90年代のカルチャーがリバイバルを果たす中、当時の音楽シーンを代表するサウンドの1つである「シューゲイズ」を掘り下げてみましょう。圧倒的な大音量と空間を包み込むファジーなテクスチャーで知られるシューゲイズは、同時代に登場したグランジに見られるパンクやメタルの影響に比べ、よりインディーロック的な雰囲気を漂わせています。
伝統的な楽器からエフェクトを革新的に駆使して新たなトーンやテクスチャーを生み出したシューゲイズは、その後のポピュラー音楽全般に控えめながらも確かな影響を与えてきました。
本ガイドでは、シューゲイズの過去、現在、そして未来について解説します。現代のプロダクション環境のパワー、そして高品質なソフトウェアエフェクトやインストゥルメントの手軽さを活かせば、可能性は無限に広がります。
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スピーディーかつ直感的な制作のために設計された強力なマルチエフェクトラック&アンプシミュレーター、Guitar Rig 7 Proでシューゲイズサウンドを手に入れましょう。
シューゲイズ音楽とは?
シューゲイズはオルタナティブロックの一種で、歪んだギターによる高密度で煌びやかなテクスチャー、地鳴りのようなドラム、そして深いリバーブに包まれたドリーミーなボーカルを特徴としています。
シューゲイズはイギリスで生まれ、80年代後半から90年代前半にかけて人気を博しました。「シューゲイズ」という呼称は、大西洋の向こう側で同時期に台頭していた「グランジ」と同様、当初は批判的な音楽ジャーナリストが作った蔑称でした。
「シューゲイジング(靴を見つめること)」という言葉は、巨大スタジアムで演奏するロックバンドのようなカリスマ性や男らしさを持たず、ステージ上で直立不動のまま床を見つめて演奏する姿を揶揄したものでした。
この音楽は意図してメインストリームから距離を置いており、その内向的で控えめな姿勢がシューゲイズというジャンルの美学となりました。SlowdiveのSimon Scottはこれを「アンチ・ショーマンシップ」と呼びました。
しかし、「シューゲイズ」という言葉にはもうひとつの意味があります。シューゲイズサウンドを構成する最も重要な要素はギターのエフェクターペダルであり、特にディレイとディストーションが多用されます。アーティストたちは単に自分の靴を見つめていたのではなく、足元のペダルボードをリアルタイムで操作していたのです。
シューゲイズサウンドの根底にあるのは、ファズやディストーションペダルに、長く減衰するディレイやリバーブを組み合わせて作られる圧倒的なギターノイズの壁です。そして、コーラス、トレモロ、フランジャー、フェイザーなどのエフェクトによって、揺らめくようなダイナミクスが生み出されます。
シューゲイズ全盛期に使われていた多くのペダルは現在も流通しており、比較的リーズナブルに入手可能です。また、Guitar Rig 7 Proを使えば、多彩なアンプやエフェクトを便利なソフトウェア形式で自在に試し、重ね合わせることができます。
シューゲイズ音楽の歴史
シューゲイズのルーツは、60年代のサイケデリックロックや、(90年代初頭にイギリスツアーを行った)Dinosaur Jr.やSonic Youthなどのアメリカのインディーズサウンドにあります。初期に影響を与えたその他の存在としては、The Velvet Underground、the Cure、Siouxsie and the Banshiesなどが挙げられます。また、スコットランド出身の2つのバンド、Cocteau TwinsとJesus and Mary Chainは、シューゲイズスタイルの先駆者として広く認められています。
シューゲイズは、極限まで引き上げられたエフェクトと圧倒的な音量を特徴とする独自のサウンドへと進化していきました。90年代初頭の全盛期には、My Bloody Valentine、Ride、Lush、the Pale Saints、Swervedriver、Catherine Wheelといった、より重厚なシューゲイズサウンドを鳴らす巨頭たちがシーンを牽引しました。
