|Nahuel Bronzini

音楽におけるリズムの基本を理解する

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Understanding the basics of rhythm

リズムは音楽がケイデンス(展開・終止)を構築する基礎であり、リスナーを直感的に動かし、感じさせ、心をつなぐ原動力です。それは音楽の鼓動であり、流れや構成を決定づけます。メロディや伴奏もリズムの上に成り立っており、それらが相互に作用することでグルーヴ感が生まれます。シンコペーションや安定したビート、より複雑なパターンなど、音楽におけるさまざまな種類のリズムは感情を揺さぶり、楽曲のムードやエネルギーを左右します。

本記事では、音楽におけるリズムの基礎と、楽曲制作におけるその重要性について掘り下げていきます。

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音楽におけるリズムとは?

音楽におけるリズムとは、時間軸の中で音がどのように配置されるかを指します。音符は均等に繰り返されたり、パターンを作ったり、予測可能であったり、あるいは特定の規則性を持たない完全に不規則なものであったりします。また、休符(静寂)も音と音の間に空間を作り出すことで、リズムを決定づける重要な役割を果たしています。

これを深く掘り下げると、音楽そのものがリズムであることに気づきます。リズムとは時間の中で物事がどのように展開するかを意味し、音楽は時間の芸術です。絵画や写真のように作品が静止しており、鑑賞者が自分のペースで自由に向き合える芸術とは異なり、音楽は本質的に、鳴り響くと同時に常に移ろい、消えていくものです。私たちは絶えず音の記憶を聴いており、リズムとは時間に対する私たちの記憶なのです。リズムとは時間の知覚についての記憶である、と言えるかもしれません。

ピアノで和音を押さえてから指を離すと、音が鳴り始めた瞬間と音が鳴り終わった瞬間という、時間上の2つのポイントが生まれます。これこそがリズムの最も基本的な現れです。あらゆる音楽的イベントは、私たちの記憶の中で時間の特定の位置と結びついています。

次に別のコードを弾き、同じ長さだけ鳴らして指を離すと、パルス(脈拍感)が生まれます。リスナーとしても楽曲制作者としても、私たちは楽曲の冒頭で提示されるあらゆる手がかりをもとに、頭の中に時間感覚やパルスを思い描きます。

音楽の底流に脈打つクリックが常に感じられることもあれば、そのパルスがそれほど明確ではなく、音のタイミングがあまり厳格に縛られていないように感じられることもあります。それでも、音楽の中に控えめながら一定の鼓動が存在していようと、一見ランダムに(あるいは予測できない形で)音が現れようと、そこには常にリズムが存在しています。

それでは、リズムを念頭に置きながら、楽曲制作に不可欠ないくつかの基本概念を詳しく見ていきましょう。

リズムの基礎

1. ビート(拍)とパルス

パルス(またはビート)とは、楽曲における時間感覚の指針となる一定の時間単位を指します。これは必ずしも曲全体を通して時計の針のような刻み音や特定の音が反復されているという意味ではなく、各パートを演奏する際にタイミングを合わせるための、暗黙の基準となる刻みのようなものです。

これを具現化したのが「クリックトラック」です。レコーディングを行う際、「グリッド」(音楽的イベントを配置する仮想の時間軸マップ)に正確に合わせるために、DAWや電子リズムマシン、あるいは昔ながらの単体メトロノームといった機材から鳴るクリック音をガイドとして活用します。

ビートやパルスは「クリックトラック」によって具現化されます
ビートやパルスは「クリックトラック」によって具現化されます

しかし究極的には、ビートやパルス、あるいは「クリック」とは、耳で聴くというよりも体で感じる、仮想の抽象的なガイドであるべきものです。

ボーカルのメロディやトップラインの下で鳴るリズムおよびハーモニーの伴奏全体を指す言葉として「ビート」に親しみがある方も多いでしょう。実際、現代において「ビート」と言う場合、楽曲特有のグルーヴとメインのコード進行を形作る要素のまとまり全体を指すことが一般的です。これは、繰り返されるループセクションを軸に楽曲が構成される傾向の強いジャンルで特によく見られます。

