オーディオインターフェイスは、音質の向上や多彩なオーディオルーティングを可能にする入力端子と出力端子を備えた専用のハードウェア機器です。
この初心者向けオーディオインターフェイス入門ガイドでは、レコーディングでオーディオインターフェイスを使用することがなぜ重要なのか、そして制作をすべてPC内(イン・ザ・ボックス)で完結させる場合でもなぜ持っておくと便利なのかを含め、その有用性をわかりやすく解説します。
さらに、ニーズに合ったオーディオインターフェイスの選び方や、オーディオ編集ソフトウェアでの段階的なセットアップ手順についても見ていきましょう。
セクション一覧:
KOMPLETE AUDIOインターフェイスを使って、このガイドの手順を一緒に進めてみましょう。
オーディオインターフェイスとは?
オーディオインターフェイスは、コンピューター、楽器、スピーカーやヘッドホンの間を橋渡しする、ほぼすべてのスタジオの基本ツールとなるハードウェアです。ギターのレコーディング、エレクトロニック・ミュージックの制作、ポッドキャスト配信など、どんな用途であれオーディオインターフェイスは最も不可欠な機材の一つです。
通常、コンピューターに標準搭載されているオーディオ入出力オプションは限られています。例えば、ノートPCにはヘッドホン端子が1つあるだけということも珍しくありません。これでは柔軟なルーティングができず、特にエントリークラスのPCでは十分な音質が得られない場合もあります。
そこで活躍するのがオーディオインターフェイスです。音質を向上させる設計の入出力を備えており、音楽制作において多彩なルーティングが可能になります。100ドル前後の手頃でコンパクトなモデルから、数千ドルもする多機能なラックマウント型の大型機まで、幅広いオーディオインターフェイスが揃っています。
なぜオーディオインターフェイスが必要なのか?
先述の通り、コンピューターには通常、高品質なオーディオ端子が備わっていません。オーディオインターフェイスを導入すると、音楽制作のために設計された専用の入力端子と出力端子が手に入ります。これが重要である理由は、「端子の数」「端子の種類」「D/A(デジタル-アナログ)およびA/D(アナログ-デジタル)変換の品質」という3つのポイントにあります。
入力端子の数は、同時にレコーディングできる音源の数を左右するため極めて重要です。複数のハードウェアシンセを同時に録音したい場合や、ドラムキットに複数のマイクを立ててマイキングしたい場合は、十分な数の入力端子が必要になります。
出力端子の数は、コンピューターから送信できるオーディオ信号の数を決定します。ハードウェアのミキシングコンソールを使ったり、外部エフェクトを通したり、複数組のモニタースピーカーを切り替えて鳴らしたりしたい場合は、多くの出力端子が必要になります。
高価格帯のオーディオインターフェイスを購入する場合は、将来を見越して、現時点で必要な数よりも入出力が多いモデルを選んでおくと安心です。
一方で、手頃な価格のエントリーモデルを購入する場合は、ヘッドホン出力とモニタースピーカー出力が各1系統、そして2つ程度の入力を備えたインターフェイスがあれば、多くの初心者にとって十分事足ります。
入力端子の種類
どのような端子を備えているかは、コンピューターに接続できる機材の種類や、音声信号が電気的なノイズ(干渉)から保護されるかどうかを左右するため非常に重要です。
マイクを接続したい場合は、XLR入力が必要です。通常これにはプリアンプが搭載されており、マイクの入力信号レベルをオーディオソフトウェアで扱える十分な音量まで増幅します。プリアンプはサウンドキャラクターにも影響を与えるため、使用するオーディオインターフェイスによって得られる音質は異なります。また、XLRケーブルはバランス接続仕様のため、ノイズの干渉を受けにくいのが特徴です。マイクの中にはファンタム電源を必要とするものもありますが、大半のオーディオインターフェイスのXLR入力はこの給電機能を備えています。