シューゲイズの特徴的なサウンドはギター、ベース、ドラムを中心に構築されていますが、バーチャルインストゥルメントを使用すれば、クラシックなロックバンドの編成を再現できます。
シューゲイズシーンは前向きで協力的なコミュニティとしても知られ、当時の他の音楽シーンに比べて女性メンバーやボーカリストの存在感が大きいのも特徴でした。しかしその魅力にもかかわらず、90年代半ばにイギリスでのブリットポップやアメリカでのグランジの大成功といった近接ジャンルが爆発的な人気を博したことで、シューゲイズはやがて脇へと追いやられてしまいます。グランジやブリットポップはより親しみやすく共感しやすかったのに対し、シューゲイズは自己陶酔的で難解、あるいはマニアックすぎると揶揄されることもありました。著名なバンドや名盤はいくつか存在するものの、シューゲイズは昔も今もカルト的なシーンでありニッチなサウンドです。それでもなお、シューゲイズが与えた影響は現在に至るまで生き続けています。
シューゲイズを代表する名曲
My Bloody Valentine – “Only Shallow”
My Bloody ValentineのLoveless(1991年)は、シューゲイズというジャンルを完璧に体現した、まさに決定盤と呼ぶにふさわしい歴史的名盤です。
アルバムのオープニングを飾る「Only Shallow」から、聴き手は圧倒的で陶酔感あふれるノイズの波に打ちのめされます。この曲は、重厚で直感的なサウンドと、ドリーミーで感傷的な要素という、シューゲイズ特有の融合を見事に示しています。ノイズに満ちたテクスチャーの底に美しいメロディーが隠されており、刺激的でありながら深い充足感をもたらすリスニング体験を与えてくれます。
コードが歪んでピッチベンドしているように聴こえる点に注目してください。このテクニックはMBVのギタリスト、Kevin Shieldsが生み出したもので、ストロークしながらトレモロアーム(ワーミーバー)を操作することで、酔いしれるような浮遊感のある揺らぎを生み出し、後に多くのフォロワーを生みました。
“Ride” – Vapour Trail
Rideは1990年のデビュー作Nowhereでシューゲイズのクラシックを生み出しました。このアルバムは伝説的な評価を獲得し、シューゲイズシーンの枠をはるかに越えて注目を集めました。
バンドは、ドローンを響かせるリフや重厚なドラムと、キャッチーでメロディックなポップセンスとの見事なバランスを見出しています。「Vapour Trail」ではバンドのよりソフトな一面を覗かせつつ、繰り返されるコードパターンが長い催眠的なセクションへとループすることで、力強く高まるエネルギーを維持しています。
1996年にRideが解散した後、ボーカル兼ギタリストのAndy BellがOasisに加入したことは、カルチャーの潮流がシューゲイズからブリットポップへと向かっていたことを物語っています。
“The Verve” – Blue
The Verveは一般的にシューゲイズのバンドとはみなされていませんが、彼らの初期の作品にはこのジャンルの特徴が随所に散りばめられています。
1993年にリリースされたデビューアルバムA Storm in Heavenは、その後に訪れる世界的な成功(1997年の大ヒット曲「Bittersweet Symphony」がその頂点)に先駆けて発表された作品です。
当時のオルタナティブシーンをより色濃く反映したこのアルバムは、テープエコーとリバーブの陶酔的な混ざり合いが特徴で、技巧的な速弾きよりもギターのテクスチャーに重点が置かれています。
「Blue」はラジオシングルにも適したまとまりのある楽曲構成を持っています。一方でアルバムの他の楽曲では、レコーディングセッションに持ち込まれた即興性と自発性を反映し、より自由でゆったりとしたジャムを展開しています。

シューゲイズ制作の4つのヒント
シューゲイズというジャンルの背景を探り、代表的な楽曲を聴いていただいたところで、続いては自身の楽曲制作にそのエッセンスを取り入れるための4つのヒントをご紹介します。
1. エフェクトで各楽器を融合させる
シューゲイズサウンドの鍵は、ギター、ドラム、ボーカルをいかに1つの濃密な音像へと溶け込ませるかにあります。