しかし、より伝統的かつ基礎的な用法において、ビートとは単純に楽曲のパルス(拍)を指すこともあります。

2. テンポ

テンポ(Tempo)はイタリア語で「時間」を意味しますが、音楽においては実質的に「速さ」を意味します。「この曲のテンポ(またはBPM:1分あたりの拍数)は〜だ」と言ったり、バンドやライブの現場で「今回はどのテンポで演奏する?」と尋ねたりするように、演奏のスピードを表します。

テンポは正確で客観的な尺度であり、リズムを時間的な長さの基準に落とし込むのに役立ちます。同じリズムであっても異なるテンポで演奏すれば、楽曲全体の長さは大きく変わります。

Michael Jacksonによるオリジナルのアルバムバージョンと、Chris Cornellによるアコースティックで削ぎ落とされたブルージーなバラードバージョンの、全く異なる2つの「Billie Jean」を聴き比べてみましょう。

オリジナルバージョンのテンポは約114 BPMで、4/4拍子です。アップビートでダンサブルであり、実にMichaelらしい仕上がりです。一方、Chris Cornellはテンポを大幅に落とし、拍子を変更して6/8拍子のようなフィールを作り出しました。これらの変化が重なることで全く異なる雰囲気が生まれ、楽曲に新たな感情の深みと意味合いが加わっています。

Chrisがどのようなインスピレーションからこのアプローチに至ったのか、テンポと拍子のどちらの変更が先だったのかは定かではありませんが、一方がもう一方に影響を与えたことは間違いありません。音楽や芸術の多くの場面と同じく、おそらくすべては直感的に行われたのでしょう。しかし、後から振り返って、それがどのように、なぜ起こったのかを紐解いてみるのは興味深い試みです。

これは素晴らしい練習や実験になります。自分がよく知っている大好きな曲を選び、テンポを劇的に変えてみてください。その新しいテンポでしばらく演奏してみて、どのように感じられるかを確かめてみましょう。そこから新たなアレンジのアイデアが湧いてくるはずです。音楽そのものに語らせ、導かれるままに進んでみましょう。耳を傾ければ、音楽は自然とふさわしい場所へと導いてくれます。

3. 拍子(メーター)

拍子(メーター)とは、リズムを整理・構造化するための概念です。西洋音楽において、音楽の強拍と弱拍をどう感じるかは、楽曲のコードチェンジと密接に関連しています。コード進行が落ち着く解決ポイントを強拍として感じ、より不安定で経過的なコードを弱拍として感じる傾向があります。

パルスに対してこれらのコード変化がどれくらいの頻度で起こるかに応じて、音楽はさまざまな拍子に分類されます。

拍子を考える上で重要なポイントは、各小節に何拍あるか、そしてそれぞれの拍が内部でどのように細分化されているかという点です。

単純拍子(Simple meter)

例えば、4/4拍子(ポップス、ロック、その他多くの現代音楽ジャンルで最も一般的)では、1小節に4拍あり、各拍は2の倍数で細分化されます。1小節の中に8分割、あるいは16分割のリズムが存在することもあります。ドラムビートの中でハイハットがリズムの内側をどのように刻んでいるかに注目してみるとよいでしょう。ハイハットはパターン全体のグルーヴと流れを決定づける鍵となります。

4/4拍子
4/4拍子

数ある例の中から1曲挙げると、Green Dayの「When I Come Around」は4/4拍子のリズムの良い例です。この曲のイントロを聴いてみると、特徴的な歪んだギターリフが1小節鳴り、2小節目でドラムがハイハットで4分音符を刻みながら加わり、2小節単位のフレーズを持つゆったりとした4/4拍子をリスナーに意識させます。

もう1つの一般的な拍子は3/4拍子です。これは1小節に3拍あり、各拍は同様に2の倍数で細分化されます。ワルツはその代表例です。しかし、ポップスにおいても「3拍子」で作られた楽曲は数多く存在します。3/4拍子には、独特の軽やかな弾むようなフィールがあります。

3/4拍子
3/4拍子

3/4拍子が最もよく見られるのはワルツです。ここで、フランスのロマン派作曲家Frederic Chopinによる屈指の有名曲を聴いてみましょう。この曲では、左手が1拍目に低い音を1つ、2拍目と3拍目に高めの音を2つ弾くことでリズムを刻んでいる様子が、音源(および楽譜)から明確に聴き取れます。

複合拍子(Compound meter)