シンセサイザーやギターなどの楽器を直接ライン録音するには、1/4インチ標準ジャック入力を使用します。XLR入力と同様にこちらもバランス仕様のモノラル入力なので、ステレオシンセの左右(L/R)両方のチャンネルを録音するには2つの端子を使用する必要があります。多くのオーディオインターフェイスにはジャック入力を切り替えるスイッチがあり、シンセやハードウェアエフェクト、ミキサーなどで使われる高レベル信号の「ラインレベル」と、エレキギターやベースなどから出力される低レベル信号の「インストゥルメントレベル」を切り替えることができます。

インターフェイスによっては、XLRケーブルと1/4インチジャックケーブルのどちらでも差し込めるコンボジャック入力を備えているものもあります。
RCA(またはピン)端子は、一般的な民生用オーディオ機器やDJ機器でよく使われるアンバランス仕様のステレオ端子です。RCAは通常ラインレベルで動作しますが、プリアンプによる増幅が必要なレコードプレーヤー(ターンテーブル)の出力は例外です。アンバランス接続のためノイズの干渉を受けやすい性質がありますが、一般的な宅録などの短いケーブル配線であればノイズ混入のリスクは比較的抑えられます。
KOMPLETE AUDIO 6などの一部のインターフェイスは、S/PDIFやオプティカル(光デジタル)端子も搭載しており入出力の拡張が可能です。ただし、これらの機能は通常より高度なルーティングを求める上級者向けです。
出力端子の種類
多くのオーディオインターフェイスには、2系統以上のモノラル1/4インチジャック出力が搭載されています。これらを使用して1ペア以上のモニタースピーカーに直接接続したり、出力数が十分にあればサラウンド環境を構築したりできます。
オーディオインターフェイスの中にはRCA出力を備えているものもあります。Native InstrumentsのKOMPLETE AUDIO 1はステレオRCA出力を備え、KOMPLETE AUDIO 2にはステレオジャック出力が搭載されています。

お使いのモニタースピーカーにバランスジャックやXLR入力が備わっている場合は、KOMPLETE AUDIO 2のようにジャック出力を備えたインターフェイスを選ぶと良いでしょう。

また、出力を利用して外部のハードウェアエフェクトやミキサーへ音声信号を送り、インターフェイスの空き入力に戻して録音するといったルーティングも可能です。
ほぼすべてのオーディオインターフェイスには、プロ仕様のヘッドホンに対応したステレオ1/4インチジャックのヘッドホン出力が備わっています。ハイエンドで高インピーダンスのヘッドホンを使用している場合は、十分な音量と音質を引き出すために、オーディオインターフェイスの推奨インピーダンス値を確認しておくと安心です。KOMPLETE AUDIO 6は高出力のヘッドホン端子を2系統備えており、高インピーダンスのヘッドホンをドライブするのにも最適です。
コンバーターの品質
入出力端子の数や種類だけでなく、D/AコンバーターおよびA/Dコンバーターの品質も極めて重要です。コンバーターの性能によって、インターフェイスを介して録音された音や、出力されるサウンドの良し悪しが決まります。これはスペック表の接続端子数のように単純比較するのが難しい部分であり、プロのクリエイターの中には特定のハイエンドブランドに強いこだわりを持つ人も少なくありません。
しかし、これからDTMを始める初心者の方であれば、主要メーカーのエントリーモデルでもプロの制作現場に十分通用するハイレベルな音質が得られます。こちらのリンクから、Komplete Audio 6をスタジオやライブセットに導入しているアーティストたちをチェックできます。
オーディオインターフェイスには様々な録音時のサンプリングレートとビット深度の設定があり、これらが入出力の解像度に影響を与えます。音楽制作では「44.1 kHz / 24-bit」が定番の設定で、映像・マルチメディア案件では「48 kHz / 24-bit」が広く使われています。よりハイレゾな音質のために「96 kHz / 24-bit」に対応した機器もあり、さらなる高忠実度を誇るKOMPLETE AUDIOシリーズのようなインターフェイスでは最大「192 kHz / 24-bit」の録音・再生にも対応しています。初心者であれば、まずは「44.1 kHz / 24-bit」の設定で十分素晴らしい音質が得られます。
オーディオインターフェイスからモニタースピーカーを鳴らせば、コンピューター内蔵のオーディオ出力を使うよりも遥かに優れた音質が得られます。また、バランス接続対応の端子を使えば、入出力へのノイズ混入を心配することなく制作に没頭できます。このメリットだけでも、音楽制作をする人にとってオーディオインターフェイスを導入する価値は十分にあります。
その他の機能
オーディオインターフェイスには、MIDI入出力端子など、他にも便利な機能が備わっている場合があります。これは、外部のMIDIハードウェアシンセサイザーやエフェクトをシーケンス制御したい場合に役立ちます。インターフェイス自体にMIDI端子がない場合は、別途専用のMIDIインターフェイスを追加することも可能です。また、MIDIキーボードからの入力だけであれば、Native InstrumentsのKOMPLETE KONTROL A25をはじめとする昨今のほとんどのコントローラーがUSB経由のMIDI接続(MIDI over USB)に対応しています。

