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ヒップホップを形作ってきた20のラップジャンル

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Top 20 rap genres that have defined hip hop

ラップは、音楽の歴史上最も成功し、世界中で愛されているジャンルのひとつです。1970年代にサウス・ブロンクスの黒人アーティストたちによって生み出され、世界中を席巻してきました。ラップの基本的な要素はシンプルで、リズミカルなスポークン・ボーカルとヒップホップビートです。しかし、50年にわたるラップの歴史の中で、これらの要素は無数の方法で再構築され、実に多彩で魅力的なラップジャンルを生み出してきました。

この記事では、ヒップホップを決定づけてきた代表的な20のラップスタイルをご紹介します。生々しく無骨なものから、洗練されたパーティー向けのものまで様々です。チャートを席巻したものもあれば、特定の都市のニッチなコミュニティに根ざしたものもあります。これらすべてのラップジャンルは、ラップの発展において極めて重要な役割を果たし、ジャンルの可能性を広げ、スリリングな新しいヒップホップサウンドをもたらしてくれました。

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ラップには何種類ある?

ラップに何種類あるかを正確に答えるのは不可能ですが、心地よいオールドスクールから背筋の凍るようなホラーコア、ジャンル横断的なポップラップに至るまで、数十種類ものラップジャンルが存在します。ラップは音楽史上最も人気のあるジャンルのひとつであり、その50年の歴史の中で数え切れないほどの形態を生み出してきました。この記事では、最も重要な20種類のラップミュージックを探っていきます。

ラップというジャンルの定義とは?

ラップはアメリカの黒人ミュージシャンによって発展した音楽ジャンルで、リズミカルで語りかけるようなボーカルデリバリーを中心としています。この基本的な定義を超えて、長年にわたり無数のバリエーションが生み出されてきました。推進力に満ちたものからレイドバックしたもの、攻撃的なものからメロウなもの、ジャジーでサンプル主体のスタイルから未来的でシンセを多用したものまで実に多彩です。この記事では、そんな多様なラップジャンルに迫ります。

何がラップをジャンルたらしめているのか?

リズミカルなスポークン・ボーカルとヒップホップビートという、他と一線を画す明確な要素があるからこそ、ラップはひとつのジャンルとして成立しています。これらの要素は非常に力強く独創的であったため、世界中で認知され、ラップを史上最も成功した音楽ジャンルのひとつへと押し上げました。

ヒップホップの3大サブジャンルとは?

ヒップホップは無数のサブジャンルに分けることができますが、最も重要な3つはラップにおいて重要なアメリカの3つの地域、すなわち東海岸、西海岸、そして南部に紐づいています。これら3つのサブジャンルは、それぞれさらに異なるラップスタイルへと細分化できます。例えば、東海岸は生々しいサウンドのブーンバップで有名です。西海岸はスムーズで官能的なG-funkを生み出しました。そして南部からは、バウンスやクランクといった個性際立つラップジャンルが誕生しました。

ヒップホップを決定づけた代表的な20のラップジャンル

1. オールドスクール

初期のラップは明確なジャンルに分かれていませんでした。音楽の基本概念がまだ発展途上であり、常に新しいアイデアが生み出されていたからです。後にラップファンは、この黎明期を「オールドスクール」時代と呼ぶようになりました。ここでは1970年代から1980年代にかけてこのジャンルがどのように発展したかを総称する言葉として、この用語を使用しています。

DJ Kool Hercはニューヨーク・ブロンクスのブロックパーティーでプレイする中で、ラップミュージックを生み出しました。初期のラップはパーティーミュージックであり、ラッパーたちはディスコレコードからサンプリングしたループに乗せてストレートなライムを披露していました。その最も有名な例が、1979年にリリースされたThe Sugarhill Gangの「Rapper's Delight」でしょう。この曲はChicのディスコヒット曲「Good Times」のループをベースに作られています。このようなオールドスクールラップは、ディスコラップと呼ばれることもあります。

やがてラップはリズムマシンなどの新技術を取り入れ、よりタフで未来的なサウンドを作り出すようになりました。Afrika Bambaataa & The Soulsonic Forceの1982年のヒット曲「Planet Rock」は、ヨーロッパのシンセグループKraftwerkからインスピレーションを受け、ラップを進化させると同時にエレクトロというジャンルを切り拓きました。