複合拍子では、各拍が3分割されます。単純拍子と区別するために、拍子記号の分数は1小節内の細分化された音符の総数を表します。例えば9/8拍子の場合、1小節の中に合計9つの細分化された音符(8分音符)が含まれ、それらが3つの拍としてグループ化されます。

6/8拍子
6/8拍子

6/8拍子の分かりやすい例として、The Beatlesのアルバム『Rubber Soul』に収録されている楽曲「Norwegian Wood」が挙げられます。ここでは、ボーカルメロディに寄り添うアコースティックギターのストロークの細分化された刻みに耳を傾けてみてください。これが上の譜面の下段に示されている8分音符です。次にベースの音に注目してみましょう。ベースが奏でる長い音は小節を2つに分割しており、これは上段の付点4分音符に対応しています。最初の長い音は力強く着地感(強拍)があり、2つ目の音(または速いパッセージ)は次の小節への「ピックアップ(助走)」のように感じられます。このピックアップを「弱拍」と呼びます。

4. 小節(メジャー)

音楽における小節(メジャー)とは、通常、始まりと終わりを持ち、次の始まりでリセットされる最小の音楽的単位です。私たちが音楽をかたまりとして捉え、感じる傾向があるため、小節という概念を用います。このように把握しやすい単位でまとめられた音楽の部分をフレーズと呼び、通常は複数の小節で構成されます。1小節の中に収まる短いフレーズもありますが、一般的には2〜3小節程度に収まることが多く、各小節は私たちが感覚として捉えられる扱いやすい時間単位として機能します。

音楽の小節
音楽の小節

近所を散歩しながら、普段通りのペースで呼吸している場面を想像してみてください。1回の呼吸に対して4歩進むとすると、それ自体がひとつの呼吸と歩行のサイクルとして感じられるでしょう。一歩一歩が楽曲の1拍に相当し、歩く速度がテンポに例えられます。歩き始めると、時には速くなったり遅くなったりしながらも、次第に一定のグルーヴに落ち着いていきます。これは人間の自然な性質であり、私たち本来のテンポなのです。

呼吸のサイクルを1つの小節と見なすと、歩きながら家を通り過ぎ、次の家を通り、角を曲がる手前に立つ木が目に入るといった情景の1つひとつが、音楽のフレーズに例えられます。目的地に着くまで何ブロックか歩く間に、さまざまな景色を目にします。時間も経過し、歩みを進めるごとにその瞬間の周囲の景色しか見えませんが、私たちは散歩を始めてからの道のり全体を記憶に留めています。歩き続ける中で、これまで歩いた距離を把握し、時間的にも空間的にも次に何が現れるかを予測しているのです。

時間と空間の両面から考えることは非常に重要です。正確に言えば、空間として捉えるほうが時間として捉えるよりもはるかに実感が湧きやすいのです。音楽では時間のみを扱いますが、聴いたり演奏したりする際に空間の中を移動しているイメージを持つことで、より確固とした時間感覚とリズム感を身につけることができます。散歩をしながら音楽を聴くのもおすすめです。一度意識してみると、曲のテンポやその細分化されたリズムに合わせて歩かずにはいられなくなるはずです。試したことがない方は、ぜひやってみてください。

グルーヴを生み出すのにドラムは常に必要か?

グルーヴと聞くと、誰もがまずドラムを思い浮かべるのではないでしょうか。あるいは、ひとつのユニットとしてのドラムとベースかもしれません。しかし、グルーヴとは「ある瞬間においてリズムを生み出すすべての要素」によって成り立っていると言ったらどうでしょうか?確かにドラムはリズムやグルーヴの感覚を象徴する最も代表的な楽器ですが、実際にはボーカルパートでさえもグルーヴ感の創出に一役買うことができるのです。

ここで指摘しておきたいのは、パーカッションや打楽器的なサウンドと、リズムそのものの間には明確な違いがあるということです。ほぼすべての楽器は打楽器的な性質(時間軸において輪郭がはっきりとして正確な状態)を持つことができますが、もちろんドラムやシェイカーのように、より自然にそれらに適した楽器もあります。しかし例えば、ピアノも機構的にはハンマーが弦を叩く構造になっているため、専門的には打楽器の一種とみなされます。

