|Native Instruments

Corren Caviniが語る、デビューアルバムにおけるサウンドを通じた物語の構築

シェア リンクをコピーしました
corren cavini featured

オランダ人プロデューサーのCorren Caviniは、クラブのエナジーとエモーショナルなストーリーテリングの境界線を曖昧にするような楽曲を一貫して制作してきました。Purified Recordsからリリースされたデビューアルバム『A Place To Call Home』は、そのバランスを洗練させ、1つのまとまりある音楽の旅へと結実させた作品です。どのトラックにも意図が込められ、単なる楽曲構成にとどまらず、空間、メロディー、そして空気感によって形作られています。

生楽器とエレクトロニックの緻密さを組み合わせた独自の手法を軸に、アルバムは内省と躍動の間を滑らかに行き来します。その制作プロセスの中心にあったのが、Caviniが作品の感情の核を固めるのに役立った2つのツール、KontaktとRaumでした。Noireの温もりからRaumのクリアな空間描写まで、すべてのサウンドは温もりと生々しさが宿る環境を構築するために厳選されました。

全12曲を通して、『A Place To Call Home』はまるで1つの物語のように展開します。サウンドを通じて居場所を築くことの意味、そしてテクノロジーがいかにしてそのつながりを極めて人間味あふれるものにできるかを描き出しています。

本記事では、Caviniがアルバムの制作プロセスと、サウンドデザインによって感情の構造をいかに形作っていったかを語ります。

セクション一覧:

Kontakt、Raum、Noire、Session Strings 2をはじめとする数多くのクリエイティブなインストゥルメントやエフェクトは、360 PlusおよびProサブスクリプションでご利用いただけます。

360サブスクリプションの詳細を見る

Corren CaviniによるRaumのカスタムプリセットを無料でダウンロード:

無料のRaumプリセットを入手

『A Place To Call Home』のエモーショナルなトーンを楽器に反映させるために、サウンド選びにどのようにアプローチしましたか?

曲によって本当に様々ですが、全体として、曲作りの大半はピアノの前に座った自分だけという、極めてシンプルで飾り気のない状態から始まりました。ピアノがアルバム全体で極めて重要な役割を果たしているのはそのためです。ピアノは楽曲の感情の土台を築く場所なのです。そのピアノは曲が語るべきストーリーに応じて、ナチュラルでクリーンに響くこともあれば、ざらついた質感やテクスチャーを帯びることもあります。

Corren Cavaini NI Kontakt Noire

そこから、単に曲をプロデュースするというよりは、物語の劇伴を作曲するかのように、各トラックでどのような感情を呼び起こしたいかを深く考えました。例えば「Agoraphobia」では、オーケストラ音楽の壮大さとテクノのメロディックな激しさを融合させたいと考えました。つまり、シンセの壮大なエナジーとオーガニックなストリングスのアレンジを組み合わせるということです。そのため、ストリングス、ホルン、ヴィオラがエレクトロニックなテクスチャーと混ざり合うサウンドが聴こえるのです。

一方で「Listen to the Silence」では、よりトランス的でレイヴ感のあるものを求めていたため、サウンドデザインもそうしたクラブ寄りのトーンに傾倒しました。そして「Autumn Sun」のような楽曲では、迷いなくスケールの大きなサウンドを採用しています。これらはパワフルなダンスフロアの瞬間を連想させるサウンドです。すべては「自分はどんな感情を表現しようとしているのか?」という問いかけから始まっています。私にとって、そうした感情のストーリーテリングこそが、書く曲すべての礎なのです。

Corren Caviniからのプロのアドバイス:使わなかったアイデアは保存しておきましょう。あるトラックに合わなかったサウンドが、別のトラックには完璧にフィットすることもあります。クリエイティビティは一直線に進むものではなく、自分自身との長い対話なのです。

アルバムの中で、NoireやSession Strings 2といったKontaktライブラリに最も大きく依存したトラックはどれですか?

Noireはアルバム全体に散りばめられています。非常に多くのトラックがピアノから始まるため、そのサウンドが自然と土台になりました。Noireが持つ感情的な深みとわずかな不完全さは、作曲において非常に人間味を感じさせるインストゥルメントとなっています。実体験として、生録音したピアノよりも良い響きが得られることがよくありました。

Corren Cavini Session Stringsのレイヤードハーモニー

ピアノのコード進行がトラックの核となっている「Valinhos」や、冒頭からNoireが世界観を決定づけているオープニング曲「Home」で、その響きをはっきりと聴くことができます。また、シネマティックなストリングスとシンセのバランスをピアノが取っている「Agoraphobia」でもキーとなる要素です。