ラップが進化するにつれ、歌詞はよりダークで社会意識の高い方向へと向かい始めました。同じく1982年に発表されたGrandmaster Flash & The Furious Fiveの「The Message」は、インナーシティの貧困を描いています。長年にわたり、ラップは楽しい時間を称賛すると同時に、厳しい社会問題にも切り込んできました。これから見ていくように、様々なラップジャンルが楽しさと生々しいリアリズムの異なる組み合わせを見せてくれます。

2. ブーンバップ

多くのラップジャンルは、アメリカの特定の地域にそのルーツを辿ることができます。ラップがニューヨークで生まれたことを考えれば、最高のラップジャンルの多くが東海岸発祥であるのも不思議ではありません。ブーンバップは、東海岸のラップジャンルの中で最も称賛されているスタイルと言えるでしょう。1980年代後半から1990年代前半にかけて最盛期を迎え、多くの人々がブーンバップのサウンドをラップの黄金期と結びつけています。

その名前が示す通り、ブーンバップは力強いドラムビートが特徴です。アコースティックなキックとスネアは、多くの場合古いソウルやファンクのレコードからサンプリングされ、インパクトを最大化する処理が施されています。ブーンバップの楽曲はミニマルな傾向があり、ドラムとボーカルを前面に出し、多くのサンプルを使用します。ブーンバップビートの粗削りで生々しい質感は、東海岸ラップのサウンドを象徴するものとなりました。これは、(後述する)G-funkのような西海岸ジャンルのより滑らかなサウンドとは対照的です。

Wu Tang ClanやMobb Deepといった伝説的なニューヨークのラップグループは、ブーンバップサウンドを象徴する存在でした。また、KRS-Oneも1993年のアルバムReturn of the Boom Bapでこのジャンルの普及に貢献しました。

ブーンバップは最も愛されているラップジャンルのひとつであり、その影響は現代のラップのいたるところで耳にすることができます。ブーンバップをご自身で探求してみたい場合は、Empire Breaks Play Series音源で定番のサンプリングドラムを体験したり、Basement EraやBorough Chopsといったブーンバップにインスパイアされたサンプルパックを手に入れてみてください。

3. ギャングスタラップ

Grandmaster Flashの「The Message」が示したように、社会的な批評性は初期の頃からラップミュージックの一部でした。1980年代後半になると、ラッパーたちは犯罪や抗争といったテーマをさらに露骨に取り上げ始め、ギャングやストリートのハスラーとしてのペルソナを身にまとうことが多くなりました。

ギャングスタラップの創始者であるIce-Tはニュージャージー州で生まれ、十代の頃にロサンゼルスへ移住しました。ギャングスタラッパーは全米各地に存在し、ギャングスタラップも荒削りなブーンバップから滑らかなG-funkスタイルまで、長年にわたり多彩なサウンドを取り入れてきました。しかし、このラップジャンルが最も強く結びついているのは西海岸のラップです。

N.W.A.の1988年の「Fuck Tha Police」やIce Cubeの1990年の「AmeriKKKa’s Most Wanted」といったギャングスタラップの作品は、大きな議論を巻き起こし、アメリカのポップカルチャーの様相を一変させました。また、これらはこのジャンルの奥深さも物語っています。ギャングスタラッパーが犯罪を美化していると多くの批判を受ける一方で、アーティストたちは人種差別的な警察の取り締まりやその他の社会問題に対して強力な批判の声を上げていたのです。

4. G-funk

G-funkは西海岸のギャングスタラップから発展し、史上最も成功したラップジャンルのひとつとなりました。元N.W.A.のメンバーであるDr. Dreが1992年にリリースしたアルバムThe Chronicは、ギャングスタラップの生々しいテーマをチャート上位のヒット音楽へと昇華できることを証明し、このジャンルの先駆けとなりました。DreがSuge Knightとともに設立したDeath Row Recordsは、Snoop Doggや2PacといったG-funkアーティストを擁し、史上最も重要なラップレーベルのひとつとなりました。

G-funkの革新性は、ラップをよりスムーズにしたことにありました。P-Funk(ParliamentやFunkadelicといったバンドによる1970年代のサイケデリックファンク)からその名を取ったG-funkは、レイドバックしたグルーヴとソウルフルなリードを取り入れました。これはサンプルではなく実際のミュージシャンを起用することを意味する場合が多く、よりクリーンで厚みのあるサウンドを生み出しました。Snoop Doggの「Gin And Juice」で聴こえるうねるようなシンセリードは、このジャンルの象徴的な特徴です。