このことを念頭に置き、固定観念にとらわれず、楽曲に含まれるあらゆる要素や楽器を「リズム構築の担い手」として捉えてみてください。

筆者自身、楽曲制作中に進行中のトラックを聴き返す(作業を止め、画面を見ずに耳だけに集中するのが鉄則です)際、楽曲全体のリズム感を損ねている原因を特定しようとすることがあります。そして多くの場合、タイミングを微調整(ナッジ)すべきなのはドラムではなく、むしろその周囲の要素だったりします。例えば、ドラムのタムフィルの半小節前からギターが突っ込み気味になっていて、そのせいでドラムフィルがもたついて聴こえてしまうようなケースです。実際には、調整が必要なのはドラムではなくギターのほうなのです。

こうした状況を解決したり、どの要素に手を加えるべきかを特定したりするのは、必ずしも簡単ではありません。これに対処する優れた方法は、問題が解消するまでミックス内の要素をいくつかミュートしてみることです。そうすることで、どの要素がうまくグルーヴしていないのかが把握しやすくなります。

ソングライティングと作曲におけるリズム

筆者自身もソングライターとして、ピアノやギターを使って作曲を始めることがよくあります。ある特定のリズム感を持ったコード進行を見つけることで、そこからメロディや歌詞のインスピレーションが湧いてくるのです。この逆のパターンもあり、特定のケイデンス(言葉の流れるリズム)を持った歌詞からコードの伴奏がひらめき、コードストロークのリズムがメロディ(トップライン)によって決定されることもあります。

筆者が時折陥ってしまうのが、メロディのリズムと同じタイミングでコードを弾いてしまうことです。例えば、シンコペーションを取り入れたメロディがある場合、メロディのリズムに直感的に引きずられてしまい、ピアノやギターのコードもまったく同じタイミングで鳴らしてしまいがちです。また、手と声を切り離して、コード演奏と歌のメロディを別々に演奏するのが難しいという理由もあります。

アコースティックギターのストロークに一定のリズムパターンがある典型的なフォークやポップスの楽曲では、そのリズムが無意識に刻めるようになります。一度それが身体に染み込めば、その上で歌のメロディをより自由に動かすことができるようになります。

楽曲の特定のセクションで大きな期待感や推進力(アンティシペーション)を生み出したい場合、メロディが次の小節の一歩手前で先走って音を鳴らすところで、バンド全体が新しいコードを一緒に鳴らして次の小節を食う(先取りする)アプローチが取れます。あるいは、コードは拍の頭(ダウンビート)で鳴らし、メロディだけを先行させることで、より柔らかい効果を生み出すこともできます。

これら2つの好例を聴き比べてみましょう。まず、Oasisの名曲「Wonderwall」では、ギターのストロークパターンが各フレーズの先行するボーカルメロディを示唆しており、ボーカルメロディとまったく同じタイミングで各コードを「アタック」しています。

一方で、Ryan Adamsの出世作となったアルバム『Gold』に収録されている「La Cienega Just Smiled」を聴いてみると、16分音符の規則正しいギターストロークがタイムをキープし、ベースとピアノが各小節の頭でコードを鳴らす中、ボーカルメロディだけが各小節の始まりを先取りしています。この場合、バンドとトップラインはコードチェンジのタイミングを揃えておらず、先ほどとは異なる質感の効果を生み出しています。

伴奏のリズム配置に正解や不正解はありません。肝心なのは、どのような選択肢があるのかを把握し、自分の耳と感性を研ぎ澄ませて、何が心地よいかを選び取ることです。

楽曲制作にリズムを取り入れよう

これまで見てきたように、リズムは音楽の中に常に存在しています。ときには繊細な形で、またあるときはドラムセットがバックビートを力強く叩き出すように明確な形で現れます。どのようなジャンルの音楽を作っていても、どんな楽器を使っていても、リズムは常にそこにあります。リズムへの意識が高まれば高まるほど、表現の自由度は広がり、楽曲のインパクトも増していきます。楽曲内に存在するあらゆる要素に常に目を配り、バンド全体が一体となったリズミカルな効果に耳を澄ませてみましょう。

楽曲において最も重要なリズムの要素が、必ずしもドラムやベースにあるとは限らないことを忘れないでください。ピアノ、ギター、ストリングス、あるいはその他の要素にこそ宿っている場合もあります。時間と空間の中を動く音楽に耳を傾け、それを全身で感じ取ってみてください。制作するプロジェクトごと、そして耳にする楽曲ごとに、リズムに対する感覚を磨き続けていきましょう。

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