|Audrey Martinovich

ミキシングとマスタリングでまとまりのあるサウンドを作る方法

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how to get cohesive sound feature

楽曲制作の経験を重ねていくと、思い描いた通りのインパクトを届けるためにはミキシングのスキルアップが欠かせないことに気づくでしょう。ミキシングやマスタリングは、試行錯誤を繰り返しながら時間をかけて磨かれていくスキルです。ホームスタジオでプロクオリティのサウンドを実現するのは一筋縄ではいかないかもしれませんが、マスタリング工程に入る前段階でミックスのまとまり感を高めるためのヒントをいくつかご紹介します。

各セクションはこちら:

まとまりのあるミックスとは?

  1. 小さめの音量でミックスしてみる
  2. モノラルでEQとコンプレッションを施してからパンを振る
  3. Densityを使ってミックスに一体感を出す
  4. リバーブとディレイが効果的に機能しているか確認する
  5. 異なるモニタリング環境で鳴りの違いをチェックする

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まとまりのあるミックスとは?

では、「まとまりのあるミックス」とは何を意味し、マスタリング前のミックスはどのように聴こえるべきなのでしょうか? 「まとまり」とは、各要素がひとつに融合し、効果的に連携して機能している状態を指します。音楽のミキシングにおいて、まとまりのあるミックスは聴き手の耳を意図した方向へと導き、楽曲の持つエモーショナルなインパクトを最大限に高めてくれます。

例えば、聴き手に安らぎを感じさせたいなら、各楽器のアタックを柔らかくして、音が溶け合いながら一体となって膨らむようにするかもしれません。逆に、聴き手を動揺させたり不安を煽ったりしたい場合は、音量、パンのオートメーション、ディストーションなどをツールとして活用できます。

ミックスに取りかかる際にまず行うべきことは、ゴールを明確に定めることです。目指すべき明確なビジョンがあれば、ミックス作業における判断が格段にスムーズになります。実際のところ、ミキシングとは音色、音量、バランス、明瞭さなどについての判断を積み重ねていく作業に他なりません。そしてこれらの判断は、常に作品が目指す芸術的なゴールを念頭に置いて下されるべきです。

1. 小さめの音量でミックスしてみる

ゴールを念頭に置きながら、フェーダーを使って各トラック間の大まかな音量バランスを整えましょう。直感的には、まずキックドラムから始めて、それにスネアを合わせ、シンバル、ベースと順にバランスを取っていきたくなるかもしれません。しかしここでの問題は、キックドラムが重要であるとはいえ、ミックスにおいてリードボーカル以上に重要ということはおそらくない点です。まずはミックス内で最も重要な要素(例えばリードボーカルや、インスト曲ならリードギターなど)を見極め、それを基準にして他のトラックの音量を調整しましょう。

音量バランスを整える上で非常に役立つと実感しているのが、かなり小さめの音量でミックスすることです。ミックス全体の音量が小さい方が、特定の音が大きすぎるか小さすぎるかを人間の耳が判断しやすくなります。大音量でミックスしていると、細かな音量のニュアンスを聴き分けるのがほぼ不可能になるだけでなく、耳がすぐに疲れてしまいます。これはコンプレッションの効き具合を聴き取る際にも非常に有効です。

2. モノラルでEQとコンプレッションを施してからパンを振る

筆者はミックスに面白みを加えるためにパンのオートメーションを活用するのが大好きなのですが、これをやり始めた当初は、パンを動かすまではうまくミックスに馴染んでいたトラックが、ステレオ空間の別の位置に移動した途端に輪郭を失ってしまうことに気づきました。

これは、パンを振ったトラックが、それまで空間を共有していた楽器とは別の楽器が占めるスペースに入り込んだことで、異なる周波数の重複が生じたためです。ステレオ空間をいじり始めたことで、新たな音のマスキング(衝突)が発生していたのです。その結果、パンを動かしたトラックの音色がバラつき、ミックス全体がどこかまとまりのない印象になってしまっていました。

この問題の解決策は、パンを振る前にまずEQを追加し、コンプレッションを施すことです。すべてのトラックをセンターに置いた状態で、EQを使ってマスキングや位相の問題に対処しましょう。パンに頼るのではなく、この段階でトラック間の分離感をすっきりと作り出すのです。そうすれば、実際にパンを振り始めた際にも、ステレオ空間を移動するトラックの音色の統一感が保たれ、より明瞭で広がりのあるミックスに仕上がります。

さらに嬉しい副産物として、家庭用Bluetoothスピーカーの普及に伴い重要性が高まっているミックスのモノラル互換性もしっかり確保できます。

3. Densityを使ってミックスに一体感を出す

従来の一般的なコンプレッサーは、信号が一定の音量やスレッショルドに達すると信号を減衰させますが、Neutron ElementsのDensityは代わりにアップワード・コンプレッションを使用します。つまり、信号レベルが一定のスレッショルドを下回ると音量を持ち上げ、トラックのダイナミクスを均一化する仕組みです。

