ストリングスアレンジはポップトラックを一変させ、楽曲に深み、感情、そして躍動感を与えてくれます。しかし多くのプロデューサーにとって、クラシック音楽のバックグラウンドがない場合は特に、伝統的なオーケストレーションは難解に感じられるかもしれません。London Contemporary Orchestra Producer Stringsはその常識を変えます。プロデューサー目線で設計されたこのKontaktインストゥルメントは、複雑さを取り除き、モダンなトラックにシームレスに馴染む生々しく情緒的なストリングステクスチャーと、パンチの効いたアーティキュレーションを提供します。
このチュートリアルでは、ポップスやエレクトロニックトラックのクオリティを高めるモダンなストリングスを作成するための5つの実践的なステップを紹介します。サウンドの選定からスマートな音符選びまで、モダンなストリングスアレンジの基本を網羅し、LCO Producer Stringsを強力なツールにしている最先端の機能を見ていきましょう。各段階でスクリーンショットとオーディオサンプルを掲載していますので、アイデアを形にするプロセスを視覚的にも聴覚的にも確認できます。
セクション一覧:
- モダンなストリングスアレンジとは?
- ポップスにおけるストリングスアレンジの書き方
- ストリングスアレンジをより個性的に仕上げるには?
- 簡単な5つのステップでモダンなストリングスをアレンジする方法
- ポップスの楽曲制作にストリングスアレンジを取り入れましょう
LCO Producer Stringsを使って、このチュートリアルを一緒に進めましょう。
モダンなストリングスアレンジとは?
モダンなストリングスアレンジは、伝統的なオーケストラサウンドと現代的なプロダクションを融合させたものです。従来のストリングスアレンジにはクラシック音楽の複雑なルールが必要なこともありましたが、モダンなストリングスはシンプルに書くことができ、聴き応えも非常に豊かです。表現力豊かなメロディ、疾走感のあるリズム要素、幻想的なテクスチャーなど、ポップス制作を輝かせるシンプルなモチーフを思い浮かべてみてください。LCO Producer Stringsのようなツールを使えば、音楽理論の深い知識がなくても、こうしたパートを簡単に作成できます。その方法を以下でご紹介します。
ポップスにおけるストリングスアレンジの書き方
まずは、楽曲のエネルギーにどのようなストリングスが合うかを考えることから始めましょう。穏やかなバラードであれば、サステインの効いたコードや緩やかに動くメロディを使用します。推進力のあるビートのトラックなら、スタッカートやアクセントを効かせたリズミカルなストリングスで疾走感を高められます。楽曲に合ったモダンなストリングスサウンドを選びましょう。ストリングスアンサンブルのKontaktインストゥルメントは数多く存在しますが、LCO Producer Stringsは100種類以上のプリセットを収録し、最も汎用性の高い音源の1つです。サウンドを選んだら、メインボーカルを支える力強いメロディやハーモニーラインを1つ意識して、シンプルなパートを作成してみましょう。
次に、ストリングスにエフェクト処理を施してモダンなサウンドに仕上げます。厚みを出すためにシンセでストリングスをダブリングしたり、空間的な広がりを持たせたい場合はリバーブを追加したりできます。最後に、楽曲のどのセクションにストリングスを登場させるかを決定します。ストリングスアレンジは、繰り返されるセクションに変化をつけたり、クライマックスを盛り上げたりするのに最適です。曲のすべてのセクションにストリングスを入れる必要はありません。
ストリングスアレンジをより個性的に仕上げるには?
ストリングスアレンジを際立たせるには、珍しいアーティキュレーションを試したり、複雑なサウンドを重ねたり、大胆なエフェクトを加えたりしてみましょう。London Contemporary Orchestra Producer Stringsには、ありふれたパートを豊かでモダンなストリングスへと変化させる機能が豊富に備わっています。充実したサンプルライブラリからユニークなアーティキュレーションを選んだり、シンセレイヤーとブレンドしてハイブリッドなサウンドを作ったり、リングモジュレーションやビットクラッシャーなどのエフェクトを追加したりできます。
制作しているポップスのスタイルによって、最適なアプローチは異なります。しかし、サウンドを彫刻するように作り込み加工するほど、より個性的で際立ったストリングスサウンドが完成します。
簡単な5つのステップでモダンなストリングスをアレンジする方法
こちらは制作中のポップトラックです。楽曲のコアはできていますが、アレンジが少し平坦で退屈に感じられます。
トラックをより魅力的にするために、ストリングスを追加してみましょう。5つのステップでその手順を解説します。
ステップ1:アンサンブルの構築
ポップスのトラックにストリングスを加えるには、ストリングスアンサンブルが必要です。オーケストラをすぐに呼べなくても問題ありません。現代のKontaktインストゥルメントを使用すれば、DAW内で極めてリアルなサンプリングストリングスを鳴らすことができ、ノートPCとMIDIキーボードだけで重厚でレイヤー感のあるアレンジを作成できます。