一方、よりオーケストラ的でエモーショナルなレイヤーが必要なトラックにはSession Strings 2が活躍しています。先ほどの「Agoraphobia」でも、エレクトロニックのドライブ感とクラシックの深みを両立させるために不可欠でした。「Never The Same」でも、重厚な感情を担うストリングスがフィーチャーされています。

「Agoraphobia」のスタブをこれほど重厚に響かせる鍵は、レイヤーされたハーモニーにあります。オーケストラが熟練した演奏者たちの合奏によって力強さを生み出すのと同じように、このトラックではSession Stringsを複数立ち上げ、いくつかのサポートサウンドで補強しながら、互いを引き立て合う複数のメロディーを重ねています。

Corren Caviniのストーリー

壮大でリアルなストリングスオーケストラを再現するには、単に同じMIDIクリップを複数の音源にコピーするだけでなく、ハーモニーを適切に重ねることが不可欠です。私はオーケストラのアレンジャーの視点に立ち、どの楽器がどの音を演奏すべきかを徹底的に聴き込むようにしています。

例えば、チェロとコントラバスが低音部を2オクターブで演奏し、別のチェロとヴィオラがベース音の短3度上から始まるラインで応える、といった手法です。

ですから、Kontaktが主導したハイライトを挙げるなら、まさにこれらのトラックになります。これらのライブラリは、アルバムの感情表現のパレットを形成する上で本当に大きな役割を果たしました。

Corren Caviniからのプロのアドバイス:プリセットを自分だけのものにしましょう。プリセットはインスピレーションを得るには最適ですが、必ず微調整したり、レイヤーしたり、意外な組み合わせを試したりして、独自のものを作り上げてください。例えば「Agoraphobia」では、壮大なメロディックシンセとチェロやホルンをブレンドしています。

Raumは、異なる再生環境でも通用する空間感を演出する上でどのように役立ちましたか?

Raumはお気に入りのリバーブプラグインの1つで、サウンドを空間内に配置するために使っています。同じ部屋から鳴っているかのように、サウンドにまとまりを与えることができるのです。アルバムの全トラックにおいて、Abletonのリターントラックにリバーブバスを配置しています。短いディケイで、自然な響きの小さめの部屋をシミュレートするために使用しています。ドラムの大部分を異なるセンド量でそこに送ることで、同じ反射特性を共有させ、まとまりを持たせています。

Corren CaviniのRaumドラムグループリバーブバス

通常、より広がりのあるサウンド用にもう1つのリバーブバスを用意しています。例えば、非常に開放的でエアリーな質感を持つオープニングトラック「Home」などがそうです。そこでは、より深い奥行きを出すためにディケイタイムを2〜4秒の間に設定することがあります。

ヘッドホンでのリスニングとクラブでの再生という点では、必ずしも別々のバージョンをデザインしているわけではありません。まずは聴き込むための音楽として作曲を始め、その後にクラブプレイ用に微調整を加えることがあります。

クラブでは空間自体が反射音を加えるため、リバーブが多すぎると音がぼやけて不明瞭になってしまいます。そのため、少しタイトに調整します。全体として、私はその中間点を見つけるようにしています。特に『A Place To Call Home』は、前半の空間的でエモーショナルな楽曲から、後半のダイレクトでクラブオリエンテッドな楽曲へと移り変わる構成になっているからです。

そのため、すべてのトラックはホームリスニングとクラブ対応の中間地点を目指して作曲され、ミックスされています。その点における最適なバランスを見出すことが、おそらくこのアルバムにおける最大のミキシングの課題でした。

Corren Caviniからのプロのアドバイス:自分のビジョンを信じてくれる人と仕事をしましょう。あなたのプロジェクトに心から共感し、あなたを自分らしくない型にはめようとしない人とだけコラボレーションしてください。

あるサウンドがストーリーに寄与しているか、単にカッコいいだけで不要なのかをどのように判断していますか?

私はサウンドデザインが大好きなので、常に新しいアイデアを試しています。1つのセッションで20種類ものサウンドコンセプトが生まれることもあります。しかし、20ものアイデアが競合しているトラックはさすがに過剰です。そこで私は反復的なプロセスを踏みます。アイデアを積み重ねては削ぎ落とし、そのトラックに真に寄与するものだけを残していくのです。

Corren CaviniのRaum広がりあるリバーブバス

最終ミックスに残らないカッコいいサウンドは常に存在しますが、絶対に削除はしません。すべて保存しておきます。あるトラックに合わなかったアイデアが、数ヶ月後、あるいは数年後の別のプロジェクトで完璧な居場所を見つけることが実によくあるからです。

『A Place To Call Home』では、制作プロセスの多くが、すべてに統一感が生まれるまでディテールを磨き上げる作業でした。もしあるサウンドがトラックの物語や感情を支えていなければ、それは後々、別の新しいトラックで活躍する場所を見つけることがよくあります。

