|Tim Cant

ハイパーポップ制作入門:限界を超えるハイパーポップの作り方

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how to make hyperpop

現代の音楽的影響を過剰なまでにマッシュアップしたハイパーポップは、ポピュラー音楽の制作手法を取り入れ、過激なエフェクト処理、マキシマルなミックス、そして奇抜な美学によって限界ギリギリまで押し広げます。規格外のスケールと抑えきれないエネルギーに満ちたハイパーポップは、限界に挑むことが大好きなプロデューサーにぴったりのジャンルです。

ハイパーポップ制作の初心者向けガイドである本記事では、ハイパーポップのビートの作り方、ハイパーポップ特有のボーカル処理、そして重厚なベースや突き抜けるシンセの加え方をご紹介します。

セクション一覧:

ハイパーポップとは?

マキシマルでマニアック、そして遊び心あふれるハイパーポップは、幅広い音楽的影響を取り入れ、その最も極端で過剰な要素を拝借し、歪んだ美意識でフィルターにかけることで、強烈な音楽の融合を生み出します。

ハイパーポップにインスピレーションを与えるジャンルは多岐にわたり、トラップ、ハウス、トランス、ドンク、チップチューン、エモなどが含まれます。ハイパーポップのルーツは、2010年代のイギリスのレーベルPC Musicのリリースまで遡ることができます。このレーベルには、Charli XCXやGFOTY、そして故SOPHIEといったハイパーポップ界の重鎮たちが関わっていました。

近年では、100 Gecsなどイギリス国外のハイパーポップアーティストたちが、このスタイルをさらに過激で奔放な音楽的方向性へと進化させています。

ハイパーポップは非常に間口の広いジャンルであり、ミームスターとして知られたRebecca Blackの再評価にも一役買いました。彼女の「Friday (Remix)」には、Dorian Electra、Big Freedia、3OH!3といった多彩なコラボレーターが参加しています。

このチュートリアルでは、Native InstrumentsのBATTERY 4、FM8、MASSIVE X、DIRTに加えて、iZotopeのOzone Imager、Nectar 3、Ozone 10を使用して、以下のような短いハイパーポップ楽曲を作成します:

Nectar 3の無料デモ版を使って、ハイパーポップ特有のボーカルサウンドを作り、ハイパーポップ楽曲の制作方法を学びましょう。

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ハイパーポップの作り方

1. ドラムから始める

まずはハイパーポップのビートメイキングから始めましょう。お使いのDAWのテンポを、アップテンポな205 BPMに設定します。

プロジェクトのテンポ設定
プロジェクトのテンポ設定

インストゥルメントトラックにBATTERY 4を立ち上げ、808 Multiple Kitをロードします。

808 Multiple Kit
808 Multiple Kit

2小節のMIDIクリップを作成し、各小節の3拍目にD3のスネアを配置します。なお、このチュートリアルではすべてのノートのベロシティ値を100に設定しています。

スネアの追加
スネアの追加

次に、1小節目は1拍目と4拍目、2小節目は最後の8分音符2つにC3のキックを配置します。

キックの追加
キックの追加

これらのドラムに歪みを加えてダーティーに仕上げましょう。BATTERY 4のトラックにDIRTを追加し、Major Fuzzプリセットをロードします。

Major Fuzzプリセット
Major Fuzzプリセット

Drive Aノブを58%、Drive Bノブを67%に設定します。

DIRTでのDriveレベルの調整
DIRTでのDriveレベルの調整

同じディストーションエフェクトをかけずにハイハットを追加できるように、新しいインストゥルメントトラックにもう1つBATTERY 4を立ち上げましょう。先ほどと同様に808 Multiple Kitを選択し、今回は8分音符でG#2のハイハットを追加します。さらに1.4.2と2.2.2にノートを追加してハイハットロールを作ります。

ハイハットのパート
ハイハットのパート

バランスを調整するため、Kick Snareトラックを-2.9 dBに、hatトラックを+1.2 dBに設定します。

キック/スネアとハイハットのトラックのバランス調整
キック/スネアとハイハットのトラックのバランス調整

これらのクリップを16小節分ループさせます。さらにもう1つインストゥルメントトラックを追加し、808 Multiple KitをロードしたBATTERY 4を立ち上げ、このトラックを+3.1 dBに設定します。