また、G-funkの歌詞のテーマもギャングスタラップから変化し、犯罪生活の厳しいハッスルよりも、パーティーやハイになることに焦点を当てるようになりました。Dreの「Nuthin' But A "G" Thang」の陽気なハウスパーティーのMVは、G-funkの雰囲気を象徴しています。ある意味でG-funkは、初期のディスコラップが持っていた心地よいバイブスへとラップを回帰させました。しかしそこには、80年代から90年代初頭のアメリカ社会の変化を反映したダークなニュアンスも秘められていました。

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5. ダーティサウス

ラップミュージックは東海岸と西海岸だけのものではありません。アメリカ南部もまた、ラップの進化に極めて重要な貢献を果たしました。「ダーティサウス」という包括的な名称で呼ばれることも多く、南部全域、特にアトランタ、ニューオーリンズ、テキサス、フロリダから素晴らしいラップジャンルが誕生しました。

東海岸と西海岸の間で繰り広げられる白熱した議論の中で、南部のラッパーたちの声が届くようになるまでには少し時間がかかりました。しかし90年代初頭から、The Geto Boys(ヒューストン出身)やOutKast(アトランタ出身)といったアーティストが頭角を現し始めました。彼らはソウルフルで重層的なサウンドによって、南部の豊かな文化を表現しました。ブルースやゴスペルの影響は明白であり、生演奏のプレイヤーたちが音楽にグルーヴをもたらしていました。

アメリカ南部の他の地域では、ラップはアップテンポでパーティー感あふれるサウンドへと進化しました。その代表例がマイアミベースのサブジャンルであり、Afrika Bambaataaが生み出したエレクトロのジャンルをベースに、歯切れの良いドラムマシンのリズムを取り入れています。

ダーティーサウスは史上最も影響力のあるラップジャンルのひとつであり、そのサウンドは現代のラップミュージックにも息づいています。Headland Flow Expansionで、ご自身のトラックにサザンソウルを取り入れてみましょう。ブルージーなベースや鍵盤、ファンキーなブレイクが、本格的なダーティーサウスの魅力を演出します。

6. ジャズラップ

ジャズとラップは、ブラック・アメリカン・ミュージックの偉大な2大ジャンルです。それらを融合させるのは自然な流れであり、多くの優れたラップアーティストが実践してきました。ジャズラップは、ラップミュージックの歴史において特定の地域や時代だけに留まるものではなく、ラップの歴史を通じて何度も立ち現れる大きな潮流です。

A Tribe Called Questは、1991年のアルバム『Low End Theory』でジャズラップのハードルを一気に引き上げました。知的なジャズのサンプリングとさらに巧みなリリックを融合させ、Digable PlanetsやJungle Brothersといったアーティストとともにジャズラップの黄金時代を築き上げました。

ジャズラップというジャンルは90年代後半に勢いを落としたものの、決して消え去ることはありませんでした。エキセントリックなビートメイカーであるMadlibとMF DOOMが2000年代にこのジャンルを復活させ、2004年には偉大なジャズラップアルバムのひとつである『Madvillainy』を生み出しました。

デトロイトはジャズラップの重要な拠点であり、J Dillaのようなプロデューサーが90年代を通じてジャズサンプリングを大胆な方向へと進化させました。ドラマーのKarriem Rigginsはデトロイトのジャズラップシーンの中心人物であり、Karriem Riggins Drumsを使えば、彼の類まれなグルーヴをご自身の楽曲に取り入れることができます。Native Instrumentsでは、ジャズラップのサンプリングに必要なあらゆるExpansionsも豊富に取り揃えています。豊かなジャズサウンドをお探しならRare Vibrations Expansionを、MadlibやMF DOOMのようなサンプリング重視のサウンドを追求するならCrate Cuts Expansionをぜひチェックしてみてください。

7. コンシャスラップ

コンシャスラップは、政治的・社会的なテーマを扱うラップスタイルです。コンシャスラッパーは黒人の地位向上(ブラックエンパワーメント)に関心を持つことが多く、人種差別的な不正義や社会的・経済的不平等を批判します。また、ギャングスタラッパーが提示するハスラー的なキャラクターに対して批判的であることもあります。

コンシャスラップは、ラップの歴史を通じて度々登場します。Ice Cubeは主にギャングスタラップと関連付けられますが、警察の暴力行為を批判するラップ曲も書いており、1990年の「Dead Homiez」などはコンシャスラップと捉えることができます。