最近ではプリセットだけでなくインストゥルメントトラック全体を簡単に保存・呼び出しできるため、何年も前に作ってボツになった曲のエレメントを使うこともあります。だからこそ、私はほぼ毎日新しい楽曲制作に取り組んでいます。たとえインスピレーションが湧かない日であっても、1日の作業の成果は後になって必ず報われます。そして実際にひらめきが訪れたときには、未完成のトラックからサウンドやドラムグルーヴなどの要素を活用できるため、アイデアを極めて迅速に具現化できるのです。

Corren Caviniからのプロのアドバイス:プロセスを焦らないでください。献身的な取り組みと忍耐が、クリエイティブ面でもリスナー層の拡大という面でも成長をもたらします。

音楽におけるストーリーテリングを支えるためのサウンドデザインについて、プロデューサーたちにどのようなアドバイスを送りますか?

多くのプロデューサーが、そのサウンドがどのような感情を伝えるためのものかを考えずに、「カッコいい」サウンドばかりを追い求める罠に陥っているように思います。生徒たちの制作や、私自身の初期の作品でもよく目にしてきました。技術面にばかり目が行き、最もド派手でクリーンなドロップや、最も複雑なパッチを作ろうとしてしまうのです。しかし、サウンドがストーリーや感情に寄与していなければ、それは何も語りかけてきません。私にとって、すべてのサウンドは伝えようとしている感情を補強するものであるべきなのです。

Listen To The SilenceにおけるCorren CaviniのMassive Xレイヴィーリードシンセ

まずは「この曲を聴く人にどんな感情を呼び起こしたいのか?」と自問することから始めてみてください。その1つの問いが、ハーモニー、サウンドデザイン、作り出す空間、さらにはミックスに至るまで、あらゆるものの道標になります。ストーリーや感情に導かれていれば、自分の選択に目的が生まれるため、技術的な側面も直感的なものになっていくのです。

一方で、単にトレンドを追ったり、他のアーティストのサウンドを再現しているだけでは、技術的には素晴らしくても深く心に刺さることはないでしょう。リスナーが心を動かされるのは完璧さではなく、誠実さなのです。

Corren Caviniからのプロのアドバイス:トレンドを追うのは避けましょう。本物であることこそが、永続的なつながりを生み出します。人々があなたやあなたのサウンドに共感してくれれば、その絆は今流行していて2年後には消えてしまうようなトレンドを超えて、長く残り続けるはずです。

『A Place To Call Home』の制作を経て、今後のアルバムでのツール選びへのアプローチに変化はありましたか?

このアルバムを通じて、自分が正しい道を進んでいることを再確認できたと思います。大きな変化はこのアルバムの前にすでに起きていました。それは自分のサウンドに自信を持ち、どのツールが真に自分らしいと感じられるかを見極める長いプロセスでした。自分がどのようなサウンドや空気感にしたいのかという確信が持てて初めて、アルバムの制作をスタートしたかったのです。

Corren Cavini

だからといって、次のアルバムでも同じパレットを使うとは限りません。おそらくまったく違うものになるでしょう。

ですが、自分の制作プロセスには大きな自信を持てるようになりました。楽曲が何を表現すべきかを見極め、それをサウンドとして形にする方法を掴めたからです。このアルバムが完成した今、クリエイティブ面で再び自由になれたと感じています。生々しいアナログなサウンドや、完全にオーケストラやアンビエントを取り入れた構成など、まったく異なる方向へ進むかもしれません。

変わらないのは、自分が作るすべてのものが、これからも感情と純粋な想いに導かれ続けるということです。今、すべてがとてもオープンで自由に感じられるのが最高ですね。

Corren Caviniからのアドバイス:サウンドにストーリーを語らせましょう。技術力も重要ですが、まずは表現したい感情やストーリーからスタートすることが大切です。技術を磨く努力を怠らなければ、最適なツールやテクニックは自然とついてくるはずです。

まとめ

A Place To Call Homeの収録曲はどれも、緻密なサウンドデザインと誠実な感情によって形作られた、連続するストーリーのひとつの章のように響きます。Corren Caviniのアプローチは、技術的な精度と深い物語性を融合させ、KontaktやRaumといったツールを駆使して、アコースティック楽器の温かみとエレクトロニックプロダクションの空間的な深みをシームレスに調和させています。

彼のワークフローは、現代のメロディック・ミュージックにおいて、複雑さと人間らしさのどちらかを選ばなければならないわけではないことを証明しています。すべてのサウンドに明確な意図がある限り、その両方を両立できるのです。

A Place To Call Homeは、Purified Recordsより好評リリース中です。

NI 360でRaumを無料でお試しください

Corren CaviniによるRaumのカスタムプリセットも、ぜひ無料でダウンロードしてください:

無料のRaumプリセットを入手する

関連製品