ストリングスのKontaktインストゥルメントには多くの種類があり、それぞれ独自のサウンドと機能を備えています。アンサンブルを選ぶ際は、楽曲に何が合うかを検討しましょう。繊細なアコースティックバラードであれば、より伝統的なストリングスサウンドが適しています。エッジの効いたエレクトロニックトラックであれば、よりシンセ的な音色や大胆なエフェクト処理を施したサウンドが向いているでしょう。
どのようなニーズであっても、その汎用性の高さからLCO Producer Stringsは優れた選択肢となります。重厚でクラシカルなストリングス、抽象的なシンセテクスチャー、シネマティックなエフェクトなど、100種類以上収録されたプリセットから簡単にアクセスできます。

今回のトラックはモダンなひねりを加えた温かみのあるポップソングなので、豊かでリッチでありながら、ほのかにエレクトロニックなエッジを持つストリングスを探しています。インターフェイス上部のプリセット名をクリックしてPreset Browserを開けば、必要なサウンドを簡単に見つけることができます。
ブラウズ時は、ViolinやViolaからSynth、Granulatorまで揃う「Instrument」や、従来のアコースティックサウンド、モダンなハイブリッド、さらにはPercussiveやSwellなどの特定エフェクトを網羅する「Character」でフィルタリングできます。これらのカラムから複数のタグを選択して、幅広く検索することも可能です。
右側のカラムには検索条件に一致するプリセットが表示され、プリセットに含まれる4つのレイヤーそれぞれの特性が分かりやすいカラーグラフィックで示されます。何を求めているか迷ったときは、上部にあるサイコロのアイコンをクリックしてランダムにプリセットを選んでみてください。思いがけずイメージにぴったりのサウンドに出会えることがあります。
ここでは、バイオリンとビオラのSul Pontアーティキュレーションにシンセ要素を組み合わせた、煌びやかなプリセットMajestic Warmthを選択しました。
ステップ2:ストリングスサウンドの素早い調整
プリセットを選んだら、制作中のトラックに合わせて手軽に調整できます。

アンサンブルを構成する4つのレイヤーは、インターフェイス下部に表示されます。各レイヤーは3つのコントロールパネルから調整可能で、Volume、Tuning、Attack、Releaseなど多彩なサウンドシェイピングオプションが用意されています。
例えば、リズミカルなトラックであれば、アタックとリリースが短いストリングスが適しています。アンビエントトラックやバラードなら、リリースが長く滑らかなサウンドの方が効果的です。各レイヤーのアンプリチュードエンベロープを調整することで、プリセットをトラックにフィットさせることができます。

さらに、ポップアップウィンドウを使用して一部のパラメーターにモジュレーションを適用することもできます。ここではPanコントロールを変調させてレイヤーを左右にスイープさせ、ストリングスに魅力的な動きを加えています:
微調整した後でもレイヤーのサウンドがイメージと異なる場合は、簡単に差し替えることができます。レイヤー名をクリックしてLayer Presetセレクターを開くだけで、LegatoやPluckedからFlickerやBeamまで、多彩なTechniquesから選択可能です。

ストリングスパートをもう少し太く温かみのあるサウンドにしたかったため、繊細で高域の際立つテクスチャーであるViolin – Glass Sul Pontレイヤーを、Harmonic Flickersというより温かみのあるアーティキュレーションに差し替えました。
また、いくつかのレイヤーでWarmthコントロールを上げ、Grain – Spectral Refractionsレイヤーの音量をブーストして、この魅力的なグラニュラーエフェクトを際立たせました。調整後のプリセットのサウンドをお聴きください。
ステップ3:シンプルなアレンジを引き立てるエフェクト処理
ストリングスアレンジと聞くと、巧みに配置された無数のノートで構成される複雑で繊細なパートが必要だと思うかもしれません。もちろんそうしたアレンジも素晴らしいものですが、モダンなストリングスアレンジはもっとずっとシンプルなことがよくあります。
LCO Producer StringsのようなモダンなKontaktインストゥルメントなら、サンプルの品質、緻密なレイヤリング、そして多彩なエフェクト処理機能により、シンプルなパートでも際立った存在感を放ちます。ストリングスアレンジを作成する際は、まずトラック内の他のパートを支える数音から始めてみましょう。
こちらはプリコーラス(Bメロ)セクション用のシンプルなストリングスアレンジです:
選択したレイヤーのおかげで、すでに素晴らしい仕上がりになっています。Harmonic FlickersとSpectral Refractionsのレイヤーが躍動感と豊かな表情を与えてくれています。ここからさらに、インストゥルメントの内蔵エフェクトを使って個性を加えていきましょう。
これらは「Effects」タブをクリックすることでアクセスできます。