90年代を通じて、シカゴのCommonやニューヨークのMos Def、Talib Kweliといったアーティストたちがコンシャスラップと深く結びついていました。この3名は、ニューヨークでの過酷な現実を綴った「Respiration」で共演しています。

コンシャスラップは現代のヒップホップにもしっかりと息づいています。ラッパーが社会的不平等や警察の暴力をテーマにする時、彼らはコンシャスラップのスピリットを受け継いでいます。現代で最も高く評価されるラッパーのひとりであるKendrick Lamarは、リリックの中で鋭い政治的論評を展開し、このジャンルを新たな高みへと押し上げました。

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8. ニューオーリンズ・バウンス

サザンラップが世界を席巻する前、バウンスが存在していました。このパーティー向きのラップスタイルは、ニューオーリンズの公営住宅地区で生まれました。アトランタ・クランク(バウンス曲のチャントボーカルをよくサンプリングしていました)など、後のサザンジャンルの礎を築くことになります。

バウンスは、DJ Kool Hercによる初期のヒップホップブロックパーティーの陽気なエネルギーを受け継いでいます。躍動的なブレイクビーツとコール&レスポンスのチャントは、思索にふけるのではなく、思わず踊り出したくなるような魅力を持っています。「King of Bounce」と称されるDJ Jubileeによる初期のバウンスヒット曲を聴けばわかるように、巧みなリリックや重低音ベースではなく、キャッチーに繰り返されるチャントが中心となっています。

バウンスは、ラップとクラブミュージックの境界線が紙一重であることを教えてくれます。これは、ジャージークラブやボルチモアクラブといった他の地域発祥のジャンルにも通じる特徴です。また、バウンスは女性アーティストやクィアアーティストにとって重要な拠点でもあります。クィアラッパーのBig Freediaはこのジャンルの代表的な普及者であり、その歌声はBeyonceの「Break My Soul」にもサンプリングされています。

9. ホラーコア

ホラーコアは、コンシャスラップのダークな対極に位置するジャンルです。このスタイルのラップは、聴く者を不安にさせ衝撃を与えるような、おぞましく過激なテーマに焦点を当てています。アメリカ南部発祥であり、メンフィスのグループThree 6 Mafiaがその基本フォーマットを確立しました。「Fuck Wit Dis Click」などの楽曲は、ホラー映画のサウンドトラックを思わせる陰鬱なビートと、衝撃的に暴力的なリリックを融合させています。ギャングスタラップに慣れ親しんだリスナーでさえ、ホラーコアには衝撃を受けるほどでした。

それ以来、ホラーコアの流れはラップ文化のいたるところに現れるようになりました。ラッパーが思いつく限り最も不穏なライムでリスナーに衝撃を与えようとするとき、それはホラーコアと呼べるかもしれません。このジャンルで最も有名な旗手といえば、1999年の大ヒットLP『Slim Shady』で郊外の親たちを驚愕させ、ラップシーンの構図を塗り替えたデトロイトのラッパー、Eminemでしょう。

近年では、Odd FutureのTyler, The Creatorがホラーコアの精神を受け継ぎ、リスナーに衝撃を与える新しい方法が常に存在することを証明しています。

10. クランク

クランクは、アメリカ南部でしか生まれ得なかったワイルドなハイブリッドラップジャンルです。バウンスのパーティーチャントと、Three 6 Mafiaのようなホラーコアのダークなトーンを組み合わせ、不穏でありながら抗えない魅力を持つパーティーラップを生み出しました。クランクは2000年代初頭のチャートを席巻し、商業的に最も成功したラップミュージックのタイプのひとつとなりました。

クランクの鋭いビートと派手なシンセは、数年後にラップ界を席巻することになるトラップジャンルの先駆けとなりました。しかし、クランクの最も際立った特徴はボーカルです。楽しくもありアグレッシブでもある、荒々しいシャウトのフックが特徴的です。クランクの最もアイコニックな声の持ち主であるLil Jonは、2002年の「Get Low」をはじめとする数々のビッグヒットを生み出しました。

Three 6 Mafiaもクランクのトレンドに乗り、ダークなホラーコアをよりアップビートでパーティー向けのサウンドへと変化させました。

クランクは、Usherの2004年の楽曲「Yeah!」によってメインストリームへと進出しました。この曲ではLil Jonの荒々しいシャウトがフックとして使われ、2000年代最大のヒット曲のひとつとなりました。

