DJのキューポイントは、より洗練されたミックスを行うためのシンプルかつ強力なツールです。キューポイントとは、デジタルの楽曲コレクションのトラック上に配置する個別の目印(マーカー)のことで、曲の特定の位置へ瞬時にジャンプできるようになります。事前のセット準備でトラックにキューポイントを設定しておくと、DJセットやミックスのプランニングに大いに役立ちます。
このチュートリアルでは、キューポイントの基礎知識、Traktorでの設定方法、そしてトラックのどこに設定すべきかを解説します。プレイするジャンルを問わず、キューポイントを活用することでミックスの構成整理がスムーズになり、ミックスにおける表現の可能性を最大限に引き出すことができます。
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最大4デッキでのミキシングが可能な業界最高峰のDJソフトウェア、Traktor Proを使いながら、このチュートリアルを進めてみましょう。
DJにおけるキューポイントとは?
キューポイントとは、トラックの正確な位置へ瞬時に戻れるようにDJがコレクション内の楽曲に配置するマーカーのことです。トラック上に設定される視覚的な目印であり、各キューポイントには番号が割り当てられます。Traktorでキューポイントの番号を押すと、トラックは設定された正確な再生位置へとジャンプします。

Traktorのデッキにトラックを読み込むと、キューポイント1に自動的にキューポイントが設定されます。このキューポイントはトラックのビートグリッド(Beat Grid)でもあり、白いボタンとして表示されます。Traktorではトラックごとに最大8つのキューポイントを設定でき、残りのキューポイントはすべて青色で表示されます。
キューポイントを削除するには、削除したいキューポイントをクリックしてからゴミ箱アイコンをクリックします。

キューポイントはキーボードやMIDIコントローラーにマッピングできます。DJコントローラーを使用している場合、キューポイントはコントローラーのボタンに自動で割り当てられます。Traktorでキューポイントを作成するには、トラック内の特定の位置まで移動し、いずれかのキューボタンを押すだけです。そのキューボタンを再度押すと、マーキングされた位置へトラックがジャンプします。キューポイントを活用することで、トラック内をすばやく移動し、曲のさまざまなパートから再生を始めることができます。
Traktorを使ったDJプレイのコツや、DJに必要な機材についての詳しいガイドもぜひご覧ください。
DJでのキューポイントの設定と活用法
1. 重要なポイントの選択
キューポイントの最も一般的な使い方は、トラック内の異なるポイントへ素早く移動することです。例えば、トラックの冒頭(自動でマーキングされていない場合)、ヴァースの開始部、ドロップやコーラス(サビ)の開始部と終了部、2回目のドロップやコーラスの開始部、そしてアウトロの始まりなどにキューポイントを設定しておくと便利です。

これらのキューポイントは、トラック内のさまざまなポイントへ素早くジャンプしてハーモニーやメロディーの構成を把握するのにも役立ちます。楽曲構成(ソングストラクチャー)について詳しく知りたい場合は、ガイド記事をご覧ください。

キューポイントはミキシング時の視覚的なガイドとしても機能し、Traktor上で曲の各展開がいつ訪れるのかを正確に把握できます。例えば、トラックのアウトロの始まりにキューポイントを打ち、次の曲をミックスインする目安として活用できます。また、イントロが長いトラックの場合、ヴァースの始まりやドロップ、コーラスからミックスを始めたほうが良い場合もあります。ヴァースやコーラスの頭にキューポイントを設定しておけば、長いイントロをスキップしてそこからミックスを開始できます。
2. スムーズなトランジションの作成
優れたDJは自らのトラックコレクションを熟知しており、各楽曲のアレンジ構成について百科事典のような知識を持っています。しかし、膨大な数の楽曲を簡単に扱える現在では、すべての曲の展開を記憶しておくために少しサポートが必要になることもあります。キューポイントは曲の展開が変わるポイントをDJにリマインドしてくれるため、その情報を活用することでよりスムーズなトランジションを作り出すことができます。

スムーズなトランジションを作れるかどうかは、キー、テンポ、トラックのメロディー内容など、いくつかの要素によって決まります。ボーカル入りのトラックを2曲ミックスする場合、トラック内でボーカルが始まる位置にマーカーを打っておくのがキューポイントの効果的な使い方です。このキューポイントを目安にして次の曲をミックスインすれば、ボーカル同士が被ってしまうのを防ぐことができます。
キューポイントを設定しておくことで、ミックス時の判断が格段にしやすくなります。例えば、ヴァースの始まり、ドロップやコーラス、2度目のドロップやコーラス、アウトロにキューポイントを配置しておけば、音楽的に違和感なく次のミックスを開始できる候補地が4箇所確保できます。また、イントロ、ヴァース、ドロップは素晴らしいものの、セットでは流したくないブレイクダウンがあるトラックの場合、ミックスインとミックスアウトの位置を設定しておくことで、使いたいパートだけをプレイし、ブレイクダウンに入る手前でカットすることができます。
熱気あふれるライブミックスの最中には、夢中になりすぎて予定通りに曲をミックスアウトするのを忘れてしまうことも珍しくありません。キューポイントがあれば、狙ったポイントで確実に次の曲をミックスインするためのリマインダーとして機能します。もちろん、キューポイントを設定するには事前の準備時間が多少必要になります。
準備時間を節約したい場合は、Mixed In Keyなどのソフトウェアを使ってキューポイントを自動設定し、それをTraktorへインポートすることも可能です。