一部のオーディオインターフェイスには、入出力のレベルメーターディスプレイが搭載されています。これがあれば信号が大きすぎて音が歪んで(クリップして)いないかを視覚的に把握できるため、音割れのないクリーンな録音を行うのに非常に役立ちます。
ダイレクトモニタリングも一部のインターフェイスに備わっている便利な機能で、コンピューターを経由する前の入力音をインターフェイスから直接ゼロレイテンシーでモニターできます。音声がコンピューターに入力されると、PC内部の処理を経てヘッドホンなどに戻るまでにわずかな遅延(レイテンシー)が発生します。この時間差はごくわずかでも、演奏や歌唱のやりづらさにつながります。ダイレクトモニタリングなら入力信号をダイレクトに聴くことができるため、遅延に惑わされることなくベストなパフォーマンスに集中できます。
多機能な上位モデルでは、パラメーターの調整や音量レベル、ルーティングを細かくコントロールできる専用のミキサーソフトウェアが用意されている場合もあります。ただし、エントリーモデルではこうした複雑な設定は通常不要で、本体のハードウェアノブだけで直感的に操作できます。
多くのオーディオインターフェイスには、無料のDAWや音源、エフェクトなどのソフトウェアバンドルが付属しています。どんなソフトが同梱されているかを事前にチェックしておくのも大切です。例えばNative InstrumentsのKOMPLETE AUDIOシリーズには、Ableton Live 11 Lite、GUITAR RIG 6 LE、MASCHINE Essentialsに加え、厳選されたインストゥルメントやエフェクトが付属しています。
こうした追加機能は非常に魅力的ですが、選ぶ際には「端子の数」「端子の種類」「コンバーターの品質」という基本要素に比べれば二次的な優先度にとどめて考えるのがおすすめです。
オーディオインターフェイスのセットアップ方法
1. ドライバーソフトウェアのインストール
オーディオインターフェイスを使用するには、コンピューターに機器を認識させて通信するためのドライバーソフトウェアが必要になることがよくあります。極めてシンプルな製品であればドライバーが不要だったり、ケーブルを接続した際に自動でインストールされたりすることもあります。専用ドライバーが用意されている製品の場合は、ハードウェアを接続する前にインストールしておくことをおすすめします。
通常、必要なドライバーソフトウェアへのリンクは製品に同梱の案内やマニュアルに記載されています。Native InstrumentsのKOMPLETE AUDIOシリーズをお使いの場合は、ダウンロード:ドライバー&その他のファイルのページから最新のインストーラーを入手できます。

