録されている強力な劇伴ツール、KitharaとConfluxを使ってこのチュートリアルを進めていきましょう。
ホラー映画のサウンドトラックに必要な要素とは?
ホラー作品のサウンドトラックに必要なのは、単なる音楽だけではありません。画面上のアクションを盛り上げる不気味なサウンドエフェクトも満載されている必要があります。廃坑の不気味なアンビエンスであれ、歪んだ怪物の声であれ、衝撃的な「ジャンプスケア」の瞬間であれ、これらのエフェクトがサウンドトラックを完璧なものにします。ここでは、それらを制作するために必要なツールとテクニックをご紹介します。
楽曲の恐怖感をさらに高めるには?
ホラー映画の楽曲をより恐ろしいものにするには、リバースリバーブなどの幽霊のようなエフェクトや、重々しく不穏なドローン音、「ジャンプスケア」の衝撃音などを加えてみましょう。また、コードやメロディをマイナーキーで作るか、耳をつんざくような不協和音のトーンクラスターを作成してキーの概念から完全に逸脱することも効果的です。音楽にさらなる衝撃を与えるための実証済みのテクニックは数多く存在します。以下でその一部を詳しく見ていきましょう。
ホラー映画の劇伴制作に役立つ5つのホラー系サウンドエフェクトの作り方
不気味な声
セリフの不気味さが物足りないと感じていませんか?あるいは、シーンの背景にこの世のものとは思えないささやき声を追加したいと思っていませんか?このシンプルなサウンドデザインのテクニックを使えば、話し声のボーカルを異界からの不気味な通信へと変化させることができます。必要なのは、リバーブを逆再生(リバース)でかけることだけです。
その仕組みを説明しましょう。まずはドライな状態のボーカルです。
まずはオーディオをリバース(逆再生)させることから始めます。多くのDAWでは、1、2回クリックするだけで簡単に行えます。
次にリバーブを追加します。ここでは、iZotopeのインテリジェントなリバーブプラグインNeoverbのシンプルなVocal Chamberプリセットを選択しました。

次にその結果をオーディオとしてリサンプリングし、再度リバースします。これで声は正方向に戻りますが、リバーブの減衰音(テイル)が逆再生されるため、話し声にこの世ならぬ異次元の質感が加わります。
このテクニックをさらに発展させてみましょう。リバーブやディレイのプラグインの中には、独特の不気味な風味を持つ「リバース」機能を内蔵しているものもあります。その1つが、1960年代の逆再生テープの実験からインスパイアされたPsyche Delayです。これはスタンドアローンプラグインとしても、Guitar Rig 7の一部としても利用可能です。

Reverseボタンを押すだけで、Psyche Delayは瞬時に幽玄なサウンドFXを生み出します。これをドライボーカルに適用した例がこちらです。ディレイ信号のみが聴こえるよう、Dry/Wetミックスを最大まで上げています。
仕上げとして、リバーブとディレイの両方のエフェクトを組み合わせることで、さらに不気味なボーカルを作り出すことができます。
不穏なドローン音
ホラー映画の魅力は、座席から飛び上がるような衝撃的な瞬間だけではありません。より静かなシーンが独特の雰囲気とサスペンスを醸成し、そこでは音楽が決定的な役割を果たします。
シーンの空気感を決定づける、重々しく不穏なドローン音の作り方をご紹介します。
ドローン音の作成にはシンセサイザーも使用できますが、現実世界の音をピッチダウンすると、より雰囲気のある結果が得られることがよくあります。聞き慣れた音が不気味な何かに変貌したのを耳にすることで、観客の不安感が一層掻き立てられるからです。

ここでは、ロンロコと呼ばれるギターに似た楽器のサンプルをピッチダウンしてドローンを作成しました。使用したのは、アコースティック弦楽器の豊富なサンプルライブラリを備えた強力なサンプリングインストゥルメントKitharaです。Kitharaのサンプルの多くは、プロセッシングや特殊奏法を駆使して馴染み深い楽器を異次元のテクスチャーへと変化させており、ホラー映画の劇伴制作にも最適なツールです。
ドローンで複数の音を鳴らす場合は、暗く不穏な雰囲気を演出するためにマイナーキーを維持するようにしましょう。ここではマイナースケールのルート(根音)と3度の音を鳴らしています。
不気味なアンビエンス
映画音楽は観客に明確な場所の感覚を与え、作品の世界へと没入させる手助けをします。ホラー映画においては、幽霊屋敷や湿った洞窟、朽ち果てた地下室など、恐ろしい場所のための不穏なアンビエンスを作り出すことを意味します。
サウンドデザインのテクニックを使って、シンプルなフィールドレコーディング音源をお化け屋敷のような不気味なアンビエンスに変貌させる方法をご紹介します。
まずはサンプルライブラリから見つけた2つの録音素材から始めます。1つ目は車内で録音された音です。これを使って、不穏な低域のゴロゴロとした鳴動音(ランブル)を作成します。
2つ目はロッキー山脈の風の音です。これを加工して、不気味にうめくような音を作り出します。
まずはランブル音から始めましょう。フィルターやEQを使って車内の録音から高音域を取り除くだけです。ここでは、無償で利用可能なプロクオリティのイコライザーOzone 11 EQを使用しました。