私たちは、Golden Kingdom Expansionでクランクのメインストリームへの進化を再現しました。サザンヒップホップのスピリットとEDMシンセを融合させ、チャートを席巻する壮大なラップサウンドに必要なサンプルをすべて取り揃えています。

11. ハイフィー

パーティーを盛り上げるラップジャンルは、南部だけの専売特許ではありません。メンフィスにクランクがあったように、サンフランシスコ・ベイエリアにはハイフィーがありました。この言葉は「極度に活動的(hyperactive)」を意味するスラングで、ジャンルの創始者であるKeak Da Sneakによって作られました。アップビートなリズム、地響きのようなベース、そしてシャウトや不規則なリズム、言葉にならないチャントを交えたカオスなボーカルなど、このユニークなラップジャンルの特徴を見事に言い表しています。クランクと同様に、ハイフィーは楽しくもあり、どこか狂気を感じさせるサウンドです。

ハイフィーは1990年代に形作られ、2000年代半ばにメインストリームでの成功を収めました。E-40の「Tell Me When To Go」はこのジャンルの商業的ピークであり、ささやき声とシャウトが入り混じる独特なボーカルは、当時最も異彩を放つラップヒット曲のひとつとなりました。

ハイフィーはその後、DJ Mustardの「ラチェット」スタイルにも影響を与え、2010年代のチャート上位を飾るパーティーラップのサウンド形成に貢献しました。Tygaの「Rack City」の病みつきになるバウンス感を聴けば、ハイフィーがより広いラップカルチャーへとどのように浸透していったかが分かります。

12. チョップド&スクリュード

チョップド&スクリュードは、ひとつのラップジャンルというよりはひとつの精神や手法(エトス)に近いものです。クランクやハイフィーのようなパーティーラップが音楽を高揚させて楽しく踊れるものにしたのに対し、ヒューストンのDJ Screwはラップを全く逆の方向へと導きました。パープル・ドランク(咳止めシロップとソーダを混ぜた飲み物)の鎮静作用にインスパイアされ、DJ Screwはラップのテンポを極限まで落としました。

DJ Screwは、1994年のアルバム『3 ‘n The Mornin’ 』で幅広い支持を獲得しました。Dr. DreやIce Cubeなどのラップトラックをピッチダウンし、セクションをループさせるリミックスを施すことで、催眠的で斬新なトラックを生み出したのです。

DJ Screwは、2000年にコデインの過剰摂取で亡くなるまでに、独自のスタイルで350本以上ものミックステープを制作しました。その過程で、ラップミュージックにおける新たな空間やグルーヴの探求に興味を持つ何世代ものプロデューサーたちに影響を与えました。2000年代後半には、Chopped and screwedの感覚とドリーミーなシンセを組み合わせ、ラップにユニークなひねりを加えたCloud Rapというジャンルが誕生しました。さらに最近では、ラップやポップスの楽曲のテンポを落として新たな魅力を引き出す「Slowed + Reverb」のトレンドが、DJ Screwのレガシーを受け継いでいます。

13. トラップ

トラップは、過去20年間で最も影響力を持ったラップジャンルと言えるかもしれません。ラップやポップスの楽曲で鳴り響く重低音の808ベース、連打されるハイハット、あるいはよろめくような3連符のビートを耳にしたことがあるなら、それはトラップの恩恵です。

もともとトラップは、アメリカ南部から生まれたもうひとつの産物でした。アトランタのラッパーであるT.I.、Jeezy、Gucci Maneらによって開拓されたのが始まりです。この名称は「トラップハウス」(薬物の密売所として使われる家)に由来しており、リリックの面でもストリートでの過酷なサバイバルや薬物密売の物語を描くなど、ギャングスタラップをハードにアップデートしたものでした。

トラップがチャートを席巻するようになったのは、それから数年後のことです。プロデューサーのLex Lugerがこのサウンドを広め、2010年と2011年にこのスタイルで200曲以上を制作しました。彼はトラップの最も印象的で分かりやすい要素に焦点を当て、洗練されたスタイルを作り上げたのです。Waka Flocka Flameの2010年のアルバム『Flockaveli』では、Lex Lugerのスタイルを存分に聴くことができ、打ちつけるようなビートとドラマチックなホーンのサンプルが、Flockaの攻撃的なリリックを完璧に引き立てています。

