|Tim Cant

Wurlitzerエレクトリックピアノのサウンドが際立つ名曲10選

シェア リンクをコピーしました
10 iconic songs that use the Wurlitzer sound

エレクトリックピアノは20世紀半ばにおける音楽界屈指の革新的な発明であり、シルクのようになめらかな音色から倍音豊かなトーンまで、あらゆるニュアンスを奏でることができます。

ソウルやジャズで耳にすることが最も多いエレクトリックピアノですが、ポップス、ロック、エレクトロニックミュージックでも人気を博しました。最も有名なエレクトリックピアノメーカーといえばRhodesの名が挙がりますが、HohnerやWurlitzerも高い評価を得たエレクトリックピアノを世に送り出しています。

本ガイドでは、Wurlitzerエレクトリックピアノに焦点を当て、その音色がフィーチャーされた10曲の名曲を詳しくご紹介します。

セクション一覧:

これらの名曲のサウンドに刺激を受けたら、Native InstrumentsのElectric Keys Reeds Duoをぜひチェックしてみてください。リード式エレクトリックピアノ音源のバーチャル版として、インスピレーション溢れる独自のサウンドを作り出すことができます。

Electric Keys Reeds Duoの詳細を見る

Wurlitzerエレクトリックピアノとは?

Wurlitzerエレクトリックピアノは、1954年から1983年にかけて製造された電気機械式鍵盤楽器です。Wurlitzer(または「Wurli」)は、フェルト製ハンマーで平らなスチール製リードを叩くことで発音し、それらのリードが櫛状の金属プレート内に収められて静電ピックアップシステムを形成しています。この設計により、弱く弾いたときは柔らかく、鍵盤を強く押し込むにつれて荒々しく共鳴する独特のキャラクターが生まれます。

Wurlitzerピアノはどんな音?

Wurlitzerは、ベルのような響きを持つRhodesに比べて倍音が豊かで、ジャングリーなトーンが特徴です。ソフトに演奏するとヴィブラフォンのような甘い響きが生まれ、強く鍵盤を叩くとザラついた唸るようなサウンドが得られます。

Wurlitzerが使われている名曲

Wurlitzerのトーンをフィーチャーした最も有名な楽曲のいくつかは、イギリスのロックバンドSupertrampによって生み出されました。彼らは「The Logical Song」、「Goodbye Stranger」、「Dreamer」など、Wurlitzerを軸にした名曲でヒットを連発しました。ここでは、Supertrampの「The Logical Song」におけるWurlitzerの使い方をはじめ、多彩なアーティストによる名曲の数々を紐解いていきます。

1. Ray Charles – “What’d I Say” (1959)

Ray Charlesは会場のアコースティックピアノのコンディションに左右されないよう、1956年からWurlitzerエレクトリックピアノを携えてツアーを回るようになり、1959年にはこの楽器を全面的にフィーチャーしたブルージーな「What’d I Say」をレコーディングしました。

豊潤なコード感と有機的で明瞭なメロディを生み出すWurlitzerのポテンシャルがこの曲に凝縮されています。刺激的なボーカル表現のために多くのラジオ局で放送禁止処分を受けたにもかかわらず、計り知れない影響力を持つ名曲となりました。

「What’d I Say」はWurlitzerエレクトリックピアノをメインストリーム音楽へと押し上げた楽曲であり、Brian Wilson、Mick Jagger、Van Morrisonをはじめとする数多くのアーティストによってカバーされています。

2. Marvin Gaye – “I Heard It Through The Grapevine” (1968)

Marvin Gayeの代表的ヒット曲の1つである「I Heard It Through The Grapevine」は、Motown RecordsのインハウススタジオバンドThe Funk Brothersのキーボーディスト、Johnny Griffithが奏でるWurlitzerエレクトリックピアノの音色が印象的な、重心の低いソウルナンバーです。

エネルギッシュなリズミックスタブとジャジーなメロディを行き交いながら、楽曲全体を通してWurlitzerのトーンが鳴り響き、トラックのグルーヴをキープしつつエモーショナルな彩りを添えています。

3. Small Faces – “Lazy Sunday” (1968)

迷惑な隣人をテーマにした、ミュージックホール風の軽快なサイケデリックポップ「Lazy Sunday」。Small Facesによるこの楽曲ではWurlitzerの温かくザラっとしたサウンドがフィーチャーされ、風通しのよいヴァースのキーボードパートが楽曲の風変わりでアップビートな雰囲気を引き立てています。

この曲で実際に使用された楽器はWurlitzer 140Bであり、より軽量で製造コストを抑えたプラスチック製トップの200シリーズが登場する以前の、Wurlitzerエレクトリックピアノの最高峰と言えるモデルです。