2. ハードウェアの接続
ドライバーソフトウェアのインストールが完了したら、いよいよハードウェアを接続します。オーディオインターフェイスは通常USBで接続しますが、Thunderbolt、FireWire、あるいはEthernetで接続するタイプのものもあります。
大型のオーディオインターフェイスを使用している場合は電源への接続も必要になることがありますが、KOMPLETE AUDIOシリーズのような多くのインターフェイスはバスパワー対応です。
3. ファームウェアのアップデート
常に最新の環境を保つために、オーディオインターフェイスのファームウェアアップデートがあるか確認しましょう。
Native Instruments KOMPLETE AUDIOのファームウェアアップデートは、Downloads: Drivers & Other Filesページから入手できます。これらのアップデートはシンプルなアプリケーション形式で提供されており、KOMPLETE AUDIOインターフェイスを接続した状態で実行するだけで、自動的にファームウェアのアップデートが完了します。
4. ヘッドホンやモニタースピーカーの接続
オーディオインターフェイスの出力端子に、モニタースピーカーやヘッドホンを接続します。モニタースピーカーの場合は、電源に接続して電源を入れる必要があります。複数の出力を備えたオーディオインターフェイスもあり、その場合は適切なオーディオドライバーを選択した後に、オーディオ編集ソフトウェア側でルーティングを設定できます。
5. オーディオドライバーの選択
次にオーディオ編集ソフトウェアを立ち上げ、オーディオデバイスの設定項目を探します。KOMPLETE AUDIOシリーズにはAbleton Live Lite 11が付属しています。このソフトウェアでは、Preferences > Audioでオーディオデバイスの設定が行えます。
ここでは、Input Device(入力デバイス)、Output Device(出力デバイス)、Sample Rate(サンプリングレート)を選択できます。また、コンピューターがオーディオ処理に割り当てる時間を表すBuffer Size(バッファサイズ)も設定可能です。バッファサイズを小さくするとレイテンシーは低くなりますが、バーチャルインストゥルメントやエフェクトを実行するための処理能力に余裕がなくなります。そのため、オーディオ編集ソフトウェアのCPUメーターが高負荷を示している場合は、バッファサイズを上げてみてください。

オーディオインターフェイスをOSのメイン出力として使用したい場合は、別途設定が可能です。macOSでは「システム設定」(または「システム環境設定」)>「サウンド」、Windowsでは「コントロール パネル」>「ハードウェアとサウンド」>「サウンド」から設定できます。
6. オーディオ出力の設定
オーディオインターフェイスに複数の出力がある場合は、オーディオ編集ソフトウェア内でこれらを選択できます。例えばAbleton Liveでは、モニタースピーカーを接続している出力端子にMaster Outが割り当てられていることを確認してください。

7. オーディオ入力の接続
マイクや楽器を接続します。接続する機器に合わせて、1/4インチ入力端子を適切なライン/インストゥルメントレベルのモードに設定してください。シンセ、エフェクト、ミキサーにはラインレベル、エレキギターやベースにはインストゥルメントレベルを選択します。
8. 入出力のテスト
ソフトウェアのオーディオ出力をテストする最も簡単な方法は、オーディオトラックにオーディオファイルを読み込んで再生してみることです。機材の破損や耳へのダメージを防ぐため、まずはオーディオインターフェイスの出力レベルを低めに設定しておきましょう。何も聴こえない場合は、接続を確認した上で、オーディオインターフェイスの出力レベルを徐々に上げてみてください。
次に、いずれかの入力にルーティングされたオーディオトラックを作成し、モニタリングをオンにします。Ableton Liveでは、オーディオトラックのMonitor InputをAutoに設定し、Arm Recordボタンを有効にすることで設定できます。これで楽器やマイクからの入力音が聴こえるはずです。聴こえない場合は、接続やオーディオインターフェイス本体の入力レベルを確認してください。

新しいオーディオインターフェイスで音楽制作をスタート
オーディオインターフェイスを選んでセットアップが完了すれば、音楽ソフトウェアでのオーディオ録音や再生、そして音楽制作を始める準備は万全です。オーディオインターフェイスや楽曲制作の詳細については、KOMPLETE AUDIO 1 クイックスタートガイドや外出先での音楽制作に関するブログ記事をご覧ください。