音楽におけるシーケンスとは、その言葉通り連続して演奏される一連の音符(ノート)を意味します。クラシック音楽ではこうしたシーケンスは手弾きで演奏されますが、シーケンサーを使えばパターンを保存し、自動的に再生することができます。
シーケンサーはサウンドを生み出すまったく新しい手法を確立し、ミュージシャンと楽器の間にこれまでにない新たな関係を築き上げました。この記事では、シーケンサーの概要や種類、そしてそれらを音楽制作で活用する方法について詳しく解説します。
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KOMPLETE Play Seriesのシーケンサー内蔵インストゥルメント(IGNITION KEYSやEMPIRE BREAKSなど)を使いながら、この記事を読み進めてみましょう。
音楽におけるシーケンサーとは?
音楽のシーケンサーとは、各パートをリアルタイムで演奏または録音する代わりに、ノート、リズム、エフェクトのシーケンスをプログラムして自動的に再生できるツールです。シーケンサー自体はサウンドを生成しません。その代わり、MIDIやCV情報を送信して、他のインストゥルメントやエフェクトパラメーターをトリガーします。
シーケンサーをプログラミングする際は、通常、ノート/ピッチ、ノートの長さ、パターンの長さ、ベロシティ、エフェクトパラメーターなど、複数の要素をコントロールできます。つまり、シーケンサーを使えば、指定した時間軸に沿った演奏をプログラムすることが可能です。
シーケンサーは現代のエレクトロニック・ミュージック制作の中核であり、シーケンスされたドラムビートやシンセサイザーのパターンのループをもとにアレンジが構築されます。また、ライブ演奏におけるバッキング(伴奏)としても重宝します。
シーケンサーには、ハードウェアとソフトウェアの両面でさまざまな形態が存在します。ピアノなどの外部楽器をシーケンサーと同期させて全体のテンポを一定に保つこともでき、コンピューターのDAWはノンリニアな楽曲制作を新たな次元へと引き上げました。しかし、今日の音楽プロデューサーが最もよく使用しているシーケンサーは、DAWのピアノロールとステップシーケンサーです。
ピアノロール
ピアノロールは、ソフトウェアによるシーケンス制作において最も広く使用されている入力方式です。ピアノロールは、一方の軸にタイムライン、もう一方の軸にキーボードが配置されたデジタルグリッドであり、コンピューターのマウスでノートを描き込んだり、MIDIキーボードを使って録音したりできます。いわばデジタルのピアノシーケンサーのようなものです。

ステップシーケンサー
ステップシーケンサーも人気の高いシーケンサーの1つで、4/4拍子の16分音符4小節分に対応する16ステップの並びが特徴です。これを拡張して、32ステップや48ステップなどのより長いパターンをプログラミングすることもできます。
各ステップには、ピッチ、ノートの長さ(「ゲート」とも呼ばれます)、ベロシティ(または音量)のほか、フィルターのカットオフやレゾナンスなどのパラメーターを割り当てることができます。個々のステップを細かく調整することで、興味深いリズムを構築し、ダイナミクスを加えることができます。

音楽制作におけるシーケンサーの活用法
ピアノロールとステップシーケンサーはどちらも演奏をプログラミングできますが、それぞれ異なるワークフローや作曲のインスピレーションを与えてくれます。通常、ピアノロールはライブレコーディングやMIDIおよびオーディオデータの詳細な編集に最適です。一方、ステップシーケンサーはそのシンプルさゆえに、さまざまな音楽的アイデアを素早く試すのに適しています。いずれもそれぞれの強みがあり、ドラムパターン、メロディ、ベースライン、サウンドのプログラミングに大いに役立ちます。それでは、音楽制作におけるシーケンサーの主な活用法を見ていきましょう。
ドラムパターン
ドラムマシンの使い方には、リアルタイムのフィンガードラミングとステップシーケンスという2つの主要なアプローチがあります。
リアルタイムのフィンガードラミングは、DAWのピアノロールに録音されます。DAWの録音ボタンを押してパートを演奏するだけで、パフォーマンスをキャプチャできます。また、ペンシルツールを使ってノートを描き込むことも可能です。

