近年、ローファイ(Lo-fi)は音楽シーンに大きな影響を与えています。そのリラックスできる落ち着いた雰囲気は、勉強や仕事、忙しい一日の終わりにひと息つくのに最適です。また、このジャンルによって、数多くのベッドルームアーティストが数百万回もの再生回数を獲得してきました。ビートメイカーやプロデューサーなら、自分でもローファイミュージックを作ってみたいと考えたことがあるのではないでしょうか。これから制作を始める場合、まずは基礎をいくつか身につけておく必要があります。その1つが、チルなビートの上に重ねる定番のローファイコード進行です。今回は、ローファイのコード進行を作る方法について詳しく見ていきましょう。
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ローファイミュージックなどの制作を始めるのに最適なインストゥルメント、サウンド、ループが無償で揃うKomplete Startを使って、このチュートリアルを進めていきましょう。
ローファイコード進行とは?
自分で曲作りを行うなら、音楽理論の基本を知っておくことが大切です。音楽理論において欠かせない要素の1つがハーモニー(和声)であり、コード(和音)はここから生まれます。
2つ以上の音が同時に演奏されると、ハーモニーとコードが生まれます。コードの最も基本的な形は「トライアド(3和音)」と呼ばれます。トライアドを作るには、スケール(音階)を選び、そのスケールから1音飛ばしで3つの音を重ねるだけです。実際にCメジャースケールからコードを作ってみましょう。
Cメジャースケールの構成音は、C、D、E、F、G、A、B(そして再びC)です。

スケールの最初の音から始めると、Cを選び、1音飛ばして(D)、Eを選び、さらに1音飛ばして(F)、Gを選びます。これでC、E、Gという音が残り、これがCメジャーコードになります。
この原理を使うと、メジャースケールから7つのトライアドを作ることができます。これらのコードはローマ数字で表記されます:
- I: Cメジャー
- ii: Dマイナー
- iii: Eマイナー
- IV: Fメジャー
- V: Gメジャー
- vi: Aマイナー
- vii°: Bディミニッシュ

コードを読み解く際、ローマ数字はハーモニーの「性質(クオリティ)」を示す重要な役割を果たします。大文字のローマ数字はメジャーコードであることを示し、小文字はマイナーコードであることを示します。また、度数記号(°)が付いている場合はディミニッシュコードであることを意味します。
このように、トライアドには主にメジャー、マイナー、ディミニッシュという3つの基本タイプが存在します。これらはそれぞれ異なる響きを持っています。コードのニュアンスを言葉だけで説明するのは難しいですが、楽曲制作で使うコードに特定の感情を結びつけてイメージしてみるのがおすすめです。
メジャートライアドは明るくハッピーな響きを持ちます:
マイナートライアドは悲しげでダークな響きを持ちます:
ディミニッシュトライアドは不安定で緊張感のある響きを持ちます:
ローファイのトラックには、セブンスコード(7の和音)がよく使われます。これはトライアドに似ていますが、上にさらに1音追加されており、「エクステンション(テンションノート)」と呼ばれます。トライアドを作るときに、スケールの音を1つ選んで1音飛ばし、次の音を重ねたのを覚えているでしょうか。同じ原理を使って、コードにエクステンションを追加することができます。その追加される音が「7度(セブンス)」であり、コードにジャジーな響きをもたらします。