4. Three Dog Night – “Mama Told Me (Not To Come)” (1970)

元々はRandy NewmanがThe AnimalsのEric Burdonのために書いた曲ですが、Three Dog Nightによる「Mama Told Me (Not To Come)」のカバーは、耳に残るWurlitzerのリフで幕を開け、一度聴いたら頭から離れないキャッチーなキーボードのターンアラウンドとともに、ご機嫌なポップジャムへと展開していきます。

Casey Kasemが司会を務めた「American Top 40」の初回放送で第1位を獲得したこの楽曲は、90年代後半にウェールズのソウルシンガーTom Jonesと、同郷のStereophonicsによってカバーされ、さらなる成功を収めました。このバージョンでも、Three Dog Night版と通底するWurlitzerライクなキーボードパートがフィーチャーされています。

5. Carpenters – “Top Of The World” (1972)

Carpentersの爽快なナンバー「Top Of The World」はカントリー風味漂うポップスであり、Karen Carpenterの見事なボーカルをWurlitzerがメロウなバッキングで支えています。この楽曲はミックスの奥に自然と馴染むこの楽器の持ち味を示していますが、こちらのライブパフォーマンスを見れば、どこのブランドのエレクトリックピアノが演奏されているかは一目瞭然です。

6. Pink Floyd – “Money” (1973)

伝説的アルバム「The Dark Side of the Moon」に収録されている「Money」は、繊細なWurlitzerの鍵盤が添えられたチルなロックグルーヴが特徴ですが、キーボードは決してミックスの主役ではありません。実際には右スピーカーにパンされており、左スピーカーに配置されたタイトなギターリックとの絶妙なバランスを取っています。

ファンキーなWurlitzerのトーンを生み出すために、キーボーディストのRichard Wrightはワウペダルを通して演奏しており、インストゥルメンタルセクションではそのエフェクトが最も際立って聴こえます。

7. Queen – “You’re My Best Friend” (1975)

この曲でも冒頭からWurlitzerが炸裂しており、「Shaun of the Dead」、「I Now Pronounce You Chuck & Larry」、「The Secret Life of Pets」といった数々の名画でも使用されたQueenのアンセムにおいて、これ以上ないほど見事な響きを聴かせてくれます。

「You’re My Best Friend」ではWurlitzerがトラック全体を通して演奏され、ボーカルに対するカウンターメロディを作り出しながら楽曲全体を力強く前へと牽引しています。

8. Supertramp – “The Logical Song” (1979)

おそらく最も象徴的なWurlitzerの楽曲であるSupertrampの「The Logical Song」は、Wurlitzerのパートを前面に押し出した同グループの代表的ヒット曲の1つです。「The Logical Song」では、Boss CE-1コーラスペダルを通してリズミカルに演奏されたキーボードが楽曲を絶え間なくドライヴさせ、エネルギッシュなサックスソロの場面では異なるグルーヴへと展開していきます。

「The Logical Song」が遺した影響は大きく、Paul Thomas Anderson監督の映画「Magnolia」のサウンドトラックに採用されたほか、D.O.P.E.によるダークジャングルの名曲「When I Was Young」でサンプリングされ、さらにはスタジアムテクノの重鎮Scooterによってカバーされるまでに至っています。

9. Beck – “Where It’s At” (1996)

「Where It’s At」はキャッチーなフックがぎっしりと詰まった楽曲ですが、なかでも最も印象的なのは、60年代や70年代のキーボードパートを彷彿とさせる、シルキーでソウルフルなWurlitzerのリックです。

The Dust Brothersがプロデュースを手掛けた本作は、太くヴィンテージ感漂うドラムパートがキーボードと完璧に調和しています。しかし、Beckらしい遊び心によって、80年代のエレクトロ風フィルとボコーダーボーカルへと急転換し、トラック全体に見事な対比を生み出しています。

10. Eels – “Beautiful Freak”

ここまで見てきた通り、Wurlitzerはエネルギッシュでアップビートな楽曲で使われることが多いですが、Eelsの「Beautiful Freak」はそれらとは大きく異なり、キーボードを中心とした無駄を削ぎ落としたアンサンブルと、ほろ苦い音楽性が際立っています。

Wurlitzerエレクトリックピアノが楽曲の骨格を成し、トレモロエフェクトを通すことで、いっそう儚く幻想的な響きを与えています。

リード式エレクトリックピアノを自分の楽曲に取り入れよう

今回は、Wurlitzerのトーンを用いて楽曲のエモーショナルな表現力を一段上のレベルへと引き上げた10曲の名曲をご紹介しました。

キーボードサウンドについてもっと詳しく知りたい方は、Native Instrumentsが誇るピアノプラグイン&VST 12選やアトモスフェリックな雰囲気漂う没入型チルステップの作り方もぜひチェックしてみてください。

リード式ピアノサウンドを楽曲に取り入れる

関連製品