EDMプロデューサーたちもこのスタイルのトラップを取り入れ、独自に発展させました。地を這うような重低音ベースとシンコペーションを効かせたリズムに着目し、BaauerやDJ Snakeといったプロデューサーがトラップを踊れるインストゥルメンタルジャンルへと昇華させ、2010年代を通じてクラブやフェスティバルを満員に沸かせました。

2020年代に入っても、トラップの影響力は衰える気配がありません。Cardi BからAriana Grandeに至るまで、多くのポップアーティストがこのサウンドからインスピレーションを受けています。さらには、Lil Nas Xの「Old Town Road」のような「カントリートラップ」など、チャートを席巻するサブジャンルまでも生み出しています。

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14. シカゴドリル

ドリルは、トラップジャンルから派生した、よりスローでダークな変種です。2010年代初頭にシカゴで生まれたドリルは、トラップが持つ暗いテーマと鋭いパーカッションをさらに突き詰め、華やかなメインストリームラップとは対照的な存在感を放ちました。

Chief Keefは、シカゴドリルにおける最も著名なアーティストです。ブレイクのきっかけとなった楽曲「I Don’t Like」は、このジャンルならではのパワフルなビートとストレートなボーカルフローを存分に見せつけています。この曲を聴けば、Pitchforkがドリルを2010年代で最も重要なラップのサブジャンルと評した理由がよく分かるはずです。

このトラックをきっかけに、当時わずか16歳だったKeefはInterscopeと数百万ドル規模の契約を結びました。業界からの大きな注目を浴びた後、ドリルのムーブメントはいったん落ち着いたと見る向きも多くあります。

しかし、UKドリルをはじめとするその後のラップジャンルに大きな影響を与えました。UKドリルは、近年のラップの中で最も重要なジャンルのひとつです(これについては後述します)。

Deft Linesを使えば、USおよびUKドリルの台頭と進化を体験できます。ドリルの特徴であるうねるようなスライドサブベース、無駄を削ぎ落としたメロディ、不気味に加工されたサンプルを直感的に操れる音源です。

15. グライム

ラップミュージックはアメリカで誕生し、ここまで紹介してきたジャンルもすべてアメリカ発祥のものでした。しかしグライムは例外で、イーストロンドンの公営住宅街で発展した、イギリス独自のラップスタイルです。

2000年代初頭から、グライムアーティストたちはイギリスのダンスミュージック、とりわけUKガラージからインスピレーションを受け、独自のサウンドとボーカルスタイルを確立していきました。だからといって、グライムがバウンスやクランクのようにパーティー向けのラップジャンルというわけではありません。鋭角的なビート、未来的シンセ、アグレッシブなボーカルフローを持つグライムは、聴く人を選ぶ一面もあります。しかし同時に遊び心も持ち合わせています。2003年にブレイクしたDizzee Rascalのトラック「I Luv U」の熱狂的なエネルギーを聴けば、それがよく分かるでしょう。

メインストリームでの成功を収めた後、2000年代後半には一時的に勢いを潜めたグライムでしたが、2010年代に再び浮上します。SkeptaとJMEによる「That’s Not Me」などのシングルによって、このジャンルはかつてないほどの成功を収めました。

Stormzyをはじめとする新世代のグライムアーティストは、Drakeのようなラップ界の大物からの支持も追い風となり、世界的なスターへと上り詰めました。その後、グライムの座は主にUKドリルへと引き継がれましたが、唯一無二のサウンドを持つ影響力あるラップジャンルとして今なお存在感を放っています。

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16. UKドリル

UKドリルは、アメリカとイギリスのラップスタイルが融合して生まれたジャンルです。グライムを聴いて育ったロンドンのプロデューサーたちがシカゴドリルから刺激を受けたことで誕生しました。彼らはビートのテンポを上げ、ロンドンの多様なカルチャーから着想を得たリズムとボーカルフローを加えました。

ドリルは2010年代後半に大きな盛り上がりを見せました。Unknown Tの「Homerton B」は、UKドリルとして初めて全英チャート入りを果たした楽曲です。この曲には、エネルギッシュなリズム、スライドするベースライン、生々しいリリックといった、このジャンルの特徴が見事に凝縮されています。