ローファイのコード進行には、いくつかの種類のセブンスコードが登場します。後ほど聴くことになるコードを、まずはメジャーセブンス(maj7)から確認してみましょう。次のような響きになります:
マイナーセブンス(m7):
そしてドミナントセブンス(単に「7」と表記):
ここでは深く掘り下げませんが、エクステンションは13度(サーティーンス)まで拡張することができます。コードエクステンションを試すには、使っているコードの上にスケール内の音をさらに重ねてみてください。こうした複雑なコードエクステンションは、ローファイコード進行特有のキャラクターを生み出す重要な要素となっています。
コードの仕組みが理解できれば、コード進行を把握するのは難しくありません。他のあらゆるジャンルと同様に、ローファイのコード進行も特定の順番で演奏したときに心地よく響くコードの組み合わせです。
特にローファイのコード進行は、循環的な展開が多いのが特徴です。ごく少数のコードが何度も繰り返されることがよくあります。このミニマルな反復とシンプルさが、このジャンルのレイドバックした独特のヴァイブスを生み出しています。
ローファイミュージックに最適なキーは?
ローファイミュージックに最適なキーは、最終的には個人の好みによります。同じコード進行をさまざまなキーで試してみて、自分の心に響くものや、楽曲で表現したい感情にマッチするものを見つけてみてください。
どの音楽を制作する場合でも、本質的に優れているキーや劣っているキーというものは存在しません。そのため、ローファイのコード進行はどんなキーでも演奏でき、特定のキーだけが格別に優れているということはありません。
おさらいとして、音楽における「キー(調)」とは楽曲の中心となる音(主音)のことを指します。これは通常、スケールの第1音(主音)と同じです。したがって、スケールがCから始まる場合、キーはCになります。スケールの第1音上のコードがメジャーであれば、キーはCメジャーになります。
楽曲の中心となるスケールの第1音やその関連コードから離れると緊張感(テンション)が生まれ、その音やコードに戻ると緊張感が解消(解決)されます。
一般的なローファイコード進行のユニークな特徴は、さまざまな手法によって緊張感を完全には解決させないことが多い点です。つまり、コード進行が終着点(通常はIコード)にたどり着いて完結した感覚を与えません。和声の緊張を解決しないでおくと、音楽が不安定に感じられることもありますが、ローファイにおいては不快感ではなく心地よい「浮遊感」を生み出してくれます。
楽曲制作で使えるローファイコード進行
基礎知識を確認したところで、オリジナルのローファイミュージックを制作するための定番コード進行をいくつか見ていきましょう。
以下ではこれらのコードの基本形を紹介していますが、ぜひセブンスなどのコードエクステンションも試してみてください。セブンスや音楽理論の基礎に慣れてきたら、ナインスやイレブンスをローファイコード進行に加えて実験してみましょう。
ここで紹介する例は、すべてCメジャー/Aマイナーのキーで解説します。
1. Imaj7 – vim7:Cmaj7 – Am7
このコード進行は、ローファイミュージックにおいて「シンプルなほど効果的」であることが多い好例です。わずか2つのコードからなるVI-iは、チルで循環的、かつリラックスした雰囲気を作り出します。
Nojiの「On My Way」で、このコード進行を聴いてみましょう。このバージョンでは、音の曖昧さと彩りを加えるためにviコードに9thのエクステンションが追加されています:
2. ivm7-im7-ivm7-im7-III:Dm7 – Am7 – Dm7 – Am7 – C major
このコード進行でも、2つのコードの反復が聴かれます。ただし、こちらにはIIIという「パッシングコード(経過和音)」が含まれています。このコードは進行に不可欠なものではありませんが、iとivの間を行き来するための「足がかり」を作り出します。
この展開は、Midnight Hourの「Wanderlust」で聴くことができます:
3. I-iii-vi-V:C major – E minor – A minor – G major
これはポップスをはじめ、さまざまなジャンルで親しまれている定番のコード進行です。コードエクステンションを加えることで、チルなローファイのテイストへとアレンジすることができます。
Hazueの楽曲「Organic」では、この人気コード進行をよりローファイらしく響かせる好例を聴くことができます。
4. IVmaj7-iiim7-vim7:Fmaj7 – Em7 – Am7
この進行に何か特異な点があることにお気づきでしょうか? 実はIコード(Cメジャー)がまったく含まれていません。本来であればIコードがこの進行を解決し、完結感を与えます。Iコードがないことで、永遠に続きそうな感覚をもたらす進行に仕上がっています。
解決せずに循環し続けるこのコード進行は、Suttonの「Botanical」で聴くことができます:
5. im7-VI-V7:Am7 – F major – E7
最後にご紹介するこのコード進行は、ドミナントセブンスコードへと下行し、本来なら解決を強く促す動きが特徴です。しかし、そこから解決せずに最初に戻ることで、ここでもループし続ける展開が生まれます。
この進行は、swiftlyの「escapism」で聴くことができます。
ローファイコード進行を取り入れてみましょう
チルでリラックスできる音楽を作りたいプロデューサーやビートメイカーの方は、今回ご紹介した定番のローファイ・コード進行をぜひ活用してみてください。これらのコード進行が広く親しまれているのには理由があり、誰かに独占権があるわけでもありません。ぜひご自身のオリジナル楽曲で試して、今日からローファイ制作の旅を始めてみましょう。