ポートランドを拠点に活動するデュオ、New Constellationsの楽曲作りには、パーソナルで地に足のついた、どこまでも人間らしい直感が宿っています。幼なじみであるHarlee CaseとJosh Smithは15年以上にわたって共に創作を続け、ノスタルジーと現代的な透明感を両立させた独自のサウンドを磨き上げてきました。Nettwerkからリリースされた最新シングル「Secret Safe」は、まさにその絶妙なバランスを見事に表現しています。
この楽曲は、彼らの音楽的、感情的な結びつきの深さを反映しています。親しい友人たちの引っ越しという転機の中で書かれた「Secret Safe」は、距離を繋がりへと変え、変化を前向きな肯定へと昇華させています。クリエイティブな表現が人生における人間関係と同じように、時間を経ても形を保ちながら広がり、進化していくものであることを改めて実感させてくれます。
温かみのあるメロディの奥には、好奇心を原動力としたプロダクションプロセスが隠されています。
セクション一覧:
- 楽曲の感情的な核を見つける
- 引き算によるプロダクション
- Massive Xで進化し続けるパートを構築
- Super 8でレトロな温もりを加える
- シンプルさと複雑さのバランス
- アルバム全体のトーンを決定づける
2人は実験精神と思いがけない偶然のひらめきを重視し、不完全ささえも楽曲のDNAとして組み込んでいます。彼らのワークフローは技術的な直感と感情的な意図を融合させたもので、Native InstrumentsのSuper 8やMassive Xといったツールを活用して、ソングライティングを中心に据えながら質感豊かな音作りを追求しています。
「Secret Safe」の制作を始めた際、シンセを選ぶ前に、プロダクションに込めたかった感情的なテーマは何でしたか?
「Secret Safe」は、冒頭で聴こえるあのプラックシンセの反復フレーズから生まれました。最初はどんな楽曲になるのか、自分たちでも見当がついていませんでした。Harleeが歌い始めてボーカルの初期アイデアを広げていくうちに、この曲が持つエモーショナルな個性が見えてきたんです。

真っ先に湧き上がってきたのは、強いノスタルジーでした。少しほろ苦い内省的な感覚がありながらも、温かく親しみやすい雰囲気で、友人たちと過ごした時間を振り返り、時の経過とともにその関係が変わっていくことを実感するような感覚でした。その感情的な色合いこそが、シンセの音色を具体的に決める前の段階におけるプロダクションの核になりました。
その感情がはっきりしてからは、音を組み立てるというより、楽曲の声に耳を傾けるような感覚で制作が進みました。曲が自然に育つための余白を残すことが大切だったのです。感情に身を任せることで、他のすべての要素がよりスムーズに収まるべき場所へと落ち着いていきました。
トラックの勢いを高めるために、音のレイヤーを重ねるのではなく、サウンドそのものに動きをつける必要があると気づいたのはどの瞬間でしたか?
ドラムを加えた瞬間、曲の雰囲気が劇的に変化しました。当初はゆったりとした内省的なバラードのように感じられていたものが、急にスピード感と推進力を帯びてきたんです。ブレイクビート風のドラムが入ったことで、トラック内の他のすべての要素の役割を見直す必要が出てきました。その時点で、シンセは単なるテクスチャーや静止したものであってはならず、リズムと同じ強さで動き、前へとドライブしていくべきだと気づいたのです。
最初は、そのエネルギーに対抗しようとしてレイヤーをどんどん重ねたくなりました。でもすぐに、それでは曲の迫力が増すのではなく、ただ雑然としてしまうだけだと分かったんです。トラックの音数は増えても、生命感は宿りませんでした。これはエレクトロニック・ミュージックの制作においてよく直面する問題で、レイヤーを重ねるのは簡単な解決策ですが、必ずしも正解とは限りません。
私はよく「引き算によるプロダクション」というアプローチをとります。楽曲の核となる感情や個性を保ちながら、削ぎ落とせるものを限界まで削っていく手法です。パートを増やす代わりに、既存のサウンドデザインの中で動きや変化を生み出し、質感、ダイナミクス、モジュレーションの微細な変化を使って勢いをつける方が効果的だと感じました。このアプローチのおかげで、曲本来のエッセンスを失うことなく、より意図的かつ音楽的に曲の展開をビルドアップさせることができました。
New Constellationsからのアドバイス:実験を恐れないこと。プロデューサーやミュージシャンの間でよく語られるのが「思いがけない偶然のひらめき(Happy accidents)」です。自然に、あるいは偶然生まれた瞬間が、最終的に曲を大きく変えるきっかけになります。失敗を恐れていては、そうした偶然の産物は生まれません。恐れずに実験し続けることが何よりも大切です。
Massive Xは、ミックスを濁らせることなく、楽曲の展開に合わせて成長していくパートをデザインする上でどのように役立ちましたか?
Massive Xのモジュレーションを使うと、実に驚くべき動きを生み出せます。特に、うねりを上げて変化していくパッドサウンドは私のお気に入りです。シンセサウンドが曲を通して呼吸し、形を変えていくことで、トラック自体に生き生きとした生命感が宿ります。