近年、UKドリルの勢いはさらに増しています。R&Bやアフロビーツなど、チャート向けのジャンルとも融合し、よりポップな進化も遂げています。2022年のラップ界最大級のヒットとなったCentral Ceeの「Doja」は、UKドリルがいかにキャッチーで遊び心に満ちたものになり得るかを示しています。Eveの2001年のラップヒット「Let Me Blow Ya Mind」のサンプルをベースにしたこの曲は、イギリスとアメリカのラップシーンが現在も対話を続けていることを象徴しています。

Native InstrumentsのExpansionsを使えば、UKドリルの迫力を自身のトラックに取り入れることができます。哀愁漂う鍵盤、重厚なスライドベース、パンチのある処理済みドラムならLockdown Grindをお試しください。Young Phantomは、R&Bのメロディ、アフロビーツのスイング感、トリッキーなボーカルカットなど、世界的な広がりを見せる現在のUKドリルのサウンドを捉えています。

17. ポップラップ

ポップラップは、ラップのビートやボーカルと、ポップミュージックのキャッチーなメロディや親しみやすい楽曲構成を組み合わせたジャンルです。この強力な組み合わせにより、ラップ史上最も印象的な名曲の数々が誕生してきました。

ラッパーたちは何十年にもわたり、ポップスからインスピレーションを受けてきました。80年代にはLL Cool JやThe Beastie Boysといったアーティストが、キャッチーなサウンドとコミカルなキャラクター性を取り入れ、ラップミュージックにポップな感覚を持ち込みました。LL Cool Jが1987年に発表した「I Need Love」は、ラップのリリシズムと甘いバラードのインストゥルメンタルを融合させた、初期ポップラップの代表的ヒット曲のひとつです。

1990年代に入ると、ポップラップはその地位を確固たるものにしました。ブーンバップの生々しさやギャングスタラップのダークなテーマと比べると、90年代のポップラップはしばしば軽薄で商業的だと見なされがちでした。しかし、MC Hammerの1990年のシングル「U Can’t Touch This」のような楽曲が持つ圧倒的なキャッチーさは否定できません。ユーモアと親しみやすいメロディをラップミュージックにもたらすことで、ポップラップはこのジャンルの新たな一面を提示しました。

2000年代から2010年代にかけて、ポップラップはシンセを多用した派手なスタイルへと変化し、クランクのようなパーティー向けラップスタイルと現代のR&BやEDMを融合させました。Nelly、Nicki Minaj、Pitbullといったポップラップアーティストは、この時代を代表するトップスターとなりました。Flo Ridaの「Low」は、ポップラップ史上最も頭から離れないキラーチューンのひとつと言えるでしょう。

ポップラップは今もなお、最も巨大なラップジャンルのひとつであり続けています。新しく台頭するラップのジャンルがその時代のポップミュージックと結びつき、新たなポップラップのハイブリッドを生み出しています。そのひとつがマンブルラップです。トラップとエモーショナルなR&Bを融合させ、特徴的なオートチューンボーカルを効かせたこのスタイルから生まれたPlayboi Cartiの「Mileage」などのヒット曲は、独特なポップソングであると同時に最先端のラップトラックでもあります。

18. ラップロック

ラップとロックには重要な共通点があります。どちらもエネルギッシュで、ドラマチックで、刺激的なジャンルです。そしてどちらも、力強いボーカリストと強烈なフックを武器にしています。ラップとロックのアーティストたちは、何十年にもわたってこのクロスオーバーを探求してきました。初期のラップロック最大のヒット曲のひとつが、Run-D.M.C.による1986年のAerosmithのカバー「Walk This Way」で、ギターリフとダイナミックなラップドラムが見事に融合していました。

90年代になると、ラップを聴いて育ったロックミュージシャンたちが自らの楽曲にラップを取り入れ始めました。Rage Against The Machineのようなバンドは、重厚なリフを前面に出したロックサウンドにラップのリズムとボーカルスタイルを融合させました。このジャンルの融合が、彼らの掲げる挑発的な政治的メッセージを届ける上で大きな役割を果たしました。

90年代後半からは、さらなるバンドの波がこの試みを推し進めました。Papa Roach、Limp Bizkit、Linkin Parkといった面々は、ラップロックに苛立ちやアティテュードを持ち込み、ヒップホップへのリスペクトを示すべくラインナップにターンテーブリストを迎えることも珍しくありませんでした。ラップロックのこの黄金期は、コアなラップファンから批判されることも少なくありませんでしたが、ラップを新たなリスナー層へと広める上で大きな役割を果たしたのは確かです。