シューゲイズにおいて、エフェクトこそが音楽そのものです。演奏されたり歌われたりする音自体は非常にシンプルであることが多いものの、エフェクト処理を経た出音は壮大で圧倒的なものになります。
リバーブやディレイなどの空間系エフェクトを活用して、奥行きと広がりを生み出しましょう。フィードバックやウェット信号を引き上げることで、重厚で長く持続するテイルが加わり、音符やコードが積み重なって壮大な音の壁が作られます。
ただし、ミックスが濁りやすいため、繊細なEQ処理や各要素の適切なバランス調整が重要です。Brainworxのbx_delay 2500は多彩な機能を備えたソフトウェアディレイで、コーラス、ディストーション、コンプレッションが内蔵されており、理想的なブレンドを見つけるのに役立ちます。
2. ディストーションでファズや歪み、ノイズを生み出す
シューゲイズの演奏は大音量(LOUD)で知られています。押し寄せるファズ、歪み、ノイズなど、ディストーションはこのサウンドにおいて大きな役割を果たします。My Bloody Valentineの場合、ギタートーンはその強烈さのあまり崩壊し、ひび割れているかのようにすら聴こえます。
90年代のシューゲイズ黄金期にはハードウェアのギターペダルが主流でしたが、現代では強力なソフトウェアプラグインも活用できます。iZotopeのTrash 2のように、それ自体がアイコンとなったプラグインもあります。Trash 2は開発終了となりましたが、ディストーションをミキシングプロセスに統合するツールとして、Neutron 4の「Trashモード」の中に今も息づいています。
シューゲイズで効果的なテクニックの1つが、ディストーションをシグナルチェーンの最後に配置することです。これにより、長いリバーブの余韻や他のエフェクトをまとめて歪ませ、潰すことができます。
3. 現代のシューゲイズ要素を取り入れる
シューゲイズの最盛期は短命に終わったものの、数多くの派生ジャンルを生み出し、新しいアーティストたちによって再構築されながら受け継がれてきました。シューゲイズの特徴的なサウンドは時とともに広がりを見せ、ヘヴィメタル、アンビエント、エレクトロニカなど、他のジャンルとも融合していきました。
ドリームポップのメロディックなサウンドは、現代のローファイやチルウェーブといったジャンルに明らかな影響を与えています。また、その対極として、浮遊感のあるシューゲイズのドローンとブラックメタルのダークなトーンを融合させた「ブラックゲイズ」も誕生しました。
シューゲイズが与え続ける影響について語り、自身が作成したGuitar Rigのカスタムプリセットコレクションを紹介しているDeafheavenのKerry McCoyへのインタビューもぜひチェックしてみてください。
4. エフェクトを使って他の楽器にもシューゲイズの質感を加える
シューゲイズの未来を考えるなら、その歪んだギターサウンドやエフェクトチェーンをエレクトロニック・ミュージックの制作領域へと持ち込むのは自然なステップと言えます。
シューゲイズのトーンや質感を、さまざまな楽器やサウンドパレットに応用してみましょう。例えば、シンセパッドに深いディレイとディストーションをかけて強烈なノイズの渦を作り出したり、デジタル音源のピッチベンド機能を使って、シューゲイズ特有の滑らかに揺らぐリードラインを再現したりできます。
プロデューサーのOrchinは、伝統的なギター主体のサウンドをベースにしながら、バーチャルインストゥルメントを使って「フェイク」のギターサウンドを生み出し、90年代のノスタルジーに現代的なアレンジを加えるアプローチについて、Instagram上でNative Instrumentsに語っています。
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シューゲイザーの楽曲制作をスタート
シューゲイザーのスタイル、歴史、そしてドリーミーな制作要素への理解が深まったところで、次はオリジナルのシューゲイザートラックを制作してみましょう。最適な第一歩としてGuitar Rig 7 Proをチェックし、完全ガイドで音楽制作についてさらに詳しく学びましょう。