楽曲構成をミックスの目安として活用することで、キューポイントはより完成度の高いミックスやトランジションの作成を可能にします。セットの事前準備を綿密に行うほど、実際のプレイは格段にやりやすくなります。DJプレイとトランジションについてもっと知りたい方は、DJの始め方ガイドもあわせてチェックしてみてください。
3. ループ
Traktorにおけるキューポイントのもう1つの優れた使い方は、トラック内でループさせたい箇所をマーキングすることです。ループを設定したい理由としては、短いイントロやアウトロを延長したい場合などが挙げられます。また、トラックのインストセクションをループさせて、別のトラックの上に重ねて再生したい場合にも有効です。

3デッキや4デッキでのミキシングでは、複数の短いループを重ねて演奏するのが一般的です。その場で直感的に多くのループをミックスすることも可能ですが、キューポイントを設定しておけば、ループとして機能しやすいパートを忘れずに把握できます。Traktorでループ用のキューポイントを設定するには、8つのキューボタンの下にあるキューのドロップダウンメニューをクリックし、次に「Loop」をクリックします。
4. サンプル
サンプルのトリガーにキューポイントを使用することもできます。セット中にリズムやメロディーのアイデアとして特定の単発サンプルを連打したり、スクラッチのネタとして使ったりすることが可能です。

スクラッチDJなら、多数のスクラッチサンプルが収録されたデジタル化ブレイクレコードをお気に入りのサウンドごとにキューポイントでマーキングしておくと便利です。ブレイクレコードにキューポイントを設定しておくことで、あるサンプルから次のサンプルへ瞬時に切り替えることができます。
5. キュードラミング
DJシーンで人気を集めているテクニックの1つが「キュードラミング」です。これはサンプルにキューポイントを設定し、DJコントローラーやPioneer DJのCDJにあるキューボタンを使って、ドラムのようにリズムよくサンプルを連打する演奏技法です。キュードラミングはピッチフェーダーの操作と組み合わせることで、サンプルのピッチをリアルタイムに変化させることもできます。
このテクニック自体は以前からDJコミュニティに存在していましたが、DJ EZやJames HypeといったDJたちが自身のミックスに積極的に取り入れています。
DJコントローラーや新しいTraktor X1 MK3を使ってキュードラミングを試してみて、どんな新しいアイデアが生まれるか体験してみましょう!
6. ルーティンやマッシュアップの作成
パフォーマンス動画やマッシュアップの作成、あるいはバトル向けのルーティンを組むDJにとって、キューポイントの活用は大きなメリットとなります。トラックにキューポイントを設定しておけば、複雑なミックスの実行やトラック内での素早いポジション移動が可能になります。ルーティンでは2曲以上のトラックを目まぐるしく切り替えることがよくありますが、キューポイントを活用すれば、ある曲の特定パートから別の曲のパートへと素早くカットインやミックスを行うことができます。
7. 即興演奏(インプロビゼーション)
事前準備でキューポイントを設定しておけば、DJセット中に効果的な即興演奏(インプロビゼーション)を行うことができます。各トラックにミックスインとミックスアウトのポイントをマークしておくことで、トランジションのためのいわば「ロードマップ」が手に入ります。キューポイントによって可視化されたトラック構造を把握しておくことで、DJはより攻めたプレイに挑戦し、さまざまな楽曲の組み合わせを自由にミックスできるようになります。
DJセットでのキューポイント活用
キューポイントの基本と活用法が分かったら、さっそく事前のセット準備や実際のパフォーマンスで使ってみましょう。次回のDJセットの準備をする際は、時間をかけて各トラックにキューポイントを設定してみてください。完成度の高いトランジションを作成するときも、トラック間をタイトに切り替えるときも、キューポイントは大いに役立ちます。
各トラックにキューポイントが設定されていれば、驚くほどスムーズにミックスがつながっていくのを実感できるはずです。これらのキューポイントテクニックを試して、ご自身のミックスがどれほど進化するかを確かめてみましょう!