ラップロックは、奇妙で素晴らしい多様な形で存続しています。例えば、Lil Yachtyの2023年のアルバムLet’s Start Hereをチェックしてみましょう。オートチューンを効かせたボーカルとサイケデリックロックのインストゥルメンタルを融合させ、ラップロックに独自の解釈をもたらしています。

19. LAビートシーン

このリストにあるラップジャンルの多くはボーカリストが主導しています。結局のところ、ラップをラップ足らしめているのはラッパーです。しかし、ラップ全体に影響を与え、ラップの枠を超えて音楽シーンを形作るのにも貢献した、インストゥルメンタルラップの重要なジャンルも存在します。その1つが、2000年代後半にLAで誕生したジャンルです。

LAビートシーンは、2006年にDaddy Kevが立ち上げたクラブイベント「Low End Theory」を中心に生まれました。このイベントに集まったプロデューサーたちは、J DillaやMadlibといった革新的なプロデューサーからインスピレーションを受け、新しい形のラップを創り出しました。2006年に亡くなったJ Dillaは、ラップのリズムを構築しサンプルを大胆に加工する斬新な手法を開拓しました。彼の死後に発表されたアルバムDonutsは、ラップミュージックに計り知れない影響を与えました。

Flying LotusのようなLAビートシーンの若手プロデューサーたちは、J Dillaのサウンドをさらに進化させました。スピリチュアルジャズのアーティスト、Alice Coltraneの大甥であるFlyLoは、ラップにサイケデリックな風味をもたらし、ソウルやエレクトロニカと融合させることで、このジャンルに新たな境地を切り拓きました。Flying Lotusが主宰するBrainfeederは、エクスペリメンタルラップにおいて最も影響力のあるレーベルの1つです。

LAビートシーンは、その後に続くラップジャンルに大きな影響を与えました。Nosaj Thingなどのビートシーンのアーティストはチルなスタイルのラップミュージックを開拓し、現在Spotifyを席巻しているLofiジャンルにも影響を及ぼしました。

Native Instrumentsでは、サイケデリックなLAサウンドを深く探求できるExpansionsをご用意しています。Drift Theoryには、Low End Theoryのシーンにインスパイアされたシンセ、ボーカル、鍵盤楽器、ドラムが収録されています。Backyard Jamsは、多彩なダンスミュージックと融合しながら世界中に広がったこのジャンルのサウンドを捉えています。そしてMagnetic Coastは、Flying LotusのサウンドにインスパイアされたMaschineおよびBattery用ハイブリッドキットを提供します。

20. Lofi

Lofiは、現在最も人気のあるインストゥルメンタルラップのジャンルです。ボーカルラップの人気も依然として高い一方で、リスナーがSpotifyでリラックスした夜や勉強時間にぴったりのBGMを探すようになり、心地よいインストゥルメンタルラップの需要はこの10年で飛躍的に高まりました。

その需要に応える形で登場したのがLofiです。このラップジャンルは、レイドバックしたビート、荒削りな質感のサンプル、ジャジーなコード、そして雨音のような穏やかな環境音が特徴です。ブームバップやジャズラップ、LAビートシーンのソウルフルなサウンドといった過去のラップジャンルを想起させますが、それらよりも滑らかで、日常を過ごす際の背景に溶け込むよう設計されています。jinsangのようなLofiアーティストは、スムーズでセンスあふれるビートでオンライン上で絶大な支持を集めています。

Native Instrumentsのツールを使えば、ご自身の楽曲制作に心地よいLofiサウンドを取り入れることができます。音源Swayは、アナログ機器で処理されたソウルフルなピアノ、ギター、シンセのサンプルを収録し、直感的なインターフェイスで演奏可能です。また、ExpansionFaded Reelsは、ファジーなコード、ダスティなドラム、パステルのようなテクスチャーを収録した充実のサンプルコレクションで、世界的なLofi人気を体現しています。

自身の音楽でラップジャンルを探求

この記事では、最も影響力のある20のラップジャンルをご紹介しました。それぞれのラップジャンルのサウンド、背景、影響について解説し、ご自身の楽曲制作でこれらのジャンルからインスピレーションを得るためのツールやチュートリアルも案内しました。

さあ、このインスピレーションを音楽へと昇華させましょう。Native Instrumentsのラップ向けサンプルパックをチェックして、次のトラックメイクに必要なサウンドを見つけてください。

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