プロデューサーやビートメイカーなら、ビートやメロディに注力することこそが最も重要だと考えるかもしれません。しかし、楽曲に多彩さや奥行きを持たせたいのであれば、コードとその音楽制作/ビートメイキングにおける役割を深く理解しておくことが大切です。
ギターコードであれピアノコードであれ、コードやハーモニーについての知識を身につけることで、音楽性が大きく広がります。より豊かなコード進行を作れるようになるだけでなく、他のミュージシャンとの意思疎通がスムーズになったり、適切なサンプルの選択やフリップがしやすくなったりと、多くのメリットがあります。
この記事では、音楽で使われるさまざまな種類のコードを詳しく解説し、楽曲を豊かに彩るための活用方法をご紹介します。
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音楽におけるコードとは?
コード(和音)とは、複数の異なる音を同時に鳴らしてハーモニーを生み出すものです。和声言語の根幹をなす要素であり、メロディや楽曲全体の感情的なニュアンスを決定づける重要な役割を果たします。
一般的に、コードを構成する音はそれぞれピッチ(音高)が異なり、それらが重なり合うことで独特の響きが生まれます。コードはメロディを引き立て、感情に訴えかける瞬間を作り出すため、ほとんどの音楽ジャンルにおいて欠かせない存在です。
コードが音楽にどのような効果をもたらすかを理解するために、まずはメロディ単体の音を聴いてから、その下にコードを重ねた音を聴き比べてみましょう。
こちらはジャズのスタンダードナンバー「My Funny Valentine」の冒頭のメロディ単体です:
次に、そのメロディに本来のコードの響きを加えてみましょう:
コードが加わることでメロディがどのように変化したか聴き取れたでしょうか? この曲のメロディ自体も美しいですが、コードが加わることでメロディに命が吹き込まれ、より情緒豊かで感動的なものへと昇華されます。
コードを一定の順序で並べたものを「コード進行」と呼びます。コード進行はあらゆるジャンルの楽曲で使われており、EDMやポップス、R&Bなど、どんな音楽を制作する場合でもコードは楽曲制作の要となります。
コードの成り立ちと構成
コードを理解するには、ある程度の音楽理論の基礎知識が必要です。もし知識に不安があるなら、スケール(音階)とインターバル(音程)について復習してからこの記事に戻ることをおすすめします。
コードは、メジャースケールやマイナースケール、さらにはモードなどのスケール音から構成されています。スケールの構成音を確認しながら、どのようにコードが作られるのかを見ていきましょう。
Cメジャースケールは以下の音で構成されています:
C、D、E、F、G、A、B、(C)

スケールから1つの音を選び、同じスケール内の他の音と同時に鳴らすことでコードを作成できます。最も基本的なコードの形態は「トライアド(三和音)」と呼ばれ、3つの音で構成されます。トライアドを作る手順はとてもシンプルです。まずスケールから1つの音(ルート音となる第1音のC)を選び、次の音(D)を飛ばしてその次の音(E)を使います。同様に次の音(F)を飛ばし、その次の音(G)を選びます。こうして残ったC、E、Gの3音が「Cメジャートライアド」となります。
コードの仕組みを理解するもう1つの方法は、インターバル(音程)の概念を用いることです。西洋音楽理論では、使用できる音は12種類あります。2音間の距離は「度数と種類」と半音の差によって測られます。以下は、すべてのインターバルを視覚的にまとめたものです。

コードはインターバルを積み重ねて構築されるため、さまざまな種類のコードを学ぶ上でこの対応関係はとても重要になります。
コードの種類
それでは、まずはトライアドから、音楽で一般的に使用されるさまざまなコードの種類を見ていきましょう。
1. メジャーコード
メジャーコードは最も代表的なコードの1つで、ルート音に長3度と完全5度を重ねて作られます。「明るい」「楽しそう」と感じられる響きを持ちます。実際の音を聴いてみましょう:
Aviciiの「Wake Me Up」はマイナーキーの楽曲ですが、主にメジャーコードが使われています。
曲がマイナーキーだからといって、マイナーコードしか使われないわけではない点に注意してください。コード進行における調性の概念を理解するために、メジャーやマイナーのコード進行ガイド、そして五度圏についての記事もぜひチェックしてみてください。