Massive Xではほぼすべてのパラメーターをモジュレーションでき、これが非常に面白く、素晴らしい結果をもたらしてくれます。特にVoiceのランダム化機能が気に入っています。モジュレーションは時に機械的で無機質になりがちですが、Voiceのランダム化を使うことで、より有機的で表情豊かなサウンドに仕上がります。

厚みのある豊かなパッドは、ミックス内で多くの音響スペースを占有してしまいます。その結果、各パートがスペースを奪い合い、ミックスが濁る原因になりかねません。Massive Xなら、レイヤーを無闇に増やす代わりに緩やかなモジュレーションを適用し、時間の経過とともにゆっくりと変化するサウンドを作ることができます。フィルターやトーン、エフェクトなどを少しずつ動かすことで、周波数帯域や空間、ダイナミクスのフォーカスを保ちながら、ミックスをすっきりとクリアに保ったまま曲の展開に合わせてサウンドを成長させることができます。
Super 8は非常に直感的なキャラクターを持っています。Massive Xによる緻密なサウンドデザインと比べて、「Secret Safe」ではどのような役割を果たしましたか?
「Secret Safe」は、まさにノスタルジーをテーマにした曲です。かつて友人と過ごした素晴らしい時間を思い返すような内容になっています。Super 8は、オールドスクールのアナログシンセのような、温かく太くクラシックなサウンドを持ち、レトロで懐かしい質感があります。この曲が持つエモーショナルな側面に寄り添うには、まさに完璧なサウンドだと確信しました。

Super 8で作るプラックサウンドが本当に好きなんです。曲全体を通して繰り返されるメインのプラックモチーフには、これを使用しました。求めていたヴィンテージ感漂うプラックの質感を完璧に再現してくれました。また、曲全体で鳴り響くパルス感のあるベースサウンドの作成にも使っています。

New Constellationsからのアドバイス:プロセスそのものを楽しむこと。アーティストにとって最も大切なのは、純粋にアーティストであり続けることです。最高の芸術や表現は、心から大好きなことに打ち込んでいるアーティストから生まれます。制作プロセス自体を楽しめていれば、そこに失敗はありません。なぜなら大好きなことをすること自体が目的であり、それ以外の結果はすべて嬉しいおまけに過ぎないからです。
同じ楽曲内で、Super 8のシンプルさとMassive Xの複雑なモジュレーションのバランスをどのように取っていますか?
コード、パッド、ベース、リードなど、楽曲の核となる主要な音楽的要素にはSuper 8を使うのが好きです。シンプルで温かみのある懐かしいサウンドが曲の土台を固め、聴き手にとって分かりやすい構成にしてくれます。過剰な動きや複雑さを加えることなく、トラックに明確な感情の中心をもたらしてくれるんです。
そして、それらのパートの周囲に動きや繊細な生命感を添えるためにMassive Xを取り入れます。ゆっくりと変化するテクスチャーや微細なモジュレーションなど、一聴しただけでは気づかないかもしれませんが、トラックに生きた質感を与えるディテールを担ってくれます。そうすることで、Super 8が安定感と明瞭さを保ちながら、Massive Xがごちゃつかずに深みと面白さを加えてくれるのです。それぞれのシンセの得意分野を活かし、リスナーを圧倒してしまうのではなく、サウンドが自然に広がっていくようにすることを意識しています。
フルアルバムを見据えた際、「Secret Safe」は今後のサウンドデザインと感情の結びつきにおいて、どのような方向性を示す作品になりましたか?
「Secret Safe」は、ジャンルやサウンドデザインの面で見るとアルバムの中では少し異色の存在です。ですが、冒頭でリスナーを一気に引き込み、最初から勢いをつけるエネルギッシュな瞬間として、アルバムに不可欠な役割を担っています。

それだけでなく、アルバムの残りの楽曲に向けて、感情に寄り添ったサウンドデザインへのアプローチを確立してくれたと感じています。あらゆるサウンド、シンセの選択、テクスチャーのひとつひとつが、歌詞の内容とそこに込められた想いを支えるために存在しています。アルバム全体を通してこの指針を引き継ぎたいと思いました。サウンドデザインを単なる装飾ではなく、楽曲自体の感情を増幅し、映し出し、リスペクトするための手法として活用していくつもりです。
まとめ
「Secret Safe」において、New Constellationsは確かな技術力に支えられた感情的な誠実さという、自らの作品を特別なものにしている要素をさらに研ぎ澄ませています。15年に及ぶ歩みの中で培われた二人の絆は、今も彼らの音楽を支える静かな推進力です。実験精神を大切にし、不完全さをも受け入れることで、彼らはサウンドの中心に常に感情を据え続けています。
このシングルは、デュオの新たなチャプターの幕開けであると同時に、これまで彼らを形作ってきた本質の継続でもあります。すべてをコントロールしようとしがちな現代において、予測不能な展開に身を委ねる彼らの姿勢は、とても新鮮でどこまでも人間らしく感じられます。