別の808キットの追加
別の808キットの追加

16小節のシーケンスの最後で、Kick SnareとHatのパートを短縮し、最後の2拍が鳴らないようにします。

キック/スネアとハイハットのパートの短縮
キック/スネアとハイハットのパートの短縮

次に、3つ目のBATTERY 4トラックでD2のスネアを使ったスネアフィルを追加します。

スネアフィルの追加
スネアフィルの追加

2. ハイパーポップ・ボーカルの作成

今回のトラックのボーカルには、Cマイナーのボーカルサンプルを使用します。Ableton Liveのワープ機能を使ってボーカルをプロジェクトのテンポにタイムストレッチし、Nectar 3を追加してハイパーポップスタイルのボーカルへと加工します。

Nectar 3のPitchモジュールでピッチ補正を有効にし、スケールをC minorに設定します。

ピッチ補正のスケールをC minorに設定
ピッチ補正のスケールをC minorに設定

人工的で極めて素早いピッチ補正効果を得るために、ピッチ補正のSpeedを0.00 msに設定します。

ピッチ補正スピードを下げる
ピッチ補正スピードを下げる

ボーカルに「チップマンク」効果を加えるため、Formantノブを上げて7.20 semitonesに設定します。

Formant Shiftパラメーターを上げる
Formant Shiftパラメーターを上げる

素早いピッチ補正とフォルマントシフトにより、ハイパーポップならではの極端にエフェクト処理されたサウンドが得られます。

このトラックを-7.2 dBに設定します。

ボーカルのバランス調整
ボーカルのバランス調整

3. コードの追加

ボーカルにマッチするコード進行を作っていきましょう。新しいインストゥルメントトラックにMassive Xを追加し、プリセットブラウザーで「Synth Lead」タグをクリックして「Antelope Springs」パッチをダブルクリックしてロードします。

Antelope Springsプリセット
Antelope Springsプリセット

このトラックを-15.3 dBに設定します。

コードシンセのバランス調整
コードシンセのバランス調整

C minor、D# major、D minor、C minorを演奏するコード進行を打ち込みます。

コード進行
コード進行

このサウンドは非常に幅広い周波数レンジを持っていますが、ミックスには他にも多くの要素が入るため、高域と低域を減衰させるのが理にかなっています。フィルターを使って300 Hz以下と850 Hz以上の周波数をカットしましょう。ここではAbleton LiveのAuto Filterエフェクトを使用しました。

シンセコードのフィルタリング
シンセコードのフィルタリング

ビートとベースをミックスの中央に配置したいため、フィルターの後に無料のOzone Imager(iZotope製)を追加し、Widthパラメーターを最大まで上げましょう。

シンセコードのワイド化
シンセコードのワイド化

これによりシンセコードのステレオ感が非常にワイドになり、ミックスの中央にビートとベースのためのスペースが確保されます。

4. ベースラインの作成

新しいインストゥルメントトラックにMASSIVE Xをインサートし、今回はBassタグを選択してMafia Eightプリセットをロードします。

Mafia Eightプリセット
Mafia Eightプリセット

このトラックを-9.7 dBに設定します。

ベースシンセのバランス調整
ベースシンセのバランス調整

コードのルート音に沿ったベースラインをシーケンスし、最初のコードでオクターブの跳躍を入れて展開に面白みを加えましょう。

ベースパート
ベースパート

これにより、トラック全体をしっかりと支える太く力強いベースラインが仕上がります。

5. シンセのプロセッシング

ミックスの中域にエネルギーを注入するために、シンセサウンドを追加しましょう。新しいインストゥルメントトラックを追加し、今度はFM8を立ち上げます。Browserページで、ModeカテゴリーのArpeggiatedタグを選択し、右側のパッチリストにあるDirty Percu Stabを見つけてダブルクリックしてロードします。