ここでは、ディレイやリバーブ、コンプレッション、ディストーションに加え、大胆なサウンド加工が可能なBite(ビットクラッシャー)やFreak(周波数シフター)の内蔵バージョンなど、定評のある7種類のNative Instrumentsエフェクトから選択できます。
LCO Producer Stringsでは最大4つのエフェクトを組み合わせ、それぞれ主要なパラメーターを調整して強力なサウンドシェイピングを行えます。

さらに、リバーブのセンドエフェクトをコントロールするための「Space」タブもあります。これを使ってストリングスアレンジにドラマチックなリバーブスウェル(うねり)を生み出し、より抑揚をつけることができます。

これを行うために、パッチ内の1つのレイヤー(Layer 3)のSendコントロールを選択し、数小節ごとに音量が上がるようにDAWで時間経過に伴うオートメーションを設定しました。これにより、トラックを引き立て、このセクションにドラマチックさを加える有機的なリバーブスウェルが得られます。
ステップ4:Auto-Arrangerでノートをブラッシュアップ
ここまでは、単音ラインを中心としたシンプルなストリングスアレンジを進めてきました。しかし時には、コード(和音)が必要になることもあります。コードを使ったアレンジを作成する際、LCO Producer Stringsの便利な機能を使えば、滑らかで洗練された響きに仕上げることができます。
Auto-arranger機能は、MIDIキーボードで入力する際によくある問題を解消してくれます。鍵盤を手で押さえたときの密集した和音の響きは、ストリングスアンサンブルで演奏させると窮屈で不自然に聴こえてしまうことがあります。

トグルをクリックして有効にすると、Auto-arrangerが演奏したノートをアンサンブル全体に巧みに割り振り、窮屈なコードボイシングを解消して、ストリングスアンサンブルを美しく響かせます。
その違いを聴き比べてみましょう。こちらはコードベースのストリングスアレンジを加えたサビ(コーラス)のトラックです。Auto-arrangerはオフになっています。
アレンジはシンプルなトライアドコード(MIDIキーボードを演奏するときに自然と指が届く3和音)で構成されています。響きが硬く不自然で、ストリングスが中音域を埋め尽くしてトラック全体を圧迫してしまっています。
こちらは、Auto-arrangerをオンにした同じストリングスのトラックです。
ステップ5:ストリングスアレンジの仕上げ
ストリングスのサウンドとアイデアが揃ったら、それらをトラックにどう配置していくかを仕上げていきましょう。
楽曲のどのセクションにどのパートを配置するか、おおよその見当がついているかもしれません。例えば今回の作例では、プリコーラス用の単音ストリングスパート(ステップ2で作成)と、サビ用のコードパート(ステップ4で作成)を用意しました。
しかし、そのセクションが登場するたびに、毎回これらのストリングスパートを鳴らす必要はありません。
ストリングスアレンジは、いわばケーキのアイシング(飾り付け)のようなものです。楽曲の魅力を引き立てますが、曲の基盤となる材料ではありません。ストリングスは、曲の重要なパートを際立たせたり、繰り返されるセクションに変化をつけたり、ブレイクダウンのような静かなセクションを豊かにするために使うのが効果的です。
どのセクションにストリングスを加えるかを決めるだけでなく、フィルター処理やボリュームオートメーションといったシンプルなミキシングテクニックを活用して、場面に応じてストリングスの存在感をコントロールすることもできます。
これらのアイデアを取り入れて、ストリングスアレンジを楽曲全体に馴染ませました。プリコーラスのパートにはフィルター処理を施し、曲の展開に合わせて徐々にフェードインするようにしています。またサビでは、繰り返しに変化をつけるため、2周目にのみストリングスを登場させています。
ポップス制作へのストリングスアレンジの導入
この記事では、LCO Producer Stringsを使ってポップス制作向けの現代的なストリングスアレンジを簡単に作成する方法をご紹介しました。適切なプリセットの選択やサウンドの調整から、最終的な仕上げに至るまで、表現力豊かなコンテンポラリー・ストリングスパートを作成する基本を解説しました。
豊かなパッド、リズミカルなスタブ、雰囲気のあるテクスチャーなど、どんなサウンドを求める場合でも、LCO Producer Stringsならクラシック音楽の専門知識がなくてもプロクオリティのアレンジを簡単に作成できます。