これにより、特に音数の多いミックスで埋もれてしまいがちなニュアンスや歌詞の言葉を前に押し出すことができます。この例では、Densityをボーカルに適用してミックスの抜けを良くし、さらに一部のシンセパートをより際立たせています。

Density

4. リバーブとディレイが効果的に機能しているか確認する

すべてのサウンドが同じ部屋の中で鳴っているように聴かせるため、リバーブは1つだけ使用し、全トラックをそのリバーブにセンドするのが良いという話を聞いたことがあるかもしれません。ブルーグラスのようなアコースティック中心のジャンルでは確かに当てはまりますが、すべてのジャンル、特にシンセやサンプルを多用する音楽においては、必ずしもそうとは限りません。

より重要なポイントは、リバーブやディレイが全体として調和して心地よく聴こえるようにすることです。これら空間系・時間系エフェクトでは、楽曲のテンポやグルーヴとしっかり噛み合っているかを確認する必要があります。例えばテンポの速い曲では、手数の多いハイハットやラップボーカルのように動きの激しいパートに極端に長いリバーブをかけるのは、一般的には避けた方が良いでしょう。

筆者は普段、ミックス内で複数のリバーブやディレイを使い分けています。輪郭を際立たせて目の前にあるように聴かせたい楽器(リバーブやディレイを少なめ、または短めにする)もあれば、奥行きを出すために輪郭をぼかして背景に配置したい要素もあるからです。各トラックの「フォーカス感」をどの程度にするかは完全に自由であり、制作している楽曲のムードによって変わってきます。

こちらの例では、リードボーカル、リードのダブリング、そして2〜5つのバックグラウンドボーカルのレイヤーを用意しています。最初のファイルでは、バックグラウンドボーカルの半分とリードボーカルを1つのリバーブに送り、残りのバックグラウンドボーカルとリードボーカルのダブリングを別のリバーブに送っています。筆者の耳には、これだと存在感の面でバックグラウンドボーカルのバランスが崩れて聴こえます。

次の例では、リードボーカルを短めのリバーブに送り、ダブリングとすべてのバックグラウンドボーカルを同じミディアムレングスのリバーブに送っています。こちらの方がごちゃつきが少なく、まとまりのあるサウンドに聴こえます。なお、両方の例でリバーブにはNectarを使用しています。

Assistant Viewの左下にあるFX padでは、各エフェクトのIntensityとMixを調整できます。ReverbやDelayに加え、コーラス、フランジャー、フェイザー効果を加えるDimensionを追加可能です。

Nectar 4 Elements

セッション内でお気に入りのリバーブが決まったら、恐れずに色々試してみましょう! ボーカルフレーズの終わりに近づくにつれてリバーブの量を徐々に深くするように、リバーブへのセンド量をオートメーションで動かしてみてください。あるいは、リバーブトラックの出力をオーディオトラックにルーティングしてリバーブ音のみを録音し、そのクリップを曲の別の場所に配置して、印象的な場面を予告したり反響のように鳴らしたりするのも一案です。さらに、そのクリップをリバース(逆再生)してボーカルフレーズの直前に配置し、導入として使うこともできます。可能性は無限大です!

5. 異なるモニタリング環境で鳴りの違いをチェックする

ミックスのまとまり感を左右する要因の一つに、異なるモニタースピーカーやヘッドホンでどのように鳴るかという点があります。様々なリスニング環境で聴き比べることで、それまで気づかなかったミックスの問題点を客観的に把握できるようになります。これはマスタリングの領域に入り始めますが、ミキシングの段階から意識しておくことで、マスタリング作業がずっとスムーズになります。

こちらは『Coco Oils』の全インストゥルメント音源です。「Before」バージョンは、サブウーファー付きの大型スタジオモニターでミックスしていました。しかし、小さめのモニターに切り替えた途端、ベースとキックが非常に弱く聴こえ、輪郭を際立たせる必要があることに気づきました。そこでOzone Elementsにミックスを通し、ミックスを濁らせていた低域の余分なレゾナンスをすっきり整理しました。こちらがそのBefore/Afterです:

Ozone Elements

マスタリングの手順をステップ・バイ・ステップで詳しく知りたい方は、Ozoneを使ったマスタリングガイドをご覧ください。

ミキシングとマスタリングでまとまりのあるサウンドを実現

まとまりのあるミックスを作るために重要なのは、音量のバランス(突然大きすぎるギターソロでリスナーを驚かせないこと)、空間のバランス(EQで各楽器の周波数スペースを整え、リバーブやディレイでサウンドを異なる空間に配置すること)、そしてエモーショナルなインパクトを届けることです。

結局のところ、私たちがやっているのは科学の手法を用いてアートを創造することです。自分自身で良い音だと感じられ、設定したゴールを達成できているのであれば、そのミックスは大成功と言えるでしょう。

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