Dirty Percu Stabプリセット
Dirty Percu Stabプリセット

このトラックを-10.2 dBに設定します。

アルペジエーターシンセのバランス調整
アルペジエーターシンセのバランス調整

C4、G3、D3、C3を演奏するようにインストゥルメントをシーケンスします。

アルペジエーターパート
アルペジエーターパート

フィルターを使ってこのトラックを300 Hzでハイパスし、再びOzone Imagerを使ってトラックのステレオ幅を広げます。

アルペジエーターシンセのプロセッシング
アルペジエーターシンセのプロセッシング

リードサウンドを追加しましょう。新しいバーチャルインストゥルメントトラックにMASSIVE Xをインサートし、今回はSynth Leadタブを選択してMayaプリセットをロードします。

Mayaプリセット
Mayaプリセット

このトラックを-11.4 dBに設定します。

リードのバランス調整
リードのバランス調整

C3、A#3、F3、A#2、D#3、C3を演奏するリードラインをシーケンスします。

リードラインのシーケンス
リードラインのシーケンス

これではハイパーポップとしては少々シンプルすぎる印象です。エフェクトを追加してもっと面白く仕上げましょう。まずアルペジエーターを追加し(ここではAbleton LiveのArpeggiatorを使用)、Stepを2に設定してパートが複数のオクターブにわたって演奏されるようにします。

アルペジエーターの適用
アルペジエーターの適用

次に「ビットクラッシャー」エフェクトを追加します。ここではAbleton LiveのReduxを使用し、sample Rateを12 kHz、Bit depthを8に設定します。これにより、リードにざらついたローファイな質感が加わります。

ビットクラッシャーの追加
ビットクラッシャーの追加

次にフィルターを追加して、300 Hz以下をすべてカットします。

リードのハイパス処理
リードのハイパス処理

続いてグリッチエフェクトを追加します。具体的にはAbleton LiveのBeat RepeatにあるVocal Funプリセットを使用します。Intervalを4に設定しましょう。これにより、チョップされたグリッチ感のある効果が生まれ、パートがぐっと魅力的なものになります。

グリッチエフェクトの追加
グリッチエフェクトの追加

このパートに追加する最後のエフェクトはもうひとつのOzone Imagerで、こちらもサウンドのステレオ幅を広げるように設定します。

グリッチリードのワイド化
グリッチリードのワイド化

6. トラックのグループ化

すべてのドラムサウンドを「Drums」という名前のグループにまとめ、すべてのシンセサウンドを「Sidechain」という別のグループにまとめましょう。

ドラムとシンセの各要素をグループ化
ドラムとシンセの各要素をグループ化

キックとスネアのトラックをミックスの中でしっかりと際立たせたいので、Sidechainグループにコンプレッサーを追加し、その入力ルーティングをKick Snareトラックに設定します。

サイドチェーンコンプレッション
サイドチェーンコンプレッション

7. トラックのアレンジ

アレンジの導入部は、FM8のアルペジオ、コード、ボーカルのみで始まります。ローパスフィルターを使って16小節かけてアルペジオを徐々に浮き上がらせ、9小節目でハイハットを導入します。

フィルターオートメーションを使ったイントロ
フィルターオートメーションを使ったイントロ

17小節目でフィルターが完全に開き、ビートとベースがフルに入ってドロップへと突入します。

ドロップ
ドロップ

33小節目ではグリッチリードも加わります。アレンジ全体の構成は以下の通りです:

アレンジの全体像
アレンジの全体像

8. 楽曲のマスタリング

Ozone 10を使ってミックスの音圧を上げましょう。直感的なOzoneのMaster Assistantを使えば、わずか数クリックで完了します。ここではマスタートラックにOzone 10 Maximizerを追加し、ModeをIRC IVに設定しました。そしてThresholdフェーダーを-7 dBまで下げています。

iZotope Ozone 10 Maximizer
iZotope Ozone 10 Maximizer

今日から始めるハイパーポップ制作

今回はハイパーポップのトラックを自作する方法をご紹介しました。さらに詳しく学びたい方は、コンプレッションの基本テクニック、ポップスのコード進行の作り方、ビートメイクの手順、音楽制作の完全ガイドなどのチュートリアルもぜひチェックしてみてください。

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