これにより、観客を不安に陥れるサブリミナルな重低音のランブルが生まれます。不気味な洞窟や謎めいた地下施設の音響的背景にぴったりです。
次に、風の録音を恐ろしい背景FXへと変化させましょう。ここではGuitar Rig 7を使用します。この強力なサウンドデザインツールは、単なるギタリスト向けのバーチャルリグにとどまらず、何十ものエフェクトを組み合わせて劇伴に最適な異世界のサウンドを作り出すことができます。

まず、高レゾナンスのフィルターによって風の音を不気味なうなり声のようなトーンへと変貌させます。ここでは2つのフィルターを1つに統合したGuitar RigのDoppel Filterを使用しました。さらに、フィルターのカットオフをオートメーション化してランダムに揺れ動くように設定します。
次に、ディレイとリバーブをたっぷりと使ってサウンドの不気味さを際立たせます。Psyche Delay(ここでもReverseモード)を追加して幽玄なエッジを与え、さらに2つのリバーブエフェクトで不穏な濁りと奥行きを加えます。下層にあるランブル音と組み合わせたサウンドを聴いてみましょう。
不協和音テクスチャー
不協和音(ディソナンス)は、緊張感を高めて恐怖を呼び起こす強力な手法です。
不協和音とは、ぶつかり合う音を組み合わせることです。MIDIキーボードで隣り合う3つの音を同時に弾くだけで、不協和音のコードを簡単に作成できます。
不協和音はホラー作品において、ショックや恐怖を増幅させるためによく使用されます。最も有名な例は、アルフレッド・ヒッチコック監督の映画『サイコ』(Psycho)で突き刺すように響くストリングスのモチーフです。
ここではストリングスを使って、オリジナルの不協和音テクスチャーを作成します。さらに現代的な雰囲気を加えるため、シンセサイザーとレイヤーしてみましょう。
劇伴制作においてシンセサウンドとアコースティックサウンドのレイヤーを容易にする強力なハイブリッドインストゥルメント、Confluxを使用します。

まず、ストリングスのサンプルとウェーブテーブルシンセの音源を組み合わせて、豊かで耳を刺すようなサウンドを作ります。Confluxの強力なエフェクト群でリバーブを少し加えれば、あっという間に不協和音テクスチャーの完成です。
今のところ少し静的なサウンドに聴こえます。サウンドレイヤーのピッチを滑らかに揺れ動かすことで、動きと変化を加えてみましょう。

これはConfluxのLFOを使って実現できます。シンセレイヤーとストリングスレイヤーのピッチがそれぞれ逆方向に変化するようにアサインしました。その結果、鳥肌が立つような不快感を与える、音がぶつかり合う不協和音サウンドが完成します。
ジャンプスケア
ホラー映画で最も記憶に残る瞬間は、アドレナリンが一気に吹き出すような突然の恐怖シーンです。サウンドはこれらの瞬間を演出して強調し、何かが迫っていることを観客に予感させ、それが訪れたときの衝撃をさらに増幅させる役割を果たします。
不協和音テクスチャーとパーカッションを使ってジャンプスケアを作成する方法をご紹介します。

まずは前のセクションで作成した不協和音のストリングスを再利用します。恐怖が迫るにつれてサウンドがより強烈になるよう、音量、フィルターカットオフ、ピッチといったパラメーターをオートメーションするだけです。上の画像でオートメーションレーンをご確認いただけます。
次に、ドラマチックで重低音の響くパーカッションを加えます。ここでは映画音楽にインパクトのあるパーカッションを加えるために設計されたKontaktインストゥルメント、Action Strikesを使用します。

轟音を響かせるメタルヒットと壮大なタムタムを使用しました。ストリングスと同様に、これらのドラムも最初は控えめに始まり、突然速く鋭くなります。そして「ジャンプ」の瞬間は、脈打つようなサブインパクトで締めくくられます。
ドラムと不協和音が合わさったサウンドを聴いてみましょう。クライマックスには、さらなる幽玄さを加えるために、先ほど作成した不気味なボイスも重ねています。
ホラー向けサウンドエフェクトを楽曲で活用
この記事では、ホラーサウンドトラックをグレードアップさせる5つの不気味なサウンドエフェクトの作り方をご紹介しました。幽霊のようなボイスから衝撃的なジャンプスケアまで、シンプルなサウンドデザインの手法を使って、本格的な恐怖を演出するオーディオを作成できることを解説しました。
これらのテクニックをご自身の映画音楽に取り入れたいなら、適切なツールを揃えることが重要です。KitharaとConfluxは、劇伴制作のために設計されたパワフルなハイブリッド音源です。奥深いサンプルライブラリと幅広い調整オプションを備え、次なるホラーサウンドトラックに最適なツールです。どちらもNative Instrumentsのフラッグシップ・サンプリングプラットフォームであるKontakt 8に収録されています。