上の画像では、典型的なハウスやディスコのビートがDAWのピアノロール上でシーケンスされています。ウィンドウは16分音符に分割されており、4拍で1小節を構成しています。このパターンはバーチャルドラムマシンをトリガーしており、各列がキット内の異なるサウンドに対応しています。
小節内のすべてのダウンビートで規則正しい「4つ打ち」のキックが鳴り、2拍目と4拍目にはスネアが重なります。上の列ではハイハットがより速いリズムを刻んでおり、キックの合間のアップビートごとにオープンハイハットが入り、クローズドハイハットが16分音符を埋めています。ノートのベロシティには2種類あり、ビートにダイナミックなシャッフル感を加えています。ビートがグリッドにきっちりとクオンタイズされているのが確認できます。ノートの配置やスウィングを変えたり、さまざまなサウンドの組み合わせを試すことで、楽曲全体の雰囲気を劇的に変えることができます。
また、ステップシーケンサーを使用してドラムパターンを作成することもできます。ステップシーケンサーは、さまざまなアイデアを素早く試すのに便利です。ステップシーケンサーを使用すると、一定のループ期間(8拍、16拍、32拍など)にわたって、小節内の拍にドラムの打面を割り当てることができます。ステップシーケンサーでドラムパートを構築するデメリットは、人間の演奏特有の微細な揺らぎが欠けてしまう点です。シーケンサーでプログラミングされたドラムビートは、タイミングやベロシティなどが完璧になってしまいます。しかし、多くのドラムマシンでは、リズムのスウィングや各ヒットのタイミング、ベロシティを調整して、機械的な質感を和らげることができます。
MASCHINEは、ドラムなどのシーケンス制作に対応するNative Instrumentsのオールインワン・ワークステーションです。16個の高感度パッドを使ってリアルタイムにドラミングや編集を行えるPad modeや、シーケンサーのようにプログラミングやオートメーションを行って、より緻密な表現を可能にするStep modeを備えています。
ベースラインとメロディ
シーケンサーは、ベースラインやメロディのプログラミングにも使用されます。リアルタイムで演奏することも、ピアノロールにノートを描き込むこともできます。あるいは、ステップシーケンサーをプログラミングして一連のノートを演奏させることも可能です。どちらの方法でもシーケンスをループして繰り返すことができます。プログラミングしたメロディをシーケンサーにバックグラウンドで再生させておくことで、アレンジの他のパートやミックスの調整に集中することができます。
多くのシンセサイザーにはステップシーケンサーが内蔵されており、指定した期間にわたって異なる拍にノートを割り当てることができます。Native InstrumentsのTRK-01は、キックとベースに特化したシンセサイザーです。シンプルでありながら洗練されたステップシーケンサーを搭載し、各ステップのモジュレーションやオートメーションを描き込んだり、パターンを切り替えて多彩なアレンジやライブセットを展開したりできます。
制作を始めたばかりのプロデューサーには、インスピレーション源としてPlay Seriesがおすすめです。多彩なジャンルのプリセットサウンドが満載で、すぐに演奏することも、便利な内蔵ステップシーケンサーでプログラミングすることもできます。
下で紹介しているのは、柔軟な16ステップシーケンサーを備えた40s VERY OWN KEYSです。フィルターやディストーションなど、アサイン可能な最大6つのマクロをモジュレーションすることもできます。

サウンドデザイン
シーケンサーは、サウンドをバックグラウンドで再生しながらパラメーターを操作できるため、サウンドシンセシスのツールとしても有用です。一連のノートを録音またはプログラミングしてサウンドを操作し始めるだけで、音色の変化をリアルタイムに確認できます。
ステップシーケンサーは、通常キーボードを使用しないモジュラーシンセサイザーで特に重宝されます。モジュラーシステムでノートを鳴らす唯一の方法は、中核となるシーケンサーを介してシーケンスをプログラムすることです。モジュラーシンセシスの世界に興味があるなら、使いやすさと演奏性を重視して設計されたソフトウェア・シンセモジュール集BLOCKS PRIMESがおすすめです。これはNative InstrumentsのREAKTORプラットフォーム上で動作します。REAKTORを使用すれば、インストゥルメントをゼロから構築したり、あらかじめ用意されたラックを微調整したりして、モジュラーのパッチングやシーケンス制作で自由かつ実験的なクリエイティビティを発揮できます。
モジュラーの醍醐味の1つは、マシンがまるで独自の意志を持ったかのように動作する点にあります。REAKTORで構築されたジェネレーティブ・シーケンサーのリストをぜひチェックしてみてください。単純なステップの枠を超え、適度なランダム性を導入することで、より複雑で予測不能なパターンを生み出すことができます。
オートメーション
シーケンサーはエフェクトパラメーターのオートメーションにも使用できます。使用するシーケンサーツールによって、オートメーションのプログラミング方法は異なります。
異なる拍でノートをトリガーして鳴らすのと同じように、異なる拍でエフェクトを作動させることもできます。例えば、ステップシーケンサーを使用すれば、スネアが鳴るたびにリバーブを適用するのではなく、1回おきにリバーブエフェクトをトリガーするといったことが可能です。
また、DAWの内蔵シーケンサーを使用してエフェクトをオートメーション化することもできます。オートメーションを適用したいパラメーターのオートメーションレーンを開き、ペンシルツールを使ってノブやスライダーの時間経過による動きを描き込むだけです。
MASCHINEのステップシーケンサーでエフェクトをオートメーション化する方法については、以下の動画でご覧いただけます。
音楽制作でシーケンサーを活用しましょう
シーケンスを活用することで、制作のワークフローがスピードアップし、楽曲に新たなテクスチャーやサウンドをもたらす全く新しいツールキットが手に入ります。シーケンサーの基本を理解したら、ぜひご自身の音楽制作で活用してみましょう。DAWのピアノロールでビートをシーケンスしてみるのも、40s VERY OWN KEYSのようなインストゥルメントのステップシーケンサーでさらに深く掘り下げてみるのもおすすめです。