2. マイナーコード
マイナーコードもメジャーコードと同じくらい一般的で、ルート音、短3度、完全5度で構成されます。メジャーコードよりも暗い響きを持ち、「悲しげな」サウンドと表現されることもあります。
Radioheadの「Glass Eyes」では、マイナーコードが印象的に使われています:
3. ディミニッシュコード
ディミニッシュコードはメジャーやマイナーほど頻繁には使われませんが、緊張感を生み出すのに非常に効果的です。ルート音、短3度、減5度で構成され、不安定な響きを持っています:
Alicia Keysの「If I Ain’t Got You」の0:38に鳴るディミニッシュコードを聴いてみてください。ほんの一瞬鳴るだけですが、そのおかげで次のコードへと解決した際の心地よさが際立ちます。
4. オーグメントコード
もう1つの不安定な響きを持つコードがオーグメントコードです。ルート音、長3度、増5度(実質的には短6度と同じ音)で構成されます。実際の響きは次のとおりです。
The Beatlesの「Oh! Darling」のイントロでは、オーグメントセブンスコードを聴くことができます。
5. セブンスコード
セブンスコードは、トライアドの上にもう1音加えたコードグループです。ルート、3度、5度に加えて7度の音程を含めることで、トライアドを上方へ拡張したものです。
「セブンス」はコードの上方拡張を指すため、セブンスコードにはトライアドよりもさらに多くの種類が存在します。
メジャーセブンスは、ルート、長3度、完全5度、長7度で構成されます。
マイナーセブンスは、ルート音、短3度、完全5度、短7度で構成されます。
ドミナントセブンスは、ルート音、長3度、完全5度、短7度で構成されます。
マイナーセブンフラットファイブ(m7b5)は、ルート、短3度、減5度、短7度で構成されます。
SZAの「Snooze」は、さまざまな種類のセブンスコードを駆使した現代的なR&Bの好例です。
6. テンションコード(エクステンデッドコード)
前述のとおり、セブンスコードはトライアドの基本的な音程を超えて音を「拡張」したものです。しかし、拡張は7度だけに留まりません。トライアドやセブンスの上にスケール内の任意の音を追加することで、さらなるテンションコードを作ることができます。
一般的に、コードを「メジャーセカンドコード」や「マイナーフォースコード」と呼ぶことはありません。これらの音はスケールの最初の1オクターブを超えて「拡張」しているため、コードに加えるスケール度数に7を足して呼びます(7を足すのは、標準的なスケールが7音で構成されているためです)。
2度の音を含める場合は、「ナインス(2+7)」と呼びます。
4度の音を含める場合は、「イレブンス(4+7)」と呼びます。
そして6度の音が存在する場合は、「サーティーンス(6+7)」と呼びます。
テンションコードの種類は多岐にわたり、ここで全てを挙げることはできません。しかし、コードの拡張は響きに豊かな色彩と変化を与えてくれます。
こちらはマイナーナインスコードの例で、ルート音、短3度、完全5度、短7度、長9度(ルート音から長2度のインターバルを1オクターブ上げた音)で構成されています:
ジャズでは通常、多彩なテンションコードが用いられます。Robert Glasper Experimentの「Afro Blue」で響く、表情豊かなテンションの響きを聴き取ってみてください。
7. サスコード(Suspended chords)
このタイプのコードは、3度を省略して2度または4度を使います。これにより、メジャーのような「明るい」響きでも、マイナーのような「暗い」響きでもないサウンドが生まれます。その独特の曖昧さこそが、サスコードの魅力です。
こちらはルート音、長2度、完全5度で構成されるsus2コードです。
そしてこちらはルート音、完全4度、完全5度を含むsus4コードです。
Gnarls Barkleyの「Crazy」では、0:15あたりでメジャーコードへ解決する前のsus4コードを聴くことができます。
楽曲制作に様々なコードを取り入れてみましょう
コードは、感動的なメロディーを乗せるための感情的な土台を作り出します。様々な種類のコードを理解することで、ビートメイカーやプロデューサーとして、よりダイナミックで表現力豊かな楽曲を生